第15回 創作者向けエッセイ(1)

 今回はとあるクリエイターから学んだ創作をする上で大切な八ヶ条をまとめます。ネガティブになったり、投稿サイトで悩んだりしている人に読んでほしいです。



 一つ目は、「読まれない」を口癖にするとツキを逃す。


 カクヨムは読まれないサイトと言われており、別の投稿サイトと比べて、初動のページビューが伸びにくいです。けれどもそれを理解したうえで重要なことは連載を続けることなのです。

 また、あなたの言う「読まれない」のまえに、これからいう二つのことが出来ているか確認してみてください。

 

 ・どれくらい他人の作品に目を通しているか

 ・単にページビューがあるということなのか、全くないということなのか。読まれていると思う規模感を理解できているか。


 この二つのハードルを越えただけで随分と見えてくる景色が変わってくるはずです。他人の作品を読むだけで創作の世界は広げられます。読んだ作品に感想を贈るのもいいですし、フォローもたくさんしましょう。面白かった作品をどこか信頼のおける相手に話すのもいいです。


 ページビューは数字です。あなたにとって1に過ぎません。けれど、この1にも物語があるということを創作者は自ずと知っています。読まれたいという気持ちと読まれたという事実の関係を理解しましょう。数字のむこうに意識を向けましょう。



 二つ目はユーザー生成コンテンツの核はコミュニケーション。


 これは交流が始まった作家たちによるコミュニケーションが重要だということです。カクヨムで行われる応援コメント、ユーザーのおすすめレビューがそれに当たります。これらを軽視するとたちまち読まれなくなると言っていいです。


 サイトの外部でも言えます。ファンアート、配信で紹介されるなど、総じて人と人のやりとりを重要視していきましょう。読者の多くは言葉を持っていません。けれど言葉を贈ってくれる相手もなかにはいます。その言葉を前に進むために使いましょう。内省ないせいの時間はもったいないです。



 三つ目は承認欲求と向き合うことです。


 創作者が作品を発表するとき、その作品が受容じゅようされ、評価されることは大きなモチベーションになります。ところがそれが大きな喜びや快楽であるために、その沼にはまり込み、承認欲求をただ求める存在になってしまうこともあります。これでは本末転倒ほんまつてんとうですね。まず人間というものに立ち返りましょう。快楽は自分ではないということを理解する。そして決別する決意を持つ。そうして私たちは前に進めます。快楽そのものに自分がなってしまわないようにするだけでも意識を変えていけます。



 四つ目は才能を自らの手で潰さないことです。


 創作者である以上、私たちはどんなレベルであれ、才能を持っていると確信していいと私は思います。また隣の芝は青く見えるのは当たり前だと理解する。それを確認するだけで、迷わなくなると思います。また、たとえ才能があっても、周りがどんな感想を持っていようが、自分を信じられない作家を応援したいとは思えないです。応援されている作家がどうしているか、観察するのは確かに良いことです。真似するのもいいかもしれません。ただ応援を受けたときにどういう自分でいるかはよく考えましょう。誇れる自分だと言えるならそれでいいと思います。



 五つ目は考える方向性を間違えない。


 単純な話です。人に迷惑をかけない限りは、創作者だって他人に甘えていいのです。有能な人間でもあらぬ方向に考えを巡らせて自滅する可能性があります。人と人とのやりとりのなかで、平熱でいようとしてください。なにが普通なのかを問うことです。人の言葉に耳を傾けてください。拒否しないでください。受け入れる力を持ちましょう。


 

 六つ目は危ないと思ったら助けを求める。


 メンタルや性格に問題がある場合は病院に行ってください。心療内科しんりょうないかや精神科といった医療機関で正しい治療を受けてください。傷を負ったまま生きていくのは苦しいですし、周りも巻き込んで事故を起こします。そうなったときに責任を問われるのはあなた自身です。あなたは創作に対しても自分の心に対しても責任があるでしょう。あなたを守れるのはあなただけなのです。創作に行き詰まったらお休みを取ることも忘れないでください。


 

 七つ目は心の貯金をふやす。


 自分が創作をするために自らを肯定しながら生きていただきたいです。評価を受けているなら正直に喜びましょう。創造性を開花させている自分を認めてあげてください。反応がなくても、創作において、さいごの砦はあなたなのです。最低限のプライドは自分を救います。ネガティブになりそうなときほど、プライドを持ちましょう。また創作で得たお金や時間を大切にしましょう。



 さいごは対立を恐れないことです。


 自分が正しいかどうかという議論は置いておいて、自分が怒っていることに目を向けましょう。創作のエネルギーの源泉は怒りでもあるでしょう。あなたの心はいま何を感じていますか。相手に対してどういう感情を持っているかを言える人間は真に心の強い人間です。

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