第15話
朝起きてダンジョンに行く準備をする。
3人娘は、黒のインナーに白いワンピース姿だ。
昨日の夜に突然爪を剥ぎ取られ、余っている爪も全て出せと言われ渋々出した。
その爪の糸で作ったワンピースで背中にはグリフォンの刺繍がしてある。
黒いグリフォンなので私のことだとは思うが、こんな見た目なのか自分では分からない。
昨日の夜に何があったのかは知らないが、3人で装備を揃えて来たようだ。
ハッキリ言って見た目は軽装だが、防御力はフルプレートより高い。
ちょっとしたお出かけに行くような格好だが、ダンジョンに行くための装備だ。
羽田ダンジョンに着いたら、一気に5階層まで駆け抜ける。
コアトルは動いていないようなので一気にオークの集落まで来た。
昨日と同じように集落の真ん中に出現する。
エマとユイの遠距離攻撃から開幕始まり、アオイの拘束が決まるなか爪の糸で首を跳ねて行くアオイ。
役割的にアオイが前衛なのだが、アオイも糸での中距離攻撃なので純粋な前衛はいないのだが。
糸による拘束がタンク役も兼ねているので、連携が良く取れている。
エマとユイは魔力切れの心配は無いのだが、アオイは自分のスキルなので魔力が心配だ。
一回糸を出しておけば、魔力は消費しないので暫くしていれば回復する。
繰糸も然程魔力を使わないので問題はないとアオイは言っていた。
なのでアオイはダンジョンに入って直ぐに魔力糸を用意して5階層を目指している。
なので今は8割がた回復はしている筈だ。
「ピュィピュィピュュィピュュィ(オーガの集落に向かうがコアトルの巣が近いから気を付けろ)」
「昨日も思ってたけど、巣が近くいと何があるの?」
「ピュィピュィピュィピュィ(オーガを襲うとコアトルが来る)」
「何で何だろうね?
助かるつもりなのかな?」
「ピュィピュィピュュィピュィ(オーガを食べるかただの戦闘狂かだな)」
「そっちかぁ、助けに来るなら良い魔物なのかなって思ったけどね。
そんな魔物はピーちゃんだけなんだね。」
私だって偶々だ、コアトルにリベンジに行ったらエマ達が襲われていただけのこと。
普通の魔物は魔力を得るために同族だろうが襲うのが常識なのだ。
オークの殲滅が終わったのでオークの集落に向かう。
コアトルはまだ動いて居ないが、オーガが襲われていたら此方に向かって来るだろう。
なので私達はコアトルとは反対側からオーガを襲うことにした。
オーガの殲滅が遅れた場合挟み撃ちに遭わないようにする為だ。
「ピュィピュィ?(準備は良いか?)」
「大丈夫だよピーちゃん。
オーガはサクサクと倒しちゃってコアトルに専念しないとね。」
やる気は充分なようだ。
昨日と同じようにアオイが手前に居るオーガを拘束して行く。
昨日と違うのは爪の糸で何体かは首を落として居ることだ。
拘束しているのはワザとだ、拘束されたオーガが邪魔で此方に向かって来ているオーガの足止めをしている。
エマとユイがその隙間を縫って狙撃して行く。
後ろが粗方片付くと拘束したオーガはそのままアオイの餌食になり、首を飛ばされて行く。
このタイミングが早かったり遅かったらすると連携が崩れるのだが、上手く3人は連携しているようだ。
この段階でコアトルは此方に向かって来ているが、コアトルが此処に来るまでには殲滅は終わっていそうだ。
「ピュィピュィ(コアトルが来るぞ)」
「了解だよー。
アオイちゃん、ユイちゃんこのまま仕留めるよ。」
「分かりました。
私は少し下がりますね。」
「任せときな。
コアトルが見えたら拘束してみる。」
コアトルは鱗は硬いが、力はオーガのほうが強い。
オーガを拘束出来るアオイならコアトルも拘束出来る。
魔力糸ではダメージは与えられないと思うが、爪の糸なら何とかなるだろう。
ユイはマナ銃の威力を上げれば通用するが、それは此処ぞという時まで温存する。
現状でも牽制くらいは出来る筈だから。
やはりこのメンバーの中でのダメージディーラーはエマだ。
エマの風と火の魔法は脅威的だし、マナナイフの飛ぶ斬撃はコアトルにも通用するだろう。
コアトルの羽を逸早く落とすことが出来れば、勝利は確実なものになる筈だ。
オーガの殲滅が終わったので、私も邪魔な死骸を回収しておく。
万全の体制でコアトル戦を望む。
そろそろコアトル見えて来そうだ。
「ピュィピュ(来るぞ)」
「アオイちゃんお願い。
私は羽を狙うから、ユイちゃんは見えたら牽制して。」
「「任せて(ろ)。」」
そのとき大木の上からコアトルが突進して来る。
ユイがコアトルの顔目掛けて乱射する。
一瞬だがコアトルがたじろいだ。
その隙を逃さず、アオイが糸で拘束した。
コアトルは空中でアオイと綱引きを始めるが、アオイの魔力と拮抗して身動きが取れなくなる。
膂力なら勿論アオイが負けるのだが、あくまでもスキルは魔力の力だ。
魔力の扱いや量によって力関係が決まる。
オーガを抑えるアオイなら、コアトルにはどうしようも出来ない。
拘束されたのを確認する前からエマは魔力を貯めていた。
アオイがやってくれるのを信じていたのだ。
コアトルの動きが止まった瞬間には風魔法とナイフの斬撃がコアトルの羽に命中していたのだ。
二対の羽が根元から千切れ飛ぶ、羽を失ったコアトルが落下して来るのを利用してアオイが地面に叩きつける。
コアトルは地面に頭から叩きつけられ朦朧としているようだ。
チャンスと見て3人が攻勢に出る。
エマは風魔法で首を狙い、アオイは既に尻尾を切り落としていた。
ユイもマナ銃の威力を上げて頭を狙っている。
素材の鱗のことを考えて攻撃しているようだ。
エマの魔法が決まり、コアトルの首が飛ぶ。
3人は危なげなくコアトルを倒すことに成功したのだ。
CランクなのにAランクの魔物がいるのが可笑しいと思っていたが、コアトルは単体で出て来た場合の難易度がそれほど高くは無いからなのかもしれない。
鱗が硬く攻撃が通り辛いが、通用する攻撃力が有ればコアトルは飛んでいるが蛇と然程変わらない。
コアトルが脅威なのは乱戦時の空からの毒攻撃が厄介なだけなのだから。
コアトルの死体の脇に宝箱が出現した。
アオイが調べたところ、罠はないようだが鍵が掛かっているようだ。
アオイは鑑定のスキルは無いが、職人としての見立てで判断しているようだ。
万が一があるかも知れないので宝箱の裏に周り離れたところから開錠する。
アオイの糸を伸ばし、鍵穴に糸が入って行く。
糸を鍵状にしてカチャリと開けてしまったアオイ。
経験を積めばそのうちスキルを習得しそうだな。
ゆっくりと宝箱を開けて、恐る恐る近づく3人。
宝箱の中身は指輪と回復薬が入っていた。
指輪の効果が分からないので、一旦収納し私達はコアトルの巣に向かった。
3人娘達が本来のコアトルの巣を見てみたいと言ったからだ。
コアトルの巣には何にも無いのだが、取り敢えず行ってみることにした。
急ぐわけでも無いので、巣までは歩いて行く。
道中逸れのオークやオーガがいるのでそれを倒しながらだ。
ユイが指輪や回復薬を見せて見せてくれた言われたので渡しておくが、綺麗でも装備するなよと念は押しておく。
アオイを少し先行させて索敵しながら進む。
エマは魔力とマナを感知出来そうなので広範囲での索敵をさせている。
まだハッキリとは出来ないようだが、そのうち慣れるだろう。
ユイはブツブツ言いながら指輪を見ているが怪しいから辞めさせようか悩んでしまう。
そんなカオスな空気の中、目的地が見えて来た。
マップで真北にある崖の麓に浅間の洞窟があり、そに中がコアトルの巣になっている。
コアトルは基本丸呑みなので魔物の死骸や食べ残しなどがある訳では無いので、此処に何かがある訳ではないのだが。
私達は洞窟に入って行った。
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