第29話
アオイは単独で影移動によってワイバーンの巣に近づいている。
ユイはルウと一緒に影移動でその後を追っている。
私はエマと一緒にその後を着いて行く。
後何回かワイバーンを釣って来て貰ったが、ルウがいると余裕で倒してしまう。
コレでは訓練にならないので、ワイバーンの巣を殲滅して回ることにした。
私が確認したところ、ワイバーンの巣は何ヶ所か見つけた。
近くにはバジリスクの巣もあるようだが、このメンバーなら問題ないと判断した。
ルウも乗り気なようで、力が漲るとやる気を見せていた。
強化種なだけあって、Bランクの魔物には負けない火力を持っているので倒すことは出来る。
ただ、まだ仔猫サイズなところを見ると防御力は紙装甲のようだが。
ライオンサイズぐらいに成れば、騎乗も出来るし防御力も耐性も付いて来るだろう。
バジリスクの邪眼は目を見なければ問題ない。
毒攻撃は当たらなければどうと言うことはない精神で何とかなるが、ユイの状態異常の解除の魔法があるので問題ない。
ルウの回復魔法はそこまで育ってはいない筈だから当てにはしていないが、そこはユイにこまめに教えて貰おうと思っている。
アオイがワイバーンの巣から戻って来たようだ。
「ちょっとヤベーな、巣に行ったら50匹くらいは居そうだぞ。
ウチらで
「ピュィピィピュィピュィ?(アオイは何処まで巣の中に行ける?)」
「それならど真ん中まで行けるぜ。
影魔法と一緒くらいで潜伏と隠密のスキルは生えてるからな。
ワイバーンには気付かれない筈だぜ。」
「ピュィピュピュィピュィ(それならアオイで10匹)
ピュィピィピュィピィピュィ(ユイとルウで30匹)
ピュィピィピュィピィピュィ(エマで10匹は行けるな)
ピィピュィピィピュィピュィピュィ(私が援護に入るから予定数はこなして欲しい)」
「りょだよー。
私はイケると思うよ。」
「私もそれくらいなら余裕だぜ。
ただ私がきっかけで良いのだろう?」
「私達もそれで構いませんよ。
ルウちゃんも頑張れますね?
此処はルウちゃんに掛かって居ますから私も全力でサポートしますよ。」
「ルュゥルュゥルゥルュゥルュゥ(はい母上私も頑張ります。)
ルュゥルュゥルゥルュゥルュゥルュゥ(予定より多くても構わないのだろうなのです)」
「どこで覚えたのですかそんな死亡フラグを?
ルウちゃん、そんな死亡フラグ立てるならへし折って下さいね。
私より先に亡くなるなんて許しませんからね。」
どちらも死亡フラグなのだが、突っ込むと此方まで被弾しそうなのでスルーする。
アオイとエマはそこは分かっているようで、2人とも沈黙していた。
まぁ、実力的に死亡することは無いのだが、2人が盛り上がっているので良いことにしよう。
アオイがワイバーンの巣のど真ん中に潜入すると、影と糸を使って10匹を拘束する。
残りのワイバーン達が異変を感じて飛び立つが、私とエマが空中に飛び出して頭上から牽制をする。
アオイから離れた位置に出て来たユイとルウは端からワイバーンを射撃して行く。
アオイは既に10匹の殲滅を終えたようで中央には居なくなっている。
そこから2人の殲滅は始まった。
ユイの射撃で纏められたワイバーンをルウのブレスが薙ぎ払う。
地上に近いワイバーンは2人の影魔法で拘束され、空中のワイバーンもルウの糸によって拘束されていた。
残りのワイバーンはエマとドッグファイトをしているので、拘束したワイバーンを仕留めればユイとルウの分は終わりだ。
エマもナイフと魔法を駆使して空中のワイバーンを撃墜して行く。
此方も問題はなさそうだ。
残党を仕留めている間にアオイが私のところにやって来た。
「黒助、面白いもんを拾って来たぞ。」
そう言ってアオイが持って来たのは卵だった。
多分ワイバーンの卵だろう。
「ピュィピィピュィピュィピィ?(アオイがテイムしたいのか?)」
「イヤァ、ワイバーンは乗り心地が悪そうだから遠慮しとくよ。
それに私はテイマーじゃ無いからな、空を飛ぶなら黒助で充分だ。」
「ピュィピュィピュィピィ(なら私が預かろう)
ピュィピィピュィピュィピィ(高く売れるだろうからな)」
「そうだな、ワイバーンは人気のある魔物だから、テイマーが欲しがるかもな。
それじゃ黒助に任せるぜ。」
私は卵をアオイから受け取りストレージに保管する。
ストレージ内は時間が止まっているので、卵が孵ることは無い。
だがアレだけの規模の巣だったのに卵が1個しか無いのも可笑しな話だ。
魔物はダンジョンが生み出しているので、卵から産まれる必要は無いのだが、稀に繁殖行動をとる魔物がいる。
私もその少ない例に入るのかもしれないが…、魔物は滅多にしない行動なので魔物の卵は貴重なものだ。
卵からのほうがテイムしやすいのは言うまでも無いが、卵も魔力を吸収して成長するのでテイマーの魔力を吸収して孵った卵はテイマーに懐くのも当たり前なのだ。
そんな貴重な卵を私が孵しても良いのだが、子供はルウで充分なので売ってしまおう。
エマとユイはテイム出来ないし、アオイが要らないと言っているので問題ないだろう。
そんなやり取りをしている間にワイバーンの殲滅は終わっていた。
ルウの大きさが仔猫サイズから中型犬の大きさになっていた。
「ルュゥルュゥルゥルュゥ(母上少しは成長できました)
ルュゥルュゥルゥルュゥルュゥルゥ(早く母上を乗せて飛びたいです)」
「そんなに焦らなくても大丈夫ですよ。
ルウちゃんは確実に強くなってますから、安心して下さい。」
ルウは順調に成長している。
この階層を攻略する頃にはユイを乗せれるくらいにはなるかもしれない。
まだまだ時間には余裕があるので、次の巣を探す。
アオイにはバジリスクには気を付けるように言っていたが、ついでと言わんばかりにバジリスクの巣の方に向かって行っているのはワザとなのだろうか?
バジリスクの邪眼だけには注意して貰いたいが、やる気になっているなら構わないだろう。
ユイの回復魔法も何処まで出来るか聞いていないが、状態異常の回復薬は何本か持っていた筈だから何とかなるだろう。
バジリスクと視線が合うと危険なので、影の中からの攻撃に徹している。
アオイが糸で切り刻み、ユイとルウは影魔法で串刺しにしていく。
エマは風と火の魔法で攻撃しているようだ。
皆んな順調に熟練度は上がっているように思う。
バジリスクの巣の先にはワイバーンの巣があるのだが、ワイバーンには気付かれていないようだ。
敵に気付かれずに攻撃出来るのは、ダンジョンの中では有効な手段である。
必須と言っても過言では無いかも知れない。
Aランクダンジョンからは日帰りが難しく、ダンジョン内の戦闘を極力避けて通る必要も出て来るだろう。
その為の技術もこのダンジョンで磨いて欲しいところだ。
ワイバーンの巣には各々攻撃することにした。
アオイは単独で潜入しユイとルウは一緒に攻撃するようだ。
私とエマは空から近づくことにする。
私とエマが空から近づくと、ワイバーン達が私達を威嚇し出した。
何匹かが此方に飛び立ったが、様子を見ている者達が殆どのようだ。
アオイは後方から気づかれないように、影にワイバーンを沈めて行く。
後方の異常に気付いたワイバーン達をユイとルウが影魔法で拘束し、一箇所に纏める。
纏まったところをルウのブレスで薙ぎ払う。
空に逃げたワイバーンは、エマの担当になり上空から撃ち落として行く。
落ちたところを、アオイが切り刻むかユイが射撃して行く。
残りをルウのブレスで殲滅して終了だ。
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