第29回 ルビ振りと約物

 いろいろな原稿を読むようになってから、読ませる原稿にはきちんと漢字の読みにルビが振られていると感じるようになりました。難読なんどく漢字にはもちろんのこと、少し読みにくいと思ったらルビを振っていくのが良いと思います。


 ルビは本来、難読なんどく漢字を読みやすくするために発明されたという歴史があります。ですから、ルビを振った結果、かえって読みづらくなってしまえば元も子もないわけです。左サイドバーの「記法きほう整形せいけい」からルビを振ってみましょう。


 融通無碍ゆうずうむげ

 温故知新おんこちしん

 一蓮托生いちれんたくしょう


 ちなみにルビの語源は宝石のRubyルビーに由来します。

 読者の存在を忘れないことが重要です。ルビを振った後、これは紙面しめんやブラウザでどのように表示されるか、想像力を持ちましょう。


 ルビは作品世界を深く捉えることにも役立つでしょう。そして、読者と作者の間の距離も自然と埋めてくれます。なぜなら、それは本文を読みやすくするための手法だからです。常に読者を意識したルビ設計を心掛けたいですね。


 参考文献「デジタル時代の文字組版ガイド便覧 文字組みの基準」


 


 今回はライトノベルや小説で使える記述記号きじゅつきごうについて簡単に書きます。約物やくもの(記述記号)には様々な種類があり、これを一通りマスターしておくと文章表現以外の部分で文章を特徴づけられます。


 代表的な約物やくものは、例えば句読点くとうてんです。句点「。」と読点「、」のことですね。

 

 他にはパーレン、キッコウ、ブラケット、山パーレン、ギュメがありますが、名前はほとんど覚えなくてもいいです。それはキーボードでパーレンと打ち込んでもほとんど変換されないからです。

 ちなみにパーレンは( )、キッコウは〔 〕、ブラケットは[ ]、山パーレンは〈 〉、ギュメは《 》です。視覚的にどんなものなのかは把握はあくできましたね?


 また疑問符ぎもんふ「?」や感嘆符かんたんふ「!」もあります。これらはキーボードにあるので視覚的に覚えておけば十分です。


 またライトノベルで頻出ひんしゅつの「―」これは何という記号か分かりますか? これはダッシュといいます。普通、二個つなげて表記します。

 ですから「――」こうなります。他にも「~」は波ダッシュといいます。ダッシュのほうはキーボードで打つか、「ダッシュ」で変換すれば出てきます。波ダッシュも同じですが「から」と打つと同じものが出てきます。


 よく間違いがちなのは、ダッシュと長音の混在です。長音は「あー」など伸ばす言葉に使われます。


 ダッシュと長音の混在はどうしたら防げるでしょうか。ゴシック体で原稿を打ち込んでいる方では、ほぼこの混在には気づけません。ビューワーを明朝体みんちょうたいにしてみましょう。すると「――」と「ーー」の違いは一目瞭然いちもくりょうぜんですね。


 あと3点リーダーのことも書いておきます。3点リーダーは小説であれば大体「……」二個、つなげて使います。


 以上が約物やくものの簡単な解説です。これらをマスターしておくと、文章が美しくすっきりと見えます。また内容を見るより先にあらを探している相手に注意されないように、ぜひとも気をつけておきたいですね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る