第18話
「お待たせしました。
私羽田航空免許センターのマワタリと申します。
今日はエマ様とその従魔が免許を取りに来たと言うことで宜しいですか?」
「はい、先ほども申しましたが2人で取りに来ました。
私は風魔法のスキルで、この子ピーちゃんもスキルを持ってますので免許を取る資格はあると思いますが。」
「確かにエマ様は問題有りませんが、ピーちゃん様は資格は有りますが試験を合格出来るとは思いませんが?
エマ様の従魔なら、エマ様のお一人の資格で充分で御座いますよ。」
「ピーちゃんが免許を取りたいと言ったので一緒に来ました。
あとピーちゃんは牽引免許も一緒に取るみたいです。」
「それではピーちゃん様が人語を理解していると認識しても問題無いですか?
あと人を襲ったりしないですよね?」
「人語は理解しています。
話は通じますので問題ないですよ?
ピーちゃんは人は襲いませんから安心してください。
2級の免許は一緒に受けますし、牽引も私は立ち会いますよ。」
「それなら宜しいのですが、筆記試験は如何なさいますか?」
「ピュィピュィ(自分で書ける)」
私は
『試験は受けられる、問題ない。』
と一筆書いた。
マワタリさんが驚いていたが、速く免許を取らせて欲しい。
「分かりました。
それでは身分証明書をお出しください。
此方で書類を書いていただきます。」
エマはBランクの冒険者カードと私の登録カードを提示した。
「はい、確認しました。
では此方の書類を記入して下さい。
此方が2級の書類でピーちゃん様は此方の牽引の書類の記入をお願いします。」
それからエマと2人で書類を記入して提出した。
講習はことあと直ぐに受けれるようだが、座学を受けた後に試験をするか確認された。
座学の最後にテストを受けて合格した人は実地試験を受けれるようだ。
基本は座学のみで良いのだが、近年航空事故が多いため技能テストも追加されたようだ。
「ピュィピュィ(勿論受ける)」
「ピーちゃんは大丈夫かもしれないけど、私は自信は無いよ?」
「ピュィピュィ(そのときはそのときだ)」
「分かったよピーちゃん。
それじゃ受けますね。」
「畏まりました。
そのように、手続きしておきます。
講習は午後の1時からとなっております。
遅れないよお願い致します。」
エマと軽く昼食を取り、講習会場に番号順に座ることになっているようで私とエマは離れて座ることになった。
多分ワザとだとは思うけど。
「ピュィピュィ(頑張れよ)」
「ありがとうピーちゃん。
私も受かるように頑張るよ。」
講習の内容は昨日から調べてある。
試験の問題も過去問を解いて来た。
大体の傾向は掴めているので、余程捻くれた引っ掛け問題が無ければ合格出来るだろう。
講習は予習して来たものと然程変わりはなかった。
要は2級だと国内しか飛べないよと言う免許だ。
日本の領土とその海域は食べるがそこから出ないで下さいねっと。
後は高度は1000m以下と空港や自衛隊、国の施設の上は飛ばないこと。
それ以外は車の免許と変わりない。
1級は海外にも行けるようになるが、此方の資格は流石に難易度が違って来る。
共通言語の英語が話せないと始まらない。
私は日本語は分かるが英語はほぼ話せない。
元が日本人だからね。
3時間の講習が終わり、テストなのだがコレまた簡単な問題だった。
引っ掛け問題もあったが、私が想定していたよりも大分素直な問題だった。
コレならエマも合格出来るだろ。
私は10分でテストを終え静かに待っている。
時間が来て、テストが回収された。
この後直ぐに採点されて、合格なら実技試験なのだが発表は30分後のようだ。
エマと合流して発表される掲示板の前までやって来る。
合格していれば掲示板に自分の受験番号が映し出される。
時間になって2人で掲示板を見守っていると。
次々と番号が表示される。
エマの次が私の番号だ、順番に見て行くとエマの番号があり私の番号も勿論あった。
「良かった、私の番号あったよ。
ピーちゃんの番号もあったね。
後は実技だけだけど、大丈夫かな私?」
「ピュィピュィピュィピュュィィィ(大丈夫だが心配ならナイフを装備しろ)」
「あぁ、あのナイフね。
腰にでも装備しとけば良いかな?
それなら何とかなりそうだよ。」
エマは空を飛ぶ技量はあるがそれはダンジョンの中でのこと、ダンジョンの外はマナが少ないので少々扱いが難しくなる。
それをナイフがマナを補ってくれればエマでも余裕で飛べるだろう。
私のほうがマナが少ないので自分の魔力も使用する分、飛距離は伸びないと思う。
私の場合は影移動のほうが楽かもしれない。
「それでは合格したかたは、此方にいらして下さい。
実技試験の為の会場に案内いたします。」
私とエマは、係員に着いて行く。
後ろでは魔物が受かって人様が落ちるのかよと、叫んでいる人も居たがそんなことは私には関係ないので聞こえなかったことにした。
今日のテストはそんなに難しくは無かったと思ったが、予習をして来なければ落ちても仕方がない内容ではあるかも知れない。
私達は外に出て、海上保安庁の倉庫がある近くで時試験が行われるようだ。
最近は海保もテイマーを起用して魔物に水中探索や空からの捜索をしている部署もあるようだ。
その訓練施設を借りて試験が行われるようだ。
試験の内容は決められたルートを通り戻って来ると言う簡単なものだが、車で言うなら坂道発進みたいな嫌らしいコースになっている。
「コレからこのコースを使って試験を致します。
順番はどなたからでも構いません。
受験番号だけは間違えずお教え下さい。
それでは始めたいと思います。」
「ピュィピュィ(オレから行こう)」
「すいません、ピーちゃんが行くそうです。
受験番号は私の次だったよね?
ピーちゃん受験番号58です。」
「ピーちゃん58番。
それでは初めて下さい。」
私は身体を大きくして空に駆け出した。スタート位置に着く。
空中に静止状態を維持するのは難しいらしいが、私のスキルは空歩なので止まることも余裕だ。
其処から指定のルートを通り、一時停止や緊急停止などの技術をこなして最後にスタートに戻って終了だ。
お手本通りの飛行だと思うのだが、合否は全部が終わってからまた掲示板で表示されるらしい。
「では終わったかたは、待合室に戻って貰っても構いませんし、このまま残って見学していても構いません。
それでは次は、どの方が行いますか?」
「受験番号57エマです。
宜しくお願いします。」
「はいでは、57番エマさん初めて下さい。」
エマは風魔法でスタート位置に着く、風魔法だと静止は難しいのだが難なくこなしている。
エマも危なげなくコースを周り終了した。
「ピュィピュィ(待合室に戻ろう)」
「そうだね、此処に居てもしょうがないからね。
待合室に行こっか。」
私達は待合室で待機することにし、エマと一緒に待つことにした。
何人かはエマに話しかけたかったようだが、私の威圧にメロメロになって近づいて来れない。
えっ、セリフが可笑しい?
仕方ががない、メロメロなのだから。
エマとと仔猫サイズのグリフォンが戯れているのだ、そりゃメロメロにもなるだろう。
全員が戻って来て、掲示板の前まで集まって来た。
「それではコレより航空免許2級の合格者の発表を致します。
掲示板に受験番号が記されましたら合格になります。」
「やっとだね、ピーちゃんは合格だと思うけど私はどうかな?」
「ピュィピュィ(心配ない大丈夫だ)」
掲示板に記された番号を眺めていると、57、58の番号が記されている。
「良かったよ、2人とも合格だね。
手続きしてこうよか。」
「ピュィ(そうだな)」
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