第28回 電撃小説大賞(2)

 1年前の記事ですが、第30回電撃小説大賞の一次選考が出たので再掲さいけいします。


 先日、第29回電撃大賞の一次選考通過者が発表されました。応募数は長編で3041作品、短編は1087作品、合わせて4128作品の応募があったようです。出版界でも最大規模のコンテストではないでしょうか。


 皆さんのなかにも応募されている方がいらっしゃるかもしれませんね。私も一回だけ駆け出しのころに応募したことがあります。勿論、一次選考落ちでした。

 Twitterを見ていると、ちらほらフォロワーで一次の難関を通っている方がいました。一次選考を通過したのは608作品ですから狭き門ですね。


 なぜ、電撃大賞にはここまで作品が集まるのでしょうか?


 この前、ライトノベル作家をされていた方に伺ったところ、それはライトノベル界の、常識にあります。


 初めに説明しますと、ライトノベルは言わずと知れた若者向けコンテンツです。また、私は30代ですがライトノベルは子どもの頃にはすでにありました。「スレイヤーズ」や「ゴクドーくん漫遊記」が有名どころです。ですから、ライトノベルのファン層は意外にも10代や20代だけでなく30代、40代にも波及はきゅうしていると考えられます。


 ライトノベルの形態はだいたい小説のように一作で終わらず、数作ほど続くような漫画のような形態があると言えます。ライトノベルが出版の一大黄金期を築いている事は疑いようもありません。またウェブ小説からの拾い上げ作品も急増しているので、出版業界の中核を担っているとも考えられます。


 さて、ライトノベルの常識の話をしましょう。ライトノベルの業界では様々な出版社がレーベルを持っています。大手の出版社の小学館や集英社、講談社。ほかにはソフトバンクの出版部を前身としたSBクリエイティブ。忘れてはいけないのがカクヨムを経営するKADOKAWAです。

 

 コンテストの大賞やウェブ小説の書籍化であれ、出版というゴールに辿り着いた作品は書店などを通して消費者の元に届きます。それはある意味、作家としての本当のスタートなのかもしれません。


 出版に漕ぎ着けた作品は第一巻から厳しい状況に晒されます。第一巻、つまりは第一話です。ここで多くの作品はふるいにかけられます。これはウェブ小説の作家でも馴染み深いことですね。


 それからライトノベルの第一巻から続いて第二巻が出版されれば、おおむね成功だという話です。そして第三巻や第四巻と続けば安泰あんたいなのでしょうか。いいえ、ここで終わりません。出版しても作家には戦力外通告を受ける可能性があるからです。そこはとてもシビアです。


 一方で電撃大賞はライトノベル界では大変に権威けんいのある賞です。ここで選ばれることは名誉以上に厳しい出版界で生き残るためのバックアップが違う。

 例えばメディアミックスといったコンテンツの世界を知らしめる手法がありますが、そこに早く漕ぎ着けることができます。よく小説のゴールはアニメ化と言われますが、最も効率よくそこに辿り着く作品は電撃大賞受賞作品であるということでしょうか? 


 今回はややシビアでハードな世界に触れました。それでも書き続けていきたいものですね。

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