第86回 SF公募の基礎知識

 短編に絞って5つのSF公募を紹介します。


・日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト


 通称、さなコン。主催は日本SF作家クラブです。ジャンルはSF作家クラブと言いつつ、不問です。ネット応募可。開催時期は例年通りなら4月末から6月上旬。1万字上限で共通の書き出しか結末を指定されます。大喜利型公募でしょう。参加資格はピクシブのアカウントを持っていることです。また一次審査は下読みの方がしますが、一次通過者にはフィードバックコメントシートの配布があります。フィードバックコメントシートの記入者は現役の作家クラブ会員です。小説のキャリアアップが期待できますが、フィードバックコメントシートの内容に偏りがあり問題視されています。来年開催であれば4年目を迎える若いコンテストゆえ、今後の展開に期待しています。



・かぐやSFコンテスト

 

 主催はSFウェブメディア、バゴプラです。審査員は翻訳家、作家等が行います。2年目までは毎年開催でしたが、3年目からは隔年かくねん開催になりました。ネット応募可。開催時期は年によって変わります。2000字から4000字までの短編を募集します。テーマが決まっており、そのテーマに沿った作品を募集します。過去のテーマは「未来の学校」「未来の色彩」「未来のスポーツ」でした。大賞受賞は翻訳ほんやくされて海外メディアへの掲載が約束されています。



・星新一賞

 主催は日本経済新聞社です。毎年開催です。ネット応募可。ワード形式やテキスト形式で応募できます。国内で最大規模のSF系公募です。開催時期は6月末から9月末、10月初めの場合もあります。上限は1万字です。選考は三次選考までは秘匿されており、中間選考では書評家、翻訳家などが行い、最終審査は芸能人や研究者を含めた審査員が行います。SF系公募と言いましたが、理系的発想りけいてきはっそうを持った理系文学を募集しており、狭義きょうぎのSF作品が対象になります。グランプリでは、正賞はホシヅルトロフィー、副賞は賞金は100万円です。



・創元SF短編賞

 主催は東京創元社です。毎年開催です。ネット応募可。紙による郵送も可能です。ネット応募ならテキストデータで応募します。枚数は40字×40字で10枚から25枚です。短編と言いつつも原稿用紙100枚相当まで書けます。応募期限は毎年1月上旬です。一次選考から二次選考は編集者が行い、最終選考はSF作家が行います。募集は広義のSFです。受賞作は東京創元社刊「紙魚しみの手帖」に掲載されます。短編単体で電子書籍化でんししょせきかして配信、朗読ろうどくを音源化してキクボンで配信されます。賞金は原稿料、記念品として懐中時計かいちゅうどけいがもらえます。



・カクヨムWeb小説短編賞

 主催はカドカワです。毎年開催されます。ネット応募可。参加資格はカクヨムのアカウントを持っていることです。SF公募と言いましたがジャンルはミステリー、歴史・時代・伝奇など一般文芸ジャンルと同じ土俵です。400字から1万字が上限です。開催時期は12月から2月上旬までです。カクヨム読者による読者選考を経て、カクヨム編集部による中間選考、最終選考をします。受賞作はコミックフラッパーにてコミカライズされます。正賞は記念品、副賞は賞金10万円です。


 

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