第82回 創作者向けエッセイ(4)
今回はなにをモチベーションにして書くかを考えてみようと思います。小説を書くという行為は同人誌を作るのでなければ、書き手がどこへ向けて書くかは難しい分野だと思うんですよね。公募であればターゲットがいるかもしれません。しかし、それまでのあいだは誰も読んでくれる人がいない……という現実もあります。
いっぽうで現代はWEBという媒体がありますからモチベーションの在り処は比較的簡単に見出せます。それはなにか? そう、読者の反応ですね。
私の、この連載も続いているのは読者の反応のおかげです。反応があることで次を構想して、アイデアを練る、そして執筆をするというリズムは心地良いと感じます。現代の書き手はおそらくそちらの方がマジョリティになっていくはずです。WEBで書く作者は日々読者の応援・フォロー・評価が気になるものです。通知欄も気になるものです。赤い印が出ていれば嬉しいし、出ていないとガッカリする、私はそういう姿勢を否定しません。
ただ私はアマチュアのウェブマガジンから小説のキャリアを始めたので、そこで当たり前だったのはノー・感想です。感想はつかないもの、ついても反応は簡単なログラインを書いた紹介文のみでした。そのときの気持ちは苦しいとは感じませんでした。
なぜでしょうか? まずひとつは自分が面白いものを作れる、あるいはいま作れていなくても作れるようになると信じる
ところで私は絵が下手でした。私の絵の先生のK先生は絵が上達するには書いていれば上達すると言っていました。そんなわけあるか! と高校生だった当時の私は思っていて、さいごまで絵は上達どころか描かなくなりました。ただ小説の話題になったとき、いつもこの話が頭を過ります。これはこういうことなんじゃないかと今の自分は思います。
ひとつはできることは60点の作品でいいということです。そういう視点は甘いとお怒りの作家もいるかもしれません。クオリティの話をするとき、自分をどうしようもなく責めてしまう作家がいますよね。しかし、クオリティは低くて構わないでしょう? だってここはWEBであって誰にも時間以外は無駄にしていません。色々なクオリティの作品があります。そのなかに自分の作品があるだけです。
ふたつめは小説でも何でも作ることに楽しみを見出せた人間は強いし上達が速いということでしょうか。これは何を言っているかと言うと、作品を仕上げているあいだに楽しみを見出せたら、遊ぼうとしますよね? そこで何ができるかを見極めるようになります。小説の世界でも何でも創作の道は奥深いのです。簡単にマスターできないのです。ですから
そのときに楽しくなければ続かないでしょう? 楽しいから遊ぶようになる、そして上達する、このサイクルを実践してみましょう。
以上の二点が絵の先生が言う創作の極意だと思うのです。たまには色鉛筆を出して絵を描くことがあります。例え下手でもそこから始めるしかない。楽しんで、そこから見える風景を見ながら進むしかありません。読者の反応だけでなく、自分とも会話しながら、創作を続けてみましょう。
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