第68回 SNS運用のキモ

 普段Twitter(X)を使って小説の宣伝をしていますよね? 今回はSNS運用の大事なポイントをまとめてみます。小説家それぞれがソーシャルメディアの公式アカウントを持つようなものですから、どのように小説家が小説を読んでもらうかを戦略的に考えたいわけです。


 ソーシャルメディアアカウントのできることとできないことを簡単に紹介するためにJALのInstagramを覗いてみましょう。8月ですと素敵な向日葵ひまわりの写真と旅客機の写真が並んでいますよね。皆さんはどういう反応されるでしょうか。


 ここでチケットとかは全く考えていませんよね? 普通の人は飛行機のことは1ミリも考えていないのがふつうです。でも、食卓でご飯を食べている途中の話題でなんとなく飛行機の話が出る、そういえば飛行機を使って旅に出たくなったなと。そういうニーズが顕在化けんざいかしたとき、第64回で解説したことを思い出してください。

 まず旅行者がすること、それは、検索です。「JAL」「ANA」「チケット」など。このとき無意識にでも思い出されることがとても有利に働くのです。


 ニーズが生まれた瞬間にJALやANAを想起します。もうすでにこのとき勝敗は決していると言っても過言ではありません。ニーズが顕在化したとき第一に思い出してもらえるには何が必要かと言いますと、それはです。ウェブサイトは、JALの場合はチケット購入サイトは用があるときにしか来てくれません。


 そこでSNS運用を考えようというわけなのです。

 JALの場合はInstagramです。SNSを使う人の多くは暇つぶしに使っています。飛行機やチケットに興味なんかありません。そんな人たちに格安チケットがありますだの、お得な旅プランだの言ってもダメなわけです。セールスし続けたら終わりが待っています。適切な距離感ではないのです。それでJALはどうしたか。

 JALは美しい旅先の写真を投稿するのです。飛行機やチケットに関心がないひとでもチラチラ見てもらえる、不快にならないラインを攻めているわけですね。そこで「お!」「素敵だ」「きれい」などと思って貰えればいいのです。感情を揺り動かす投稿を行い、毎日、広く、浅く、とてつもなく長~く接触頻度を高め続けて、いつか来るその日まで「いずれ飛行機を使いたい客」と長期的に寄り添って関係を築くことを続けるのです。そのためSNS運用で重要なのは想起率そうきりつ、好意度、利用意向の向上なのです。

 

 これ、前に問題を切り分けたした「いずれ読まれたい」を増やす作戦に繋がっています。

 小説家であれば言葉を使いますから、気取らずに使う言葉にその人が見えるでしょう。Twitter(X)は言葉を主に使うSNSですから相性はバッチリです。


 SNS運用のそもそもの価値とは、私たちであれば自分の作品に用のない人々と日常的に接触できることなのです。用があるひとたちはすでにカクヨムを訪問していますよね? 

 SNSの強みは短期的な「いますぐ読まれたい」ニーズには不向きであることを断っておきます。ですから効果的なSNS運用を心がけたいですね。


参考文献:多くのマーケターが誤解しがちな主要施策の「できること」と「できないこと」のまとめ(https://note.com/ikedanoriyuki/n/n06bbffdeb155)

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