第22回 短編作家の歩き方(1)

 小説を書き始めていきなり長編に着手できるひとは稀です。書けるようになるまで、適切なアドバイスやきちんとした書き方を学ぶまでは、短い作品をきちんと書けることや、構成の勉強に注力した方がいいと思います。これは長編を書くことの楽しみを否定しているわけではありません。長編を書いて読者に楽しんでもらうまでが、おそらく多くの作者が思っているゴールだと思うからです。


 では長編を書き上げるまでのあいだ、短編を書くにあたって、カクヨムではどのように掲載するのが適当なのでしょうか。掲載方法はさまざまです。作品をひとつずつ投稿する方法や連載としてひとまとまりで投稿する方法があります。個人的な経験から申し上げますと、ひとつずつ掲載する方法を採るより、ひとまとまりで掲載するほうがいいかと思います。

 カクヨムでは基本的には長編を投稿する流れが一般的なので、ページビューの伸びやリワードを得られるかなどはすべて長編が基準です。ですから短編はまとまった量を溜めておいて更新が継続できると判断した上で、投稿を開始した方がいいと思います。作品としては短編集ですが、長編の形式をとることによって実りよい将来の布石になります。


 一方、すでに短編としていくつかの作品を投稿している場合はどうでしょうか? この場合はコレクション機能を使ってまとめておくのがいいと思います。コレクション機能はひとまとまりのテーマだとかジャンルで、複数作品をまとめておける便利機能なので、短編がすでにいくつもある作家はその機能を有効に使っていただきたい。


 短編はたとえば2000字から4000字程度を一話として投稿する方法があります。じっさいに短編を投稿してみると、1万字の短編3作を投稿する場合はどのように掲載するのが有効なのかは少し考える必要があります。

 1万字を3作ですから、1万字ずつ3話投稿とするのが適切か、1万字を4000字程度で割って、3話として、全体で9話に割って投稿するのか? これは悩みます。じっさい問題、短編はそれと意識しなくても意味の切れ目がきっかり4000字で収まっているかはわからないですよね? 割ることで没入感を削ぐことになっては良くないです。4000字程度で3つに割ることの良くない点はこれですが、連載という形式上、続けて読むのが読者にとって当たり前だということも考えられます。


 経験に頼ると、4000字より1万字で投稿することの利点はリワードを換算するシステム上、アドスコアを高く保てるという、この一点のみでしょう。

 4000字で3つに割ると最初のページでユーザーが読み、次のページでブラウザバックしたときに得られるアドスコアは少なくとも4000字を読んだスコアです。一方、1万字で一話であればある程度、読ませた後に得られるのは1万字のアドスコアになります。ブラウザバックした場合も少なくとも4000字程度は読むと思います。ならば最初から4000字以上で一話の量を設定しておけば、4000字のボーダーラインをひとまず超えたアドスコアが得られるのでは? というのが私の推論すいろんです。ですから一話を4000字から8000字程度にして掲載しておいても損はないはずです。


 短編というのは長編とは違った世界でもあります。いろいろ試してみるのがいいかもしれませんね。

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