第17話

 Bランク昇格を祝って今日は豪勢にしようと家に帰って来た。

 出前で寿司やらピザやら頼んでいたが、オークの分厚いステーキも焼いていた。

 そのステーキだけでもお腹がいっぱいになりそうだが、私は何も言わない。

 出前も届き食べながらになるが、指輪を誰が使うかを決めようと思う。

 

 「誰がどの指輪を使う?

 まぁ、決まっているようなものかな?

 魔力回復の指輪はアオイちゃんでしょ?

 ネメシスの指輪はユイちゃんが使えば良いと思うけどどうかな?」


 「魔力回復はエマが使ったほうが良いんじゃないのか?

 私も魔力は現状困ってはいないぞ。」


 「アオイちゃんには説明してなかったけど、私は魔力を殆ど使ってないだよね。

 ピーちゃんの主って称号があって、魔力の元のマナを使っているから問題ないよ。

 ユイちゃんの銃もマナ銃と言って、魔力使って無いから魔力消費は無いからね。」


 「そんな称号を持ってたのか、通りで幾ら魔法を使っても平然としていたのだな。

 回復薬も飲んで無いようだったから、不思議には思っていたがな。」


 「ナイフとマナ銃はピーちゃんがコアトルを倒した宝箱に入っていた装備ですからね。多分特殊な装備だと思いますよ。

 そう考えると、ネメシスの指輪も特殊ですよね?」


 「そうだね、ピーちゃん関係は特殊だけど。

 影魔法ならユイちゃんじゃない?

 アオイちゃんは能力被るし、私には必要ない感じだよね?

 ピーちゃんの指輪だしピーちゃんが決めてよ。」


 現状ならユイだろうと思う。

 エマは風魔法での移動が出来そうなくらいには魔法が上達して来た。

 アオイは糸での移動が既に出来ている。

 Bランクのダンジョンでは後衛でも機動力が求められるので、ネメシスの指輪はユイだろうな。


 「ピュィピュィ(ユイで良い)」


 「はい、決定だね。

 私はピーちゃんから称号貰ったし、アオイちゃんは爪の糸とスキル貰ったからね。

 ユイちゃんは武器は貰ったけど、スキルは無かったからね。」


 「ピュィピュィピュィ(そうではない機動力の問題だ)」


 「そうだね。

 足を止めて撃つよりも、影移動であちこちから撃ってくれると撹乱には持ってこいの魔法だね。」


 「ピュィピュィピュィ(エマは風魔法で飛ぶ練習)

 ピュィピュィピィピュィィ(アオイは魔力糸での移動の練習だ)」


 「あぁ、3人とも機動力の練習か。

 確かにBランクからは動けないと危険な場所だ。

 ユイが影移動が出来れば3人とも特殊な移動が出来るようになるんだな。」


 「私に影魔法が使いこなせるでしょうか?

 私で大丈夫ですかピーちゃん?」


 「ピュィ(問題ない)」


 「私も風魔法頑張るよ、ピーちゃん。

 何かあったら教えてね。」


 「ピュィ(分かってる)」


 指輪は取り敢えず決まったな。

 コレから色々スキルも生えて来るだろうから、今後は分からないがそれはそのとき考えよう。


 明日は建築業者がウチに来るとのことだったからダンジョンはお休みだ。

 今後の方針としてCランクのダンジョンを攻略して自力を付けるか。

 Bランクのダンジョンに行き力を伸ばすか。

 どちらも間違いでは無いが、お金はBランクのほうが稼げるだろう。

 近場では川崎にCランクが田園調布にはBランクが少し離れるが上野にもBランクダンジョンがある。


 川崎のCランクダンジョンはゴブリンが主体で余り旨味は少ないダンジョンだが、ゴブリンとその上位種が出てくるだけなので比較的難易度は低いとされている。


 田園調布のBランクダンジョンは難易度が高くて有名な場所だ。

 敵はランク通りの強さなのだが、ダンジョンにトラップが仕掛けられていてその難易度が高いくなっている。

 実力を付けるなら此処が1番だろう。


 上野のBランクダンジョンは動物園の近くなのだが、出て来る魔物も動物型の魔物しか出て来なくて別名お肉ダンジョンと呼ばれている。

 なので人気のあるダンジョンではあり、収入も期待できるダンジョンだ。


 何処に行くかは3人に決めて貰うつもりだが、川崎の以外は少し距離が離れている。


 「次のダンジョンは何処にする?

 私は川崎は嫌だよ、上位種が居てもゴブリンはゴブリンだからね。」


 「それなら田園調布か、上野のダンジョンがBランクですね。

 2つとも少し距離がありすよね。

 コレから車の免許でも取りますか?」


 「それだったら黒いのに乗せて貰って、空から行ったほうが速くないか?

 3人でも乗れないことは無いだろう?」


 「それは私も考えたけど其方も免許が必要だよ。

 航空免許2級が必要みたいだし、騎獣1体につき2人までって決まりがあるみたいよ。」


 「それならエマが空を飛んで、ウチらが黒いのに乗るしか無いのか。

 私かユイちゃんも免許取らないとだな?」


 「ユイちゃんは騎獣が居ないから資格自体が無いかも?

 アオイちゃんの糸のスキルも確かダメだったよね?

 映画の真似して事故が絶えないとか言って。」


 「ピュィピュィ(私が取る)」


 私はパソコンの画面を開いて羽で指し示す。

 航空免許2級の説明にはスキル保持者か騎獣が必要としか書いて居ない。

 騎獣が取っては行けないとは書いて無いのだ。

 それから女神ネメシスの項目を開いて1つの説明文を示す。


 グリフォンは神々の馬車を引くのか役目で、ネメシスは漆黒のグリフォンに引かせていた。

 この馬車の項目を指し示す。


 「ピュィピュィ(馬車が欲しい)」

 ピュィピュィピュィピュィィィ(免許も取りに行く)」


 「ピーちゃん馬車を引くつもり?

 航空免許2級の他に航空牽引免許も必要だよ?

 ピーちゃん大丈夫?」


 「ピュィピュィ(問題ない)」


 「黒いのが免許取ってくれるなら、私は馬車職人を探さないとな。

 知り合いの木工師に当たって見るよ。」


 「それまでに私はダンジョンの情報を集めておきますね。

 それまではダンジョンはお休みにして、色々とやって行きましょうか?

 明日はリホームの打ち合わせもありますからね。」


 「そうだね、先ずはリホームして貰ってそれが終わったら私とピーちゃんは免許だね。

 その間はユイちゃんは情報を集めて貰って、アオイちゃんは木工師の確保だね。」


 話合いが終わり、お風呂タイムになった。

 私は諦めて無我の境地に入る。

 卵産んでもの良いのかな?

 此処ら一帯にグリフォンの巣が出来ても怒られないかな?

 最近は考えるのも面倒になって来た。

 グリフォン育てて騎獣販売したら儲かるかな?

 でも自分の子供で商売するのも何だよね…。


 お風呂上がりの縁側で精神統一ですよ。

 エマ達3人は女子会で盛り上がってるけどね。

 店舗やリホームの間取りなんかを確認してるみたい。

 

 翌日の午前中にリホーム会社がやって来た。

 お金はソコソコ稼いているので、問題はない。

 大工さんが家やガレージを見ながらアドバイスをくれているようだ。

 何なら私の納屋を作ってくれと言ったのだが却下された。

 こんなに広い庭があるんだから、納屋の1つくらい良いじゃないかドケチなヤツめ。


 リホームの話が終わり次は別行動になった。

 私とエマは2人で羽田空港内にある航空免許センターにやって来た。

 空を飛べる人種が増えたことによって新たに増えた免許なのだが、教習所がなかったので、各都市の空港がその代わりになった。

 そこで航空免許2級と航空牽引免許の講習が受けられる羽田空港にやって来た。


 「すみません、此処で航空免許2級と航空牽引免許の講習が受けられると聞いたのですが。」


 「はい受けられますよ。

 受講はおひとり様ですか?」


 「いえ、1人と1匹です。

 私と従魔のピーちゃんが受講します。」


 「少々お待ちくださいね。

 係のものに聞いて来ますから。」


 受付の女性が困った顔して奥に消えて行くのだった。

 魔物が免許取りに来るほうが珍しいからね。

 お姉さんの反応が正しいと思う。

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