第7回 文学フリマ(後編)

 この連載(本連載の前身ぜんしんである「まずは、フォローから始めなさい。」)の応援コメントが100件を超えました! 連載当初から応援コメントをたびたび書いてくださる水守風火みずもりふうかさま、そして多くの読者のみなさま。ありがとうございます。毎回、励まされながら書く勇気を頂いています。評価も77人から頂きまして、★222となりました。


 先週の日曜日に、予告していたように文学フリマ東京35に行ってきました。買ってきたのは「黒色矮星わいせいの魔女」「ディ・ア・レ・スト」「それがぼくらのアドレセンス」「サフランノート」です。「サフランノート」以外はカクヨムで読むことができますので気になる方は探してみてください。

 

 天気はあいにくの雨でした。曇り空の平和島へいわじまへモノレールで向かいました。会場に着くと、降りる人々がたくさんいました。これ、全員が文フリに行く人なのかと思うとびっくりですね。会場は第一展示場、第二展示場のふたつ。私の用事は第一展示場に集中していましたから、さっそく向かいます。


 目当てはF列です。「黒色矮星こくしょくわいせいの魔女」のポスターが見えました。ブースで挨拶をします。


「九頭見です」


はい


「丸山さんはいますか?」


……


黒色矮星こくしょくわいせいの魔女は……」


 私はポスターをじっと見ます。


「あ、それ裏のブースですね!」


 私としたことが! なんという間違い! そそくさとその場を離れます。近くにはつるよしのさん(https://kakuyomu.jp/users/tsuru_yoshino)のブースがありました。お目当ての「ディ・ア・レ・スト」があります。美麗びれいカバーです。本のかたちになっていると感動します。先客がつるよしのさんと談話中でした。さっと列に並びます。なんか、つるよしのさん。顔が強張ってないですか……。もしかして緊張きんちょうしてます……? 先客が去り、挨拶。


「九頭見です」


 そして持ってきた差し入れを渡します。なんかあたふたしている(!)すみません、何の予告もせずに差し入れを持ってきてすみません……。


 無事に「ディ・ア・レ・スト」を購入できました。


 そして丸山はじめさん(https://kakuyomu.jp/users/hasyme)のブース。丸山さん、思ってたより若い! Twitterでのスペースの話題を振っていただいて、なんというか、気さくな方だ……。感動しながら「黒色矮星の魔女」を購入します。そして差し入れを渡しました。


 連れてきた友人がもうすこし周りをみたいというのと、つぎのブースでは取り置きしておいてもらっているので、会場をすこし見てまわります。すごい人の数ですね。そして熱気。ジャケットにタートルネック、薄手のダウンベストで、しっかり寒さ対策してきたところが仇になりました。友人はフリースを脱いでTシャツ姿に。男らしいです。


 ほんとうに言葉で勝負しているひとたちって多様なんだなあと思いながら、気になるブースがいくつもあったんですけれど、手に取ったら買ってしまうよなと思い、遠くから見ていました。友人はその辺のスキルが高いので、見本を見せてくださいと言いつつ、内容をしっかり掴み、売り子さんと談笑しています。う、コミュ力……。


 友人が手に取ったのはフィクションの登場人物の胸の大きさを調べた本、デジタル家電のレビュー、コスプレイヤーの写真集などでした。コスプレイヤー本人を前にして、「このアングル、すごいですね!」と言う大胆な勇気。見習いたい。


 毎度のことながら、スマホの電池が半分を切っていたので、省電力モードにします。

 Twitterで「文フリきたぞー」とツイートします。



 向かうは酒田青さん(https://kakuyomu.jp/users/camel826)のブースです。いわゆる壁サーに突撃するわけですが、人が多いですね。人にぶつかりながら進みます。そして酒田さんに出会いました。出会えた! と思ったらめちゃくちゃ凝視ぎょうしされてしまいました。


「え……あの、え……?」


 買う予定の本を「さっささ……」と勧める酒田先生。お財布を出して買います。Twitterでよく喋っているとはいえ、緊張しました。勝手なイメージですが、もっと魔女っぽいひとを想像してました。持ってきたお菓子を交換しました。モンド・セレクション受賞、さが錦(今朝たべました。濃厚な甘みで美味しかったです。酒田先生ありがとうございます)。


「武石さんが探してましたよ」


 と言われました。武石勝義たけしかつよしさん(https://kakuyomu.jp/users/takeshikatsuyoshi)。戦国武将である※ちがいます。日本ファンタジーノベル大賞に今年、最終候補作としてノミネートされている実力派作家。Twitterではよくしていただいています。スペースでお喋りさせていただくことも多い方ですね。


 武石さんにTwitterでメンションを送り、しばらく会場をぶらつくのですが、武石さんからは連絡が来ません。そして、次回の文フリの予定が決まったとの知らせがアナウンスされます。拍手で沸き立つ会場。一体感がすごいですね。

 ちょうど「GIANT KILLINGジャイアントキリング」という漫画原作のサッカーアニメがありました。一部リーグのチームでありながら弱小クラブチームであるETU。そこに元選手で監督となった達海たつみがやってきます。達海はイギリスでアマチュアクラブをFAカップのベスト32に導いていました。彼の独特な方法論と洞察力どうさつりょくでチームが成り上がっていくお話です。クラブチーム運営が本来莫大ばくだいな資金力で成り立っているという現実からみれば夢物語です。


 しかし、好きなエピソードがあります。

 

 それは達海が企画したカレーパーティーです。食堂のおばちゃんにカレーをお願いし、選手はビラを配り、マネージャーは食材を買ってくる。そして、地域の住民やファンと交流を深める。「みんなで勝っていく」というメッセージをみんなの心に刻むわけです。そうしてチームは強くなっていきます。そのきっかけがカレーをいっしょに食べるということなのです。その場に居合わせるというのが大切な体験なのです。




 翻訳家ほんやくか書評家しょひょうかの大森望さんが通りがかり、思わず声をかけてしまいました。でも特になにも言えず、友達がフォローしてくれました。ありがとう、わが友。



 きょうは諦めて帰ろうかと思い、外へ出ます。

 この後どーする? 飲む? などと言いながら、第二展示場が目に入りました。すこし第二展示場を廻ってみることにしました。


 第二会場は詩やZINEなどが主な出展のようです。ここも熱気がすごい、密です。


 するとTwitterで武石さんから返事が来ていました。3時にSci-fiブースに集合とのことです。首を傾げてしまいます。なぜってカタログにはそんな名前のブースは存在しないからです。リストをじっくりと照らし合わせて、Sci-fiブースなるものを探します。候補はふたつありました。そういえば武石さん、SCI‐FIREサイファイアーのブースに行くとか言っていたなと思い出し、そこに向かいます。


 SCI‐FIREはゲンロン大森望SF創作講座の受講生が結成している同人誌で有名です。しばらくブースのまえで待機します。見たことあるひとたち、あれはライトノベル作家の人間六度さんかな? と思いつつ、待っているとトレンチコートの女性とパーカー姿の男性がやってきます。話し声に反応する私。どこかで聞いたことのある声です。


 彼らがファンタジー作家の藍銅らんどうツバメさんと話しているあいだ、しげしげとそれを見ていました。話が終わるころ、意を決して、とつります。


 「武石さんですか」


 彼は武石さんでした! 固い握手を交わしてくださいました。う、うれしい! 傍らにいた女性は宮園みやぞのありあさん。第10回アガサ・クリスティー賞優秀賞を受賞された作家さんでした。さっきまでSF作家の十三不塔じゅうさんふとうさんと会っていたとのこと。挨拶したかったな……。彼女と別れた後、お互いの買った本などを披露しつつ、お喋りをしました。楽しかったです。日本ファンタジーノベル大賞の結果が火曜日、つまり今日に控えているとのことで緊張している様子でした。

 

(いい結果が出るといいですね。きょう決まると思うと私も緊張してくる……)

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