第18回 人工知能、ChatGPT

 さいきん、AIの進歩はめざましいです。SF小説でもAIが小説を書く未来がやってくるかも…… というお話がよくあります。じっさいSF界でもAIと人の二人三脚で小説を書いて公募こうぼで優秀賞をとった話を聞きます。

 そんなAIのお話で、いま、産業革命さんぎょうかくめいレベルの革新かくしんが起こっていることをご存知でしょうか。

 

 言語に強いAIの登場がいま世界を変えています。有名なのがChatGPT。インターネット上の膨大ぼうだいなデータを学習して知識を蓄えているAIで、人間の言葉を理解し、文章を生成できるのです。ここで重要なのは、つねに正しい知識でAIが言葉を使っているわけではなくて、推論ベースでAIが言葉を使っているということです。つまりAIが知識を使って「こうじゃないかな~」と考えているのです。このAIの最前線は英語の使用が基本ですが、一部日本語版もあります。またChatGPTの開発会社のOpenAIに登録が必要です。いまAIで遊ぶということがツイッターユーザーのあいだで流行しています。


 さて、話を戻しますが、この言語AIが小説を書く未来がやってくるのでしょうか? 答えはまだ出ていませんが、小説家が小説を書き始める前段階のプロット制作やアイデア出しなどの段階で、簡単なものならAIに任せられるレベルだそうです。AIと創作の最先端を走っている作家はこのChatGPTの使い方をデータにして販売しています。

 重要なのは三幕構成さんまくこうせいやストーリーアークのような技術を足がかりにしてAIが推論すいろんするために、ヒットや成功する「っぽい」ものをAIが提案してくることなのです。これは映画業界を考えればわかることですが、同じように何千と三幕構成さんまくこうせいを使った上手いと思われる脚本が書かれているのにも関わらず、ヒットとなれば年に何本かという話と同じですね。もちろん高い確率であることは否めませんが、そこにはコンテンツのブランド力や知名度、PR手法、顧客満足度こきゃくまんぞくどなどの別の要素も働いてきます。


 いまAIとともに創作をすることになれば、彼らは優秀な秘書や編集者代わりになるかもしれません。もちろん作家はAIに尋ねる方法を模索もさくし、研究する必要は出てきます。作家もバージョンを上げていかなければいけないですね。


 ここで、よくAIによって人間の仕事が奪われる未来が指摘されますが、SF作家として私がどんな考えを持っているかというと、芸術活動のプロセスは変わるかもしれないけれど、自分が創作をする理由までは無くならないと思います。全自動で小説を書いてもらうことは確かに楽ですが、心の奥に残ったもやもやは最後まで無くならない。それを形にしていく、それはなぜ自分が自分であるのか? という哲学的な問いでもあります。こうした問題創出もんだいそうしゅつは誰もやってくれません。父親や母親や兄弟が代わりにやってくれるものではないです。AIは手助けをしてくれるかもしれませんが、問題自体が無くなるわけではありません。

 もっと言えば人間が機械化された未来にしか、その問題の答えはありません。そうなると、とりあえず問題は先送りしましょうって話になるでしょうね。


 ひとまず、参考にしている文献を紹介しておきましょう。


 ひとつめ。葦沢かもめ「AIとクリエイターの未来を空想するエッセイ」(https://kakuyomu.jp/works/16817330648417195404


 ふたつめ。廉価「なぜかカクヨムにいる絵師の日記」(https://kakuyomu.jp/works/16817330651856968928


 ラスト。鳥辺野九「ヂピティとの微微たる会話」(https://kakuyomu.jp/works/16817330654687553811

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