第9回 時間表現
7:00 俺は目が覚めた。
7:30 朝食を取った。
8:00 登校
などなど、よくありがちな学園ものですが、このようなものを一般的には小説とは言わないよねという考えを持つ人間のみが先に進んでください。
時間表現はシーンとシーンの切れ間としてよく表現されがちです。これはきっと時間が経つことが私たちにとって身近な切れ間なのだろうと理解できます。けれど、
――――数時間後――――
というような時間の切り替えとシーンの切り替えの混在を無視していいのでしょうか。やはり良くないです。
シーンの切り替えはそもそも空行を入れるなどで明示的に表現ができます。これは小説が好きな人なら誰でもやっている基本テクニックです。
まずは時間表現と場面の切り替えを分けることから始めましょう。ある種の
ここから時間表現の基礎に入ります。ここでは3つのパターンを紹介します。
①付け加える形で。
7:00、起きると何か変だった。
9:00、クラスの女子の視線がこちらに集中しているぞ、どうしよう。
②語る順序を考えてみる。
俺が帰宅するのがこんなに遅くなってしまったのは、不思議な朝の出来事が原因だった。ふと鏡を見るとイケメンが立っていた。はじめ、それは俺なのかと理解できなかった。
③視点を変えてみる。
彼はきょうも朝7時30分になると当然のようにパンをトースターに入れた。
時間というのはたしかに過去から現在、未来と流れていくものです。
しかし小説の世界では時間の方向はひとつではありません。たとえば語りの順序は出来事の順序と符合しません。しばしば物語は前後に行ったり来たりします。
ときに過去のことを語るためにフラッシュバックすることもあります。これを小説の技法の言葉で「
またこれから先に起こることを物語るか、予測するか、言及することをフラッシュフォワードと言い、「
たとえばアニメ「NANA」のようにナレーションがある種、過去にあったドラマを回想しつつ未来から語るようなかたちは「後説法」となりますし、アニメ「ゴジラS.P」は第一話に最終話の話題をさらりと言及する「先説法」のかたちをとります。気になったひとは見てみてください。
小説における時間表現は、①文章のなかにあるかたち、②文章と文章の関係性のあいだにあるかたち、③物語の構成におよぶかたちとスケールアップしながら異なる話題を孕んでいます。面白いので一度考えてみるのもおすすめです。
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