第16話
「本当に何にも無いんだね?
もしかしてお宝がガッポリなんて期待してたのに。
残念だよ。」
「ピュィピュィピィィ(だから何も無いと言った)」
「そうだけどね。
もしかしてと思って、ピーちゃんが産まれた巣も此処から近いんだよね?」
「ピュィピュィ(この真上だ)」
「ならそっちも見に行こうよ。
ピーちゃんが産まれたところ見てみたい。」
「ピュィピュィ(何も無いぞ)」
「それでもだよ。
主人としてピーちゃんが産まれた場所は確認しないとね。」
私は溜息を吐きつつも皆を影の中に引き入れた。
洞窟を出て私だけが空を駆け上がる。
影の中に入れながらでも移動出来るようになったので、私が飛んだほうが早く移動出来るようになった。
3人でも背中に乗せられらが、ちょっと狭いからな。
崖の上に来て、3人を影から出す。
「影の中からでも外が見えるのが不思議な感じだね。
背中になるのも気持ちいけど、影の中も快適だよピーちゃん。」
「ピュィピュィ(そりゃどうも)」
「あの鳥の巣の大きいのがピーちゃんが産まれたところ?」
「ピュィ(そうだ)」
「おっきい鳥の巣だけど他は何も無いね?
見晴らしは凄く良いけどさ。」
だから何も無いと言ったんだが、エマには困ったものだ。
「アレは何ですかね?
何か光るものが有りますけど?」
ユイが鳥の巣の底に何かを見つけたようだ。
3人と近寄ってみるとそこには指輪が落ちていた。
前に確認したときは無かったと思ったが、見落としたのかも知れない。
ユイがそれを持ってマジマジと見ていた。
ユイはさっきから何がしたいのか分からないが、暫くは様子を見ようと思う。
「何かあったね?
これはピーちゃんの忘れ物かな?」
「ピュィピュィピュィ(そんなものは無い)
ピュィピュィピュィィ(前は無かった筈だ)」
「そうなんだ。
そうしたら誰からかのプレゼントだね。
ピーちゃんの親からだったりして。」
「ピュィピュィピュィ(そんな訳はない)」
卵厳選した後放置する親はそんなことする筈がない。
もしくはワンチャン女神様か?
あの後神話も調べたが、女神ネメシスの馬車を引くのは黒いグリフォンらしいからな。
普通のグリフォンご神々の馬車を引くが、ネメシス様は黒いグリフォンを好んだようだ。
その女神様がもしかしたら旅立ちのお祝いにくれたのかも知れない。
「ピュュュィピュィピュィ(取り敢えず持って帰ろう)」
「そうだね後は何も無さそうだしね。」
「そうだな、でもこれで私達も晴れてBランクの仲間入りだな。」
「これもピーちゃんとエマちゃんのお陰ですね。
Bランクなったら次は何処のダンジョンに行きましょうか?
Aランク単体なら今の私達にでも何とかなりそうですからね。」
「それは帰ってから考えようか。
それより協会に報告に戻ろうか。」
3人を影に入れ私は飛んで入口を目指す。
真っ直ぐ南に飛べば入口がある。
入口からは私も影に潜って1階層まで戻る。
受付に居るイガラシさんを捕まえて報告する。
「コアトルの素材の買取とアイテムの鑑定をお願いします。」
「畏まりましたエマ様。
今回はランクアップなさいますか?」
「3人のランクアップでお願いします。」
「取り敢えず、解体場にコアトルを卸に行きましょうか。
その後別室にて手続きと鑑定をさせて頂きます。
それではいきましょうか。」
「はい、宜しくお願いします。」
解体場にコアトル、オーガ、オークと素材を出して行く。
今回は全部買取に出した。
オークの肉もまだまだあるから大丈夫そうだ。
コアトルの鱗も私の爪よりは柔いので必要無いとアオイが言うので買取してもらう。
査定をして貰っている間に別室で手続きをしてもらう。
最初にBランクに上がる為の手続きだ。
コアトルの素材が丸々あるのと、2度目と言うことでBランクにはすんなり手続きして貰えた。
素材の一部だけとかなら買って来たものと疑われる場合もあるそうだ。
多分前例があるのだろう。
そんなので上のランクに行っても稼げなくなるだけじゃなく、命の危険もあるのだから意味は無いと思うのだが。
「ピーちゃん様には理解出来ないかも知れませんが、人間の中には見栄を張りたい人もいらっしゃると言うことです。」
ほぅ、と感心していたが私の思考を読むとは中々やらなイガラシも。
「中々やるなイガラシさんもとか思ってるでしょ、ピーちゃん。
顔に出てるからね、さっきからずっと。」
何でグリフォンの顔色分かるの?
普通分からないと思うけど。
「ピーちゃんだけだと思いますよ?
他の鳥を見ても分かりませんから。」
ユイまでそんなことを言って来た。
私の顔はそんなに分かりやすいのだろう。
気をつけなければ。
「取り敢えずピーちゃんは指輪と回復薬を出して欲しいな。
鑑定をお願いしなきゃ。」
「ピュィ(分かった)」
指輪と回復薬を出してイガラシに見てもらう。
「私も初めてのものですね、でも多分此方は分かりますよ。
詳しくは鑑定士さんに見てもらいますが、これは魔力回復の指輪だと思います。
Bランクダンジョンからは結構出てますからね。」
「そうなんですね。
これはアオイちゃんが装備かな。」
「良いのか、結構出ていると言ったってソコソコ貴重なものだぞ。」
「そうなんだね、それなら帰ってから決めようか。
もう一つの指輪の内容にもよるからね。」
そんな話をしていると前に来た鑑定士さんがやって来た。
「お久しぶりでも無いですね。
また楽しいものをお待ち下さってありがとうございます。」
「イヤイヤ、それほどのものは今回無いですよ。
イガラシさんの話では魔力回復の指輪らしいですから。」
「あぁ、そうなんですね。
それでは鑑定してみましょう。
どれどれ、確かにコレは魔力回復の指輪ですね。
回復薬は体力と魔力が2本です。
それで此方の指輪ですが、名前はネメシスの指輪ですね。
初めて見ました。
効果は影魔法が使えるようになるそうです。
多分コレは、ユニーク装備かも知れませんね。
女神の名を冠した指輪ですからね、2つと無いものかも知れません。」
「この指輪は、ピーちゃんの産まれた場所にあったんですよね。
ねぇピーちゃん、何か心当たりはないの?」
「ピッピュィ(知らん)」
「イヤイヤ知ってるよねその感じ、帰ったら教えて貰うからね。」
「今回も素敵な鑑定をありがとうございます。
ランクが上がってもたまには此方に来て下さいね。
ピーちゃん様の実家はいつでも迎えておりますから。」
そう言われれば此処が実家になるのか?
たまには帰ってくるのも面白いかも知れないな。
「鑑定ありがとうございます。
回復薬は売りに出しますね。
指輪は持ち帰りますから。」
「ありがとうございます。
エマ様達チームグリフォンの活躍を心より期待しております。」
「ピュィ(何だって)」
「ピーちゃんには言って無かったっけ?
ウチらのチーム名はグリフォンだよ。
ピーちゃんズと迷ったけど、グリフォンのほうがカッコいいでしょ?」
「ピュュィ(何でも良いよ)」
チーム名にはビックリしたが、私には関係ない話だ。
どうせ私はピーちゃんなのだから。
それからイガラシさんには冒険者関係の建築業者を紹介して貰った。
冒険者向けのお店は魔物の素材を扱うので一般の店舗より頑丈に作りセキュリティが厳重になっているものが殆どだ。
それか店舗は適当作り素材なんかは持ち帰る人も居るようだ。
その場合は収納系のスキルか空間系の魔法が使える人が多いが、中にはダンジョン産のマジックバックを使っている者もいるが。
ダンジョン産のマジックバックは売りに出されるとオークションで億は確実に超える商品だ。
ウチの場合は素材はどうせ私なのだから私が収納すれば良いのだ。
店舗は一般のでも良いと思うが、家のほうはセキュリティは上げて貰うつもりのようだ。
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