第19話
私達は受付に行き、受験者番号を告げる。
「受験者番号57と58です。」
「エマ様とピーちゃん様ですね。
お2人とも合格ですね。
エマ様の免許証は此方になります。
ピーちゃん様は牽引も受けるようですが、コレから受験致しますか?
牽引は本日ピーちゃん様お1人なので直ぐに行えますがいかが致しますか?」
「ピュィピュィ?(受けてもいいか?)」
「ピーちゃんならどうせ1発で受かるでしょ。
直ぐだから大丈夫だよ。
ちょっと遅くなっても問題ないと思うし。
皆んなには連絡しとくから。」
「ピュィピィ(ありがとう)
ピュィピュィピィ(それではお願いする)」
「畏まり出した、それでは担当のものをお呼びしますね。」
担当の試験官がやって来て。先ほどの海保の施設まで戻って来た。
教官の手本コースを見せられる。
教官の魔物は、スレイプニルと言う脚が8本もある魔物だ。
牽引免許は基本地上の魔物に対する免許ので、地上での試験になる。
スレイプニルにはキャンピングカーが繋げられていた。
この世界のキャンプは魔物と一緒に行くようだ。
私達は移動のみ出来ればいい、キャンピングカーじゃなくてもコンテナハウスでも収納してしまえばそちらの方が快適だ。
キャンプに行くかは分からないが。
話が逸れたが、この試験は車の牽引免許と内容は変わらない。
車庫入れにS字カーブなどの技能を見る訳だが、車ではなく自分で引いたら押したりしてる分楽なのだ。
普通は魔物に言うことを聞かせながらの試験なのだが、私自身の操作なので其処は関係ない。
教官と同じようにルートを通って難なく実技は終わった。
空の牽引については、2級のほうで触れているのでそちらの免許で対応出来る。
「ピーちゃん様は素晴らしい技術をお持ちのようですね。
試験は合格です。
受付で手続きをして免許を受け取って下さい。
本日はお疲れ様でした。」
「良かったね、ピーちゃん。
今日1日で免許が取り終わるとは思ってなかったけど、早く終わって良かったよ。」
「ピュィピュィピュィピュ(こんな話を引っ張っても仕方がない)」
「ピーちゃんは誰にそんなことを言ってるの?
訳の分からないことを言っちゃダメだよ。」
「ピュィピュィ(すまなかったな)」
私達は受付に戻り合格した旨を伝えた。
既に私の免許証が出来ており、それを受け取って帰宅した。
既にアオイとユイも帰って来ていて、皆んなでご飯にすることにした。
「私とピーちゃんは免許の取得に成功しました。
パチパチパチ。
2人はどんな感じだったの?」
「流石エマちゃんと黒いのだぜ。
私のほうは木工士に馬車が作れるヤツが居ないか聞いて来たぜ。
最近はキャンピングカーを作るのが支流のようだが、相談したら面白がって話を聞いてくれたぜ。
明日此処に呼ぶことになっているが問題ないか?」
「それは問題ないよ。
ユイちゃんも大丈夫?」
「私も粗方の情報は集めて来ましたから問題ないですよ。
馬車作りは楽しそうですね。
楽しみです。」
「そうだよね、ロイヤルな馬車にする?
私達の衣装もドレスアーマーとか良いんじゃないかな。」
「エマやユイは良いかも知れないが、私は無理だぞ。
糸での移動を考えるとあんなヒラヒラした服なんか無理だからな。
やるならお前たちだけにしてくれよ。」
「えぇー、どうせ見た目だけなんだからアオイちゃんも一緒にやろうよ。
この白のワンピースを元に、胸下のコルセットと腰回りだけでも雰囲気は出ると思うよ。」
「それくらいなら良いが、そんな格好でダンジョンに行って怒られないか?」
「大丈夫だよー、ピーちゃんの羽や毛で作れば防御力は鉄以上なんだから。
もしかしたらアオイちゃんに依頼殺到するかもよ?」
「それは嬉しいような、ウザいようなどっちとも言えない感じだな。
ピーちゃんの素材あっての話だから適当に誤魔化して、件数を絞るかな?
そんなことになったらだが…。」
「Aランクの冒険者は欲しがると思うよ?
お金も持ってるだろうし、Sランクはそれぞれ既に専用の装備な筈だから要らないかもだけど。
それなのにBランクの私達が装備してるのが可笑しいのだけどね。」
「そうですね、Aランクは確実に来そうですね。
BランクはAに上がる為の欲しがるかも知れませんが、お金の問題もあるでしょう。
Sは、私達の格好を見て面白がって注文するかも知れませんね。」
「ピュィピュィピュピュュィ(それなら私が気に入らないヤツには売らないからな)
ピュィピュィピュュィピュィ(面接して直接会える人に売れば良いだろ)
ピュィピュィピュィピュィ(それならアオイのスキルで直ぐに作れる)」
「そうだね、ピーちゃんの素材なんだから、ピーちゃんが面接したら良いよ。
それが通ったらアオイちゃんが作って上げれば良いからね。」
「そうだな、購入は要面談にして直接会って販売すればそれほど手間では無いかな?
その日だけはダンジョンに行けなくなるけどな。」
「私達も毎日ダンジョンに行く訳ではありませんから、問題ないですよ。
ちゃんとアオイちゃんの休日も作りますから大丈夫ですよ。」
「そうだよね、ダンジョン攻略は急ぐ訳じゃないからね。」
「エマちゃんならSランクも夢じゃないと思いますけどね。
アオイちゃんもスキルと装備の相性は抜群だからAランクは確実に行けますからね。」
「それを言うならユイちゃんだって影魔法を使ったらエゲツない攻撃が出来るんじゃないか?
影から影へ移動しながらの乱射なんてされたら、対処出来ないぞ普通。」
アオイは自分のワンピースの裾を伸ばして操り、敵を攻撃していた。
戦っている最中にスカートの裾が短くなっているのを見るとドキドキしてしまった。
インナーを履いているからと少し無防備な気もするので、中に何か履いたほうがいいと思う。
私の精神衛生上良くないので是非履いて欲しい。
ユイはまだ指輪の性能を試して無いのでコレからだが、影魔法で出来ることを考えると凶悪なことになるのは目に見えている。
移動が平面にならないように指導して行こうと思う。
木の影なんかを使えば樹上からの狙撃も出来るのでコレからが楽しみだ。
3人とも装備には恵まれているが、Aランクのポテンシャルはあると思う。
攻撃力はエマがずば抜けているが、ユイのトリッキーね機動力とアオイの拘束力は良いチームだと思う。
「暫くは冒険者としてはお休みにしよう。
明日からは大工さんも来るし馬車の打ち合わせもあるから予定はビッチリだけどソコソコ蓄えもあるから大丈夫だよね。」
「そうだな、本格的にBランクダンジョン行くまでには装備も手直ししとこうか。
馬車のシートなんかは、私が作るからまた黒いのには素材を提供して貰わないとな。」
「ピュィピュィ(必要なら言ってくれ)
ピュュィピュィピュィピュィ(ダンジョンに行って用意してくる)」
「頼むぜ黒いの、後は何処のダンジョンに潜るかだが、それは追々決めて行けば良いんだろ?
どっちかのBランクになると思うけどな。」
「そうですね、私が調べたことを簡潔に纏めると、ゴブリンはコレからBランクを目指す人向けですしね。
田園調布はAランクを目指す人向けで、上野はお肉が欲しい人向けですね。」
「それなら上野に行きたいけど、田園調布は避けては通れないよね。
最初は上野にお肉を取りに行って、攻略は田園調布が良いと思うよ。
上野は肩慣らしだね。」
「それが良いと思いますが、まだ先の話ですからゆっくり決めましょう。」
私的には上野一択なのだが、外での魔力補給が必要なのでお肉は必須だ。
田園調布のほうでも食用肉が出るのか確認しないとな。
それ次第では上野で肉の確保しておかなければならない。
ダンジョンに潜っていれば問題はないけどな。
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