第50回 営業行為
カクヨムに長くいれば、自ずと営業行為をしているひとは見えてきます。作品を読むことによって、その対価として評価を得ようとする行為ですね。べつに相互評価を打診しているわけではないので、グレーゾーンの範囲に当たる行為でそこまで運営も否定してはいません。
こうも考えられます。物というものは勝手に売れていくことはないという事実です。何かしらの営業行為によって物の評価が決まり売れていく、これは社会ではよくあることです。CMや広告、営業、そういったバラバラなプロモーションがひとつの成果として結びつくということはよくあります。
実際に出版する場合、売ってくれる人がいることを忘れてはいけません。そこには出版社の編集者であったり、営業部の方、あるいは書店員さんがいます。なのでそのように見たとき、営業行為もある程度正当化される側面を持ち得ます。
「面白い作品だと読まれる。あるいは連載が続いていれば読まれる」
――とは限らないです。
面白くても埋もれる作品がありますし、連載が続いても多くの人に見向きもされない作品はあります。それでも「もっと」を求めるのは悪いことではないです。
売ってくれる人がいないのであれば、売り込む、認知されるように努力してみる。
これも大事な戦略のひとつです。もちろんルールは守りましょうね。それに、全てが営業行為になってしまったらカクヨムでの活動もただ
1年以上前ですが「自主企画を立ち上げたのだが、結局、読んでくれ・評価くれといった作品ばかりになってしまった。もう一度、募集要項を確認してほしい」という趣旨の近況ノートをどこかで読みました。企画主は正直に作品と向き合いたいという話をしていて、作家と協調して改善策を練り、アドバイスをするという何とも
私はこの話題には少しだけ共感します。どうして少しなのかというと、アドバイスってそもそも自分より圧倒的に熟練度の高い人間ができることなので、そんなに熟練度が高い人間がそこらへんで油を売っているわけがないという事実です。アドバイスが欲しいなら、まずアドバイスが貰えそうな場所に行きなさい。そして自分の実力でアドバイスが貰える自分になりなさい。そのために公募の参加やイベント、小説塾があるのだと思います。
ウェブで貰える感想やアドバイスで、本質的な事を言ってくれる環境自体が
つまり私達に出来ることは作家の作品づくりのための導火線にしかならないということでもあります。ほんの少しの火を灯すことしか出来ないということです。
なので、僕達にできるのは作家が何かに気づくときになるまで、彼を
「本当の評価が分かっているでしょ? あなたには魅力がない、一緒に改善していきましょう」
そういう人に私は問いたい。雨に濡れ、川で溺れそうになりながら、真っ暗な闇の先の、混沌の道を一緒に歩いてくれますか? 何の利益も出ないコストパフォーマンスが叫ばれる時代に共に私の手を引いてくれるのですか?
覚悟のない人はかえって足手まといです。一人で歩いた方がずっと楽しいでしょう。作家は自分が何かに気づくその日まで自分を指標にしてください。思ったより、気持ちのいい場所に辿り着けるはずです。営業行為の問題点は明日の更新です。
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