第25話
翌日大工さんが来た後、家のことをお任せして私達は上野に飛んだ。
上野ダンジョンに初めてパーティーとして潜ることになるが、5階層までは飛んで行くので余り変わり映えは無い。
5階層で牛さん狩りをするのか、6階層以下に降りるのかは気分次第なんだろうなと思っている。
私達は5階層森林地帯の上を飛んでいる。
並びはユイの後ろにアオイ、最後にエマの順で私の背に乗っている。
ダンジョン内なら法律は対応されないので、3けつでも問題ない。
ユイは先頭で卵を大事そうに抱えている。
それをアオイが糸で抑えて、エマは落ちても自分で飛べるので1番後ろに乗っていた。
ダンジョンに着いてから3人は魔力を卵に与えていて、私も
心なしか卵の中身が動いているような気がするので、思いのほか卵が孵るのが早いような気がする。
森林地帯を抜けて草原に出たら砂埃が舞っているのが良く分かる。
今日はグランドバッファローは居ないようなので、アークバッファローを10頭程捕まえた。
アオイが居ると血抜きが楽で助かる。
「今日のノルマは達成したけど、どうしようか?
時間も早いから下の階層目指してみる?」
「そうですね、牛さんばっかり狩っても値下がりしてしまいますからね。
私は賛成です。」
「私も問題無いぜ、牛だけだと運動不足になりそうだ。」
「ピュィピュィピュィ(私は1人でも行くぞ)」
「ダメだよ、ピーちゃん。
抜け駆け禁止だよ。
ピーちゃんの目的はドラゴンのお肉でしょ。
ドラゴン倒しに行くなら全員で行くからね。」
「私もドラゴンのお肉には興味があります。
料理はしてみたいですね。」
「黒いの程じゃ無くてもドラゴンの鱗には興味があるな。
ドラゴンは捨てるところが無いと言われるくらい素材が取れるから私も気になるぞ。」
これはこのままダンジョン攻略の流れになりそうだな。
取り敢えずそのまま6階層まで飛んで行くことになった。
6階層の階段は既に見つけてある。
6階層は草原地帯で、此方はカンガルーの群れが暴れている。
カンガルー同士で殴ったり蹴ったり組み合ったり群れて競い合っているようだ。
なんか全然可愛くない、妙に迫力があるカンガルーが沢山いる。
お肉の値段は然程高く無いので、この階層はスルーするつもりだ。
マップを埋めつつ、階段を探す。
階段が見つかり下の階層に向かう。
7階層からが Bランクの魔物が出て来る階層だ。
バジリスクは、鶏冠がある蛇に羽が生えている魔物でコアトルの下位互換に位置する魔物なのだが。
石化の魔眼や猛毒など状態異常の攻撃を得意とする。
ワイバーンは空飛ぶトカゲだが、風魔法を使うので注意は必要だ。
肉は価値は無いが、革や羽の皮膜などの素材は高値で売れる。
次にミノタウロスだが二足歩行の牛さんだ。
肉は赤身でアークバッファローより淡白だが、美味しいらしい。
是非確保したいところだ。
7階、8階層が草原地帯で、9階層が迷宮地帯になっている。
ミノタウロスは9階層から出て来る魔物だ。
バジリスクは7、8、9階層に出て来るが、ワイバーンは7、8階層しか出て来ない。
7階層に降りたら、エマには単独で飛んでもらう。
バジリスクやワイバーンに対応して貰う為だ。
ユイにはマナ銃での牽制、アオイには近づかれたときの糸による中距離の攻撃をして貰う。
エマは単独でもワイバーンくらいは倒せるので遊撃を任せている。
7階層に降りて、空を飛ぶと直ぐにワイバーンが飛んでくる。
取り敢えずエマにワイバーンを任せて、私はバジリスクが森に潜んでいるので警戒しておくとバジリスクが石化の邪眼を飛ばして来ていた。
「ピュュュィピュィピュィ(バジリスクが下にいる見るなよ)」
「「了解です(だぜ)。」」
牽制でユイが下に向かって乱射しているが、バジリスクの視線を切る為に乱射しているだけなので、当たりはしていない。
少し高度を落としてアオイの糸が届くところまで下がる。
エマはワイバーンとドッグファイトをしている。
機動力はエマに軍配が上がるが、速度はワイバーンのほうが速くエマがワイバーンを捉えきれていない。
私が牽制でワイバーンにマナバレットを打ち足止めをする。
足が止まったら、エマのマナナイフでも仕留め切れるのだが偏差射撃がまだ出来ていなかったようだ。
アオイはスキルで何となく理解しているようだが、エマとユイは動いている的に当たるのが少し苦手なようだ。
これはこれ以上進むのは危険なようだ。
私1人だけならワイバーンだろうが、バジリスクだろうが気にしないのだがそれでは意味が無いと思う。
ワイバーンの死骸を空中で収納し、バジリスクをアオイの糸で拘束したまま7階層の入口まで戻って来た。
「ピュィピュィピュィピュィピュィ(エマとユイは射撃の特訓な)」
「何で名指しだし、確かに苦手だけど戦闘は出来てたよ。」
「私はそうですね。
少し訓練したいです。」
「ユイちゃん、そこで裏切るの?
ピーちゃんの飼い主は私だからね!
そこは譲らないよ。」
「ピュィピュィピュィピュュィピュィ(飼い主ならちゃんとしろ)
ピュィピュィピュィピュィピュィ(下手くそなんだからユイを見習え)」
「酷いよピーちゃん、確かに手間取ったけど、ちゃんと戦えてたよね?
私は出来る子だよ。」
「ピュィピィピュィピィピュィピィピュィピィ?(アレで群れを相手に出来るのか?)
ピュィピュィピィ(それなら良いが)」
「御免なさい、それは無理です。
ユイちゃん、ピーちゃんが虐めるよう。
これが世間一般で言う反抗期ってヤツかな?」
「違うと思いますよ。
ピーちゃん1人ならこの階層も難なく越えられると思いますから。
エマは火力はあるのですから、頼りにされて居るのですよ?
ピーちゃんが言ってることは正しいと思ってますよ。」
「ユイちゃんが、ピーちゃんの奥さんしてて私は辛いよ。
アオイちゃんは何も言われて無いから良いけどさ。」
「私か?
私は遠距離が無いからな、ピーちゃんが近づいてくれるから攻撃出来てるだけだから楽なもんだ。
ただユイは私が動きやすいようにはしてくれてたからな。
エマは1人な分大変だけど、期待されて居ると思えばやる気も出るだろ。」
「ピュィピィピュィピィ?(お前は寄生虫か?)
ピュュィピュィピュュュィピュィ?(それともパートナーか?)」
「勿論パートナーだよ。
奥さんはユイちゃんに譲ったけど、ピーちゃんの相棒は私だからね。
そこは譲らないよ。
ワイバーンの100や200なんか軽く蹴散らしてやるんだから。」
「その粋だぜ、エマちゃん。
流石我らのリーダーだ。」
「私は攻撃手段が限られてますからね。
空中戦はエマちゃんに任せます。
9階層のミノタウロスは私も頑張りますからね。」
「ピュィピュィピュィ(それなら頑張れ)
ピュィピィピュィピィピィ(此処はお前の見せ場だ)」
「分かったよ。
私に任せておいて、リーダーの私が皆んなを守って上げるんだから。」
単純な性格で助かるが、これだから皆んなが付いて行きたいと思うのだろう。
私には無理なことだ。
私なら勝手に着いて来いと、言ってしまいそうだ…。
それを言ったら誰も付いて来れなくなると思うがな。
此処のダンジョンも5階層までは冒険者も多いのだが、それ以降の層は急激に少なくなる。
4人パーティーで、アークバッファローを1体狩れば泊まり込みでもそれなりの稼ぎにはなるからだ。
無理をしなくてもそれなりの裕福な生活を送れるなら、人は無理をしない生き物だ。
私達が大量にアークバッファローを卸したことにより、値段が下がったが一頭あたり600万より下がることは無い。
国産の和牛より高い値段で落ち着くのだ。
なら、無理をしてそれ以降の階層に潜る冒険者は他の目的があるだけの話だ。
ある意味上野ダンジョンは上を目指す冒険者とそれなりの冒険者を選抜する為のダンジョンとも言えるかも知れない…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます