第109回 プラムツリーBOOKフェアが終わり、配信を見続ける日々

 前回に引き続き、プラムツリーBOOKフェアの話題を少し続けます。プラムツリーBOOKフェアが終わり、会期後通販という形で残り部数を委託販売していただきました。Xを介して告知でき、スムーズに欲しいユーザー様に届いたようでホッとしました。部数に関しては少部数ということであらかじめ考えておいて正解でした。どれくらい少ないかと言えば10部以下と思っておいてください。同人誌をやられている方なら分かると思いますが、だいぶ少ないはず。


 何はともあれ無事に終了し、自分のなかでもプラムツリーという新しい地図が出来ました。前にも友達のお店の関係で西池袋の古民家を見たことがあって小さいけれど人の力のネットワークを使ってうまくやっている場所というのを目にしたんですよね。

 そういえば社会評論社という出版社も「場所」としての出版社という話をしていて、場所というのはキーワードになりそうですね。


 同人誌の作りから委託販売まで本連載でも記事にしています。思い出せば同人誌ってこんなに値段がかかるんだ! という驚きやページを作る大変さなど、学生時代に組版ソフトで作り方は知っていたとはいえ、分かってはいなかったようです。いい勉強になりました。じっさい値段としては印刷所にもよりますが、印刷所のホームページに載っているところを選ぶといいと思いました。一万五千円から二万円くらいが私の今回の場合です。価格は1200円で売りました。周りの作家様の様子を見ていると私の倍くらい刷って、500円くらいで売るみたいですね。赤字はありましたが、想定より少なかったです。


 結構前から配信番組を追っています。「小浜徹也のここだけのSFと編集の話」です。媒体はシラスという配信プラットフォームです。小浜氏は東京創元社で海外SFの編集に長らく携わってきた方です。SFファンダムにも詳しく、SF界ってどうなっているのだろうという素朴な疑問の解決にはこの番組が適していると思いました。ただ、基本がライブなので毎回2時間越えは覚悟した方がいいですね。アーカイブを追っていますが、けっこう疲れ(略。

 面白いと思った回は見てほしいと思います。月額ではなく単話購読も出来るようです。内容的にざっと説明すると日本SF大会とは何かというところから、規模や歴史、関わってきた人を話します。日本SF界の創世記のお話で柴野拓美を紹介し、SFマガジン初代編集長、福島正美の未踏の時代を紹介します。日本SF大会と絡めて、星雲賞の紹介もしていました。SF界には日本SF大賞と星雲賞のふたつがあるがどう違うのかという話題にも触れます。わかる人にはわかると思いますが、私からはヒューゴー賞とネビュラ賞の違いと同じとだけ書いておきます。柴野拓美の紹介で500ページに及ぶ鈍器本が紹介されており、じっさいに買っています。読んでいる途中です。


 自分の生きた時代をよく知っているひとは多いですが、自分の生まれた前の時代は? 父親の生きていた時代は? 祖父の生きていた時代は? などなど自分の理解に及ばない時代のことになると途端に解像度が落ちてしまうひとっていますよね。そういうことはやはり取材しないと分からないです。文献の紹介や詳しいお話はぐっと踏み込まないと分からないことだらけだったので助かりました。


 なかには「800字のショートストーリーコンテスト選考会」というSFや編集の話ではないクリエイティブな回もありました。編集者と音楽家と作家という三人で選考するのですが、公募の一次審査と同等の企画があったりしました。まずはこのへんでどんな人が関わっているか見るというのも手だなと思います。もっとくだけた回を見たい人には雑談配信がおすすめでしょう。雑談といっても配信者とコメント欄の掛け合いなのでYoutubeの配信に近いと思っていいでしょう。

 SFも雑談も特に興味がない人には出版の話をたまにするのでそこだけ聞くのも価値があると感じました。ほんとうにたまにですが出版の話をするのですよね。翻訳出版の話とか翻訳家、電子書籍など。そういう話題がちらほら出てくるのが面白いので見てみるといいのではないでしょうか。また編集者になるための就活の仕方の配信もあったようです。


 以下、私のおすすめ回。


 ・第4回 アマプラで『シン・仮面ライダー』を見直して思ったこと+SFのイラストはどう変わったか(編集者はイラストレーターのどこをどう見るか)


 ・没後15年、野田昌宏さんの思い出


 ・「これはSFではない」とは何か


 ・SF小説のざっとした歴史を語ります


 ・スペース・オペラとは何だったのか


 ・SFの古典的な「テーマ分類」について紹介します


 SFのイラストレーター回は、比較的華やかな内容なのでおすすめなのではないでしょうか。野田昌宏さんの思い出話をおすすめするのは私は子どものときに「ポンキッキーズ」が好きだったのですが、野田さんはそのプロデューサーだったという話をしていたので心の片隅に残った話題でした。ジャンル論の話も、聞くとなるほどと思う内容が多いです。またカクヨムのコンテストでもスペースオペラを用意するようなコンテストもあると聞いていますし、これを機に振り返ってみるのもいいでしょうね。

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