第64回「RTした人の小説を読みに行く」を選んではいけない本当の理由
かつてカクヨムWeb小説短編賞でTwitter(X)の「#RTした人の小説を読みに行く」「#小説読むよ」といったタグにはお世話になりました。けれど賞が終われば前述した通りの結果になりました。
「#RTした人の小説を読みに行く」良い面もあれば、悪い面もあります。今回はそれを明らかにします。
まず良い面です。短期的な成功を求める場合に頼りになることです。たとえば1ヶ月で人気作にならなければいけないといった限定的な場合ですね。彼らがタグを用意し、応募するだけで、小説の出来にもよりますが、★評価やコメント付きレビューがつきます。彼らは実は地味な存在のように見えて、ネット社会におけるインフルエンサーと同じ働きをするのです。上手くいけば絶大な影響力と宣伝力を持つのは明らかでしょう。うまく読者にリーチします。
次に悪い面です。彼らの宣伝効果はあるのは間違いありませんが、それらは単発的な露出効果です。投資ではなく費用に入ります。読まれた時点でお終いなのもそうです。そこで発生した「読んだ/読まれた」の関係とその後の宣伝効果、いわばそうした契約が終われば彼らはふたたび同じ小説を語ってはくれません。持続可能ではなく持続不能です。ですから「RTした人の小説を読みに行く」を選んではいけないのはこの点にあります。
では持続可能にするにはどうしたらいいのでしょうか?
実は、消費者(読者)は4回評価するものです。
それを明らかにするためにMOT(Moment Of Truth)、つまり真実の瞬間を理解してもらいましょう。真実の瞬間とは消費行動における重要な接客接点のことです。
1990年代、スカンジナビア航空で年間1000人が利用しているなかで、ひとりの顧客は一回あたり平均5人の乗務員と約15秒の接点を持つことを突き止めました。この15秒の短い時間で競合他社と異なる最高の体験をしてもらえば、明確な差別化ができて、競争に勝てるとしたのです。この15秒が真実の瞬間(MOT)です。
その後、2004年にP&Gが消費者は二回評価すると言いました。一回目の真実の瞬間(
P&Gはこの二つの真実の瞬間をもとにマーケティングを進めたのです。P&Gが世界で最大の一般消費財メーカーであることは明らかでしょう。効果は抜群です。
さらに2011年にGoogle社が新しい概念、
ところでカクヨムにおける小説では、読者が連載を追って形作っていく日常そのものに焦点が当たります。現在追っている小説が面白い。続きが楽しみで仕方がない。しかし人気はあまりないから応援したい。そうしてカクヨムサポーターズパスポートに登録した。ギフトを贈った。限定近況ノートが読めてさらに満足したというような。
これは
このZMOT(Zero Moment Of Truth)、FMOT(First Moment Of Truth)、SMOT(Second Moment Of Truth)、TMOT(Third Moment Of Truth )が消費者(読者)が4回評価する
これまでの話でZMOTはそもそも誰が作っているのかはお分かりでしょうか。そうです、この連載における
このことは創作論だけに関わらず、連載においてどうしてフォローや評価に一喜一憂せずにファンを大切にするのが大事かを示しています。ファンはあなたにとって最大の味方であることを理解しましょう。
参考文献:消費者は4回評価する。だからファンが大切。だから刹那的なインフルエンサー起用は意味が薄いというお話。(https://note.com/ikedanoriyuki/n/n9d59fea76e5a)
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