第26話
7階層の入口付近で私はエマとユイに魔法とはどう言うものなのかを説明する。
「ピュィピィピュュィピィ(魔法はイメージだ)
ピュィピィピュィ(スキルも然り)
ピィピュィピィピュィピィ(何故追尾を付けない)」
「私のはナイフのスキルだからだよ。」
「私もそうですね?
普通は銃に命令しませんよ?」
「ピィピュィピィ(はい減点だ)
ピュィピィピュィピィピュィピィピュュィピィ(装備だろうがスキルはイメージだ)
ピュュィピィピュィピィピュィピィ(アオイはそこを分かっている)」
「私は自分で装備を作るからな、その辺の理解は何となく分かってるが。
2人はそんな事も知らなかったのか?」
「アオイちゃん酷いよそれは。
私達はピーちゃんに会うまでは、Cランクの底辺だったからね。
しかも最低のヤツと組んでいたしね。
そんな事教えて貰った事も無いよ?」
「そうですね、私達は本当に無知でした。
ピーちゃんと会ってなかったらエマは死んでいますし。
私もどうなっていた事やら、ピーちゃんには感謝していますが冒険者として基本的なことは抜けているかも知れません。」
「そうなんだな、私は2人よりは1年先輩だったしな。
生産者は基本優しい人が多いから困らなかったが、2人は目立つからなそれは仕方がなかったと諦めるんだな。」
それはそうだろうな、命の掛かった仕事なのだ。
女性と言うだけでも目立つ存在になるのは仕方がない。
私が生きていた世界でも男性の働く現場に女性がいるだけで騒がれもしたもんだ。
可愛い2人なら尚更だろう。
2人は最悪の事態にはならなかったが、気を付けて欲しいものだ。
「諦める事じゃ無いよね?アオイちゃん!
私達は最悪は回避出来たけど、最善では無いって事だよね?
ピーちゃんは何となくでしか教えてくれないし、アオイちゃんだけが頼りだよ。」
私は何となくだが、スキルのことは把握している。
それが一般的なことだと思っていたが、そうでは無いようだ。
自分の才能を理解していないのはどこの世界でも一緒なのかも知れない。
私がスキルのことを何となしでも使えているのは、グリフォンの本能なのか転生者特典のお陰なのかは分からないが。
「ピュィピィピュィピュィピュィピィ(エマは魔法にも付けてない)
ピュィピィピュィピュィピュィ(それに火魔法も使ってない)」
「あぁ、ナイフが便利すぎてね、忘れてた。
あははは。」
そうなのだ、エマはナイフの斬撃が便利だからと他の魔法は余り使わない。
この世界の魔法には属性の相性何かは無い。
生物は耐性が無い限りは火は有効だ。
素材がダメになり易いので、火魔法は控えられているだけなのだ。
倒すだけなら火魔法の火力が1番だと思う。
素材のことを考えるなら風や水の魔法が人気だ。
だが魔法はイメージ次第で、火魔法の燃焼を抑えることが出来る。
貫通力だけを上げて、他に燃え移らないような魔法だって使用は出来るのだ。
この世界の魔法使いは、アロー系の魔法は使わない。
弓より銃のほうが強いのを知っているからだ。
たまに見た目重視でランス系の魔法を使っている人もいるようだが、バレット系が1番多いと思う。
男性の中にはドリル系の魔法を使う人がいるが、貫通力はあるが見た目が派手なだけで実用性は無い。
大体、不治の病に罹っている人達御用達の魔法だ。
大抵その人達は無駄な詠唱をする人達なので、見ていれば分かる。
エマが詠唱したいなら止めないが、私はするつもりも無い。
エマとユイの為に7階層で、魔法とスキルの練習をして行こうと思う。
Cランクのダンジョンは武器の性能だけでクリアしたようなものだから、ここいらで実力も付けて貰うつもりだ。
エマに関しては火力は問題無いのだから、後は技術を身に付けて欲しいところだ。
ユイはヒーラーなので火力は期待していないが、銃の性能はAランクにも通用するのだから、もっと使いこなして貰いたい。
影魔法を合わせれば、火力不足とは言われないだろう。
アオイに関しては、生産職なのにスキルが戦闘にハマったお陰でスキルの使い方は1番上手いと思うが。
機動力が心許ない、森林地帯などはアオイも動き易いのだが草原ではそうもいかない。
その辺りは追々考えるとして、先ずはエマとユイの強化をしていこう。
エマは魔法の強化に、ユイは銃の取り扱いと影魔法の強化をして貰う。
エマはワイバーンとのドッグファイトをひたすら繰り返して貰う。
慣れて来たら数を増やして行こう。
ユイには地上からの射撃戦をして貰う。
ユイは影魔法を使って貰い、攻撃を躱して貰いながらの戦闘だ。
ワイバーンは地上に降りて来ることが無いので、影魔法が移動にしか使えないのは痛いところだが。
影魔法で移動して影が届くなら魔法で仕留めて貰おう。
アオイは現状ワイバーンくらいは倒せるポテンシャルはあるのだが、糸の射程距離が20m程しか無いのでワイバーンを捉えることが難しい。
だが、アオイは元々戦闘系のスキルが取れなくて生産職に就いたことから、それらのスキルの獲得は出来ないだろう。
なのでアオイには斥候職系のスキルが取れないか試して貰う。
索敵を始め、潜伏や隠密などのスキルが取れればアオイは立派な暗殺者に成れるだろう
本人が成りたいかは別にして。
それから私がワイバーンを釣って来てエマ達に相手をさせる。
アオイが2人にアドバイスをし、私がアオイに索敵などを教えていく。
人間のスキルの使い方が、魔物とは多少違うようで私がアドバイスしても2人には伝わらなかった。
決して私が教え下手なのでは無い、…絶対に。
スキルの使い方ではなく索敵や潜伏の仕方をアオイに説明したときはちゃんと伝わっている筈だ。
魔物は本能でスキルを理解している部分があるようで、自然にスキルを使う。
そうしなければ、ダンジョンの中では生きられないからだ。
ダンジョンの中では魔物同士でも戦闘する。
相手の魔力を奪う為だ、魔力を奪い自分の格を上げることでレベルが上がり強くなっていく。
ダンジョンの中では強さが無いと生きていけないからな。
強さと言っても単純な腕力的な話では無い。
魔法然り、攻撃力が無ければ隠れて生き残る強さを身に付けたり、状態異常にさせたりと色々な武器を持っている魔物達もいる。
ダンジョンに潜ると言うことは、生きる為の力を養うと言うことかも知れない。
私は場合はそれに転生者特典のメニューがあるので客観的に自分のスキルを確認することが出来る。
人間は鑑定のスキルが無いと自分のスキルを見ることが出来ない。
同じようなスキルを持っていても、人によっては出来ることが変わってくるものまであるようだ。
要はイメージの仕方なのだと思うのだが、スキルを理解して明確なイメージさえ出来れば同じことが出来る筈なのだ。
試行錯誤をしてスキルを理解している人間に対して魔物は本能でスキルを理解しているから、その違いなのかもしれない。
エマには魔法は試すことが重要だと説明する。
その魔法で出来ないことはイメージしても出来ないからだ。
最初から出来ないと決めつけるのではなく取り敢えず試せと、試して出来ないことは出来ないのだ。
出来ないと思い込むと出来なくなってしまうこともあるので、魔法には柔軟な思考が必要になってくる。
ダンジョン産の武器や防具にも言えることなのだが、宝箱から出た装備にはスキルが付いていることがある。
そのスキルなのだが、結構色々なことが出来たりするのでその仕様を確認するだけでも大変な作業である。
アオイが作ったインナーは耐性が付いてるが、オートで発動するので問題無いのだが。
アクティブスキルは自分で試さなければ分からないことも多い。
ネメシスの指輪がそのいい例かも知れない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます