第24話
お金の話は大体解決したが、税理士にはこれからも色々お世話になりそうなのでパーティーとして契約して貰うことにした。
これも冒険者としての活動なので免税の対象になる。
税理士さんが帰った後は今日の報告をする。
ユイが卵を出して、
「ピーちゃんと結婚します。」
と何か言っている。
「ピーちゃんに卵を産ませたのは私だから責任を取ってピーちゃんと結婚するね。」
「ピュィピュィピュィ(バカなことを言うな)」
ピュィピュィピュィ(魔物は結婚しない)」
「ピーちゃん酷いよ。
ユイちゃんとは遊びだったの?
そんな酷い子に育てた覚えはないからね。
ちゃんと責任を取って、結婚しなさい。」
「ピュィピュィ(イヤイヤ)
ピュィピュィピュィ(確かにユイと作った卵だが)
ピュィピュィ(親は私だ)」
ピュィピュィピュィ(ユイは卵に魔力を与えただけだ)」
「そうですね、卵を作るように誘惑はしましたが。
卵を産んだのはピーちゃんですね。
私は産まれた卵に魔力を与えてテイムしただけですね。」
「卵に魔力を上げるの?
私もやってみて良いかなユイちゃん?」
「構いませんよ、何ならアオイちゃんも魔力を下さいませんか?
そうすればパーティーの子になるんですかね?」
「ピュィピュィ(そうはならない)
ピュィピュィピュィピュィ(あくまでも親はユイだ)」
「そうなんですね、でも魔力は貰っても良いですか?
この子なんだか食いしん坊みたいなので。」
「ピュィピュィピュュィ(ダンジョンの外はマナが薄い)
ピュィピュィピュィピュィ(なるべく影に入れて魔力を補充してやれ)」
「そうなんですね、これからは気を付けます。」
エマとアオイにも魔力を注いで貰い、ご機嫌なユイだ。
だがたまに突拍子もないことを言って驚かせるから困ったものだ。
それとフロアボスのグランドバッファローの討伐の話になった。
「2人でそんなの相手にして来たの?
あれほど無茶しないように言ったんだけど?」
「ピュィピュィピュィ(ただのデカい牛だ)
ピュィピュィピュィピュィ(そんなに文句を言うのなら肉は要らないな)」
「そう言うことじゃないからね?
お肉は食べさせてよ、意地悪。」
「大丈夫ですよ。
お肉は半分は売ってしまいましたが、4人では食べきれない量が有りますからね。
今日は豪勢に行きましょうか。」
「ユイちゃんは話が分かるぜ。
出来れば酒の肴も用意してくれると有難いぜ。」
「分かりました。
今日はグランドバッファローのお肉で色々なお料理してみますね。」
それからユイが料理を始めるとエマにアオイに拉致られるわたしだ。
「ちょっといつからユイちゃんとそんな関係になったのよ。
主人の私も知らないなんて恥ずかしいから言っといてよね。」
「ユイの卵はSランクのグリフォンになるのか?
それとも普通のグリフォンになるのかどっちだ?
また新しい素材が手に入ると良いけどな。
黒いのの毛は他の色に染まらないから黒しか出来ないのがなぁ。」
勝手に騒いでいる2人だが、私が想像した通りの反応だ。
エマは主人として、アオイは新たな素材としてしか見ていない。
私のことを大切にしてくれているのは分かってはいるが、純粋に魔物をテイムしたいと思っているユイとは感覚が違うだろう。
ユイも魔物をテイムしたいとだけだよな?
私との恋愛関係では無いと思いたい。
グリフォンと人間の恋愛なんてダレ得な話だ。
薄い本にもならない。
耳元でギャーギャー騒いでいるのを無視して、ご飯が出来るのを待っている。
ユイが30分程でご飯出来たと言って来た。
昨日よりも時間が短いような気がするが?
今日は簡単な料理にでもしたのかも知れない。
「お待たせしました。
今日はユッケとハンバーグにステーキもあります。
それにすき焼きに牛丼風のお肉もありますよ。」
ものの30分で作ったにしては時間が短いようだが、スキルの効果が上がったのかも知れない。
「本当に今日は豪勢だね。
それじゃユイちゃんに感謝して、頂きます。」
「「「頂きます。(ピュィピュィ)」」」
私はユッケから頂くことにした。
生肉なんて獣臭いと言うかも知れないが、私は魔物だ。
生肉を食べても腹を壊すことは無い。
肉の旨みと少しのごま油の匂いとちょっとした塩気が抜群に美味い。
生肉の臭みも無く、旨みしか感じられない。
次にハンバーグを食べる。
ふっくらと仕上がっていて、ハンバーグを割ると肉汁が溢れて止まらない。
ハンバーグの上に掛かっているデミグラスソースと一緒に口に入れると肉とソースの味が複雑に絡み合いえも言われぬ美味しさだ。
ステーキは昨日食べたなと箸休め的に口に含むとこれまた昨日と違う料理を食べたのかと思うくらい脂の旨みが違う。
肉が違うとこんなにも味が変わるのかと思う。
すき焼きは関東風の甘辛いわりしたに肉の旨みが溶け出して旨みが倍増している。
牛丼風も玉ねぎの甘みと肉の旨みとに甘塩っぱいタレが良く合う。
ユイが調理師のスキルが生えてから食事が楽しみで仕方が無い。
今日も皆んな満足したことだろうが、食べ過ぎると太るぞ。
ご飯の後少し休憩してお風呂タイム、卵を産んだせいなのか女性の裸を見ても興奮しなくなっていた。
少し気になってメニューのスキルを確認すると[雌雄同体]がグレーアウトしていた。
グリフォンとして発情期でも迎えていたのか、一回限りのスキルなのか分からないが私はメタモ◯より優れてはいなかったようだ。
それならとゆっくりお風呂に浸かることにした。
エマ達が出て行った後も暫くお風呂に浸かることにしたが、乾かすからと強制的にお風呂の湯を捨てられたのは少しやるせなかった。
卵の為にもダンジョンには通ったほうが良いので、明日もダンジョンに潜ることにしたのだが。
明日はアオイが休みの番なのだが、食べた分運動したいと騒いでいた。
それならばと母屋の貴重品から家具家電も全て収納することにした。
そのほうがリホームもしやすくなるだろうし、家を開けても盗まれる心配も無い。
必要な物はその都度私が出さなければならないが、それは仕方が無いだろう。
明日からはまた3人でダンジョンに行くことになりそうだ。
エマとアオイからは抜け駆けは許さないと言うような圧を感じるが、私にはそんなつもりはない。
偶々、そうなったに過ぎない筈なのだが、コレがユイの計画通りならと思うと背筋がちょっと寒くなる。
そんなことは無いと思いたいが……。
そんな訳で明日からは上野に3人で行くことになるが、それなら私の計画が実行出来るような気がする。
私の目的はドラゴンのお肉にある。
それをユイが調理してくれたら、多分今まで食べたものより美味しくなるのは確実な気がするのだ。
問題は私が単独行動しても許されるかなのだが、エマがダメと言えば私は行けないのだ。
一応テイムされている身なので、逆らうことは出来ない。
多分だけど、なんか今までがゆる過ぎて命令を無視しても何とかなりそうなんだよね?
私に取ってはプラスかも知れないが、エマに取ってはマイナスだろう。
普通のテイムってどんな感じなのか知らないから何とも言えないけど、普通はもっとガチガチに拘束されていそうな気がするよね?
じゃなきゃ魔物なんて飼える訳が無い。
自由な私が不自然なのだ。
明日からのダンジョンは3人で潜るのだから戦力的には問題ないが、出来れば5階層以降のマップも埋めておきたい。
暫くは上野に通うことになるならそのうちチャンスはあるだろう。
焦らずに様子を見て行動して行こうと思うが、エマのことだ暫くは私から離れそうに無い気がする。
ユイも怪しいしな。
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