第106回 初心者向けエッセイ(4)

 今回は読者ゼロから如何にして、短編四話で★100を獲得したかを書いてみたいです。


 カクヨムコンも終盤ですが、皆さんお元気でしょうか。しばらくSF短編のレビュー企画で缶詰め状態だったのですが、そこから解放されて伸び伸びとできています。関東圏はちょうど雪でした。首都が日本から閉め出されていたあいだ、あれやこれやとノートを引っかき回し、書くべきことを考えながら、同人誌イベントの準備をしていました。ちなみにこの同人誌イベントの記事もどこかで書く予定です。


 カクヨムコン9での収穫は短編で★100を獲得できたことでしょうか。なかなか三桁を読者ゼロから獲得するのは至難の業です。ではどのようにして、という部分を書いていくのですが、まずは自分のを作りましょうというところになってくると思います。


 カクヨムで初心者向けエッセイに書かれているほとんどの記事に、読まれたかったら読みなさいという指摘がありますよね?


 それ!


 それなのですが、ただぼんやりと読んでいては日が暮れてしまうし、何せ効果的に読むにはどうするかということを書きます。

 ひとつは自分の好きを究めておきましょう。どういうことかと言いますと、いま、この時点で構いません。いま、ここで好きな小説のタイプを知ってそれを評価できるようにはなっておこうということです。つまり自分軸で好きを測れるくらいには上達しておきましょう。

 ただ書くことは読むことに比べて上位互換なので、上手く書けたときに、上手く読めることも天から下りてくると思ってください。なので常に小説の腕を磨くことを私と約束してください。


 そのうえで、何でも好きか嫌いかのうえに上手いか下手かというレイヤーがあると考えてみてください。そうすれば自ずと読むものは膨大な数から一段減らせます。やる気のある人は一から十まですべて読んで自己評価をつけてもいいです。そうして目を養っておきます。これまでが半分です。ではどのようにここから自分のブランドを立ち上げるのでしょうか。


 ところでウェブでは公開式のコンテストも珍しくなくなりました。カクヨムや他の小説投稿サイトでそういうコンテストを目にする機会が増えたと思います。そこで作品をいくつか読み、発信してみましょう。できれば不特定多数の人がいる場所でやってみましょう。たとえばTwitterをしている作者は多いので、そこを介してブログなどで発信してみるとかですかね。

 そこで発生した交流やコメントはあなただけの財産になります。たとえば日本SF作家クラブの小さな小説コンテストで、私は毎週作品を読み、Twitterで録音をとりました。誰でも聴ける空間を作りました。


 ところがこれが思わぬ展開を生みました。私の取りあげた作品と一次通過作品を比較したフォロワーがいたんですね。そこで私は作家たちから大きな支持を受けました。何故かと言えば私の見立ては外れていなかったからです。この活動は実際には特定の時期だけですが、二年続きました。二回分のコンテストで私はSFを読む人としての地位を確立できたとも言えます。これが私のブランドですね。

 この年のあいだでカクヨムコン8もあり、カクヨム内にも小さいながら場を持てたと思います。それが今の成功に繋がっています。


 カクヨムコン9ではそういう場の力をもう一度信じてみようと思いました。カクヨムでひとつひとつの作品を吟味し、評価する、そんな連載を立てました。私の「読み」に対する評価はすべて、その「場」に還元されるようにしました。もちろん作品に評価が入らない日は悔しいですが仕方ないです。


 ひとつのホームベースをカクヨムにつくることが明日も持続的に戦い続けることに繋がります。そしてその場はリアルなイベントにも繋がっています。いずれレポートを書く予定ですが、プラムツリーBOOKフェアという同人誌委託イベントに参加する運びとなりました。

 同人誌を作るというイメージ自体がコミックマーケットやオタク文化と強く結びついているために軽い気持ちではできないとお思いの方もいるでしょうが、少部数印刷で仲間に配る程度というものであれば誰でも出来ると思います。ちょっとした楽しみのひとつとして自分に自分の本を刷るというのも良い体験になると思いますし、自分で自分にブレーキをかける必要はないと判断しました。

 文学フリマやTwitterで出来たつながりを元に小さな場を設けていただくことはとても励みになり、また明日もがんばろうという気持ちを与えてくれるものでしょう。


 イベントは3月頃です。楽しみにしたいと思います。


 話を戻しましょう。読むことは実はホームベースがことを意識して取り組んでみてはいかがでしょうか。自分の読書は自分を裏切らないですし、さらにそこからさらによりよく読むための勉強をしてみてもいいでしょう。つまり自分が進む道を切り開くために読むことを積極的に使ってやるのです。そのために少額でもお金を使いましょう。それがあとになって重大な人生の事件への投資だったと気づくこともあるかもしれません。

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