第11話

 話し合いの後は食事やお風呂などを済ませてご就寝。

 2日目にしてやっとオークの唐揚げを食べさせて貰った。

 お風呂は私がまた暴れたのだが、動物のお風呂嫌いだと思われているようだ。

 私が卵を産まないように我慢しているのを分かってくれないエマである。


 次の日からは、朝から羽田ダンジョンに向かう。

 4階層までは素通りして5階層に降りて行く。

 草原の魔物は極力無視して森の手前まで来る。


 昨日の打ち合わせで、ゴブリンの集落を殲滅しつつオークがいたら狩って行くことにした。


 なるべく中央の集落は避けて通る。

 コアトルと遭遇しても仕方がないからね。

 コアトルとる前にオーガの集落を殲滅したいところだが、オーガをってる最中にコアトルが襲って来ても面白くないのでこの計画は控えていた。


 ゴブリンの集落は前と変わっていないので、問題なく案内出来る。

 2人に戦わせて私は周囲の警戒だ。

 今は倒すのが楽しくて仕方ないようだが、そのうち警戒する術を教えようと思う。


 集落を殲滅し逸れのオークに案内して周り2人の実力もいい感じだ。

 今のコアトルの場所が分からないので、中央には行って無いが、コアトルは一回見に行ったほうが良いかもしれない。

 場所が分かれば中央の集落にも行けるようになるし、オーガの集落のときも楽になるからな。

 2人に内緒で見に行っても良いが、居なくなるとエマが騒ぎそうなのでやめといた。

 

 順調にダンジョンを攻略していき4日目の朝にユイに連絡が来た。

 アオイからで、防具が完成したから取りに来るよう連絡して来たようだ。

 羽田ダンジョンに向かう前にアオイの店に寄ることにした。


 「いらっしゃい、待っててよ。

 今回は私も色々と勉強になったよ。

 防具を確認して貰おうか。」


 「ありがとうねアオイちゃん。

 早速確認させて貰うよ。」


 肘当てや脛当て、ヘッドギアに胸当て各種のプロテクターにインナーがセットになっていた。

 この上に丈夫な洋服を着込んで完成になる。

 男性も女性も中身は大体一緒だが、男性は動きやすい格好だが女性はオシャレな人もいる。

 ユイはオシャレさんでエマが割と気にしないタイプだ。

 エマはユイに注意されるから気をつけているだけで、注意されなければ男性のような格好になりがちだ。


 「問題ないみたいですね。

 今回のは随分軽くなったんですね。

 インナーも薄くないですか?」


 「今回はコアトルの鱗があったからプロテクターも丈夫で軽くなっているが、本命はグリフォンの毛と羽だ。

 プロテクターの裏にも仕込んでいるが、インナーにはグリフォンの毛が編み込んである。

 羽もスキルで糸に加工して編み込んだ。

 それにより、保温性と通気性が良くなり防刃性と衝撃にも耐性がある。

 インナーだけでも優秀な防具になったよ。」


 「そうなんですね、それだと料金はいくらほどになりますか?」


 「それなんだが、グリフォンの毛と羽それに爪も何だが譲ってくれないか?

 2人分ならタダで良い、それ以上なら此方がお金を出すから。」


 「ピーちゃんは大丈夫ですか?

 ピーちゃんが嫌なら断りますけど、そんなに直ぐに毛とか生え替わらないですよね?」


 「ピュィ(問題ない)」


 私は身体を大きくし全身の毛と羽を生え替わらせて爪の全部替えて行く。

 身体を小さくして省エネモードにしておく、ダンジョンに戻れば元通りになれるからな。

 ここだとマナが薄くてこれが限界だった。


 「こんなに良いのかい?

 これだと4人分くらいにはなるね。

 差引の2人分の料金を支払うよ。

 S級素材の2人分だから、合わせて8千万でどうだい?」


 「ちょっと待って下さい。

 8千万って可笑しくないですか?

 エマちゃん、黙ってないで何か言って下さいよ。

 そんなお金貰ってもしょうがないですよね?」


 「うふふ、8千万あったらリホーム出来るかしら?

 ピーちゃんのベッドも買えるよね?

 うふふ。」


 「エマちゃん、帰って来て下さい。

 こんな所でトラップしないで下さいよ。」


 「ピュィピュィィィ?(店主ちょっといいか?)」 


 「何だい黒いの?

 この値段に文句でもあるのかい?」


 「ピュィ、ピュィィィピュィ(いいや、1人分2千万で定期的に下ろしてやる)

 ピュィピュィピュィィィ(だから2人のメンテナンス代もタダにしろ)」


 「黒いのは業突く張りだね。

 受注生産にするからね、取り敢えず見本分の2つは8千万で買うよ。

 注文が入ったら2千万で売ってくれ、メンテナンス代はタダにしてやるが売れなかったらこの話は無しだよ。」


 「ピュィピュィピィ(それで構わない)」


 「交渉成立だね。 

 まぁ、これが売れない訳は無いけどね。

 壊れたら直ぐに持って来な、作り直してやるからよ。」


 「またもやピーちゃんが交渉してるね?

 ピーちゃんの言葉って分かりやすいのかな?

 不労収入が手に入るなら冒険者はしなくてもいいのでわ?

 早速リホーム会社に連絡しないとね。」


 「エマちゃん、戻ってきて早々に変なことを言うのはやめて。

 一回税理士さんに相談したほうが良いよ?

 ピーちゃんのお金はエマちゃんのものだけど、税金は掛かるからね?」


 「あぁ、そうだね。

 税金かぁ、お金のやり取りは後でも大丈夫ですか?

 もしかして領収書とか入りますよね?

 その辺皆さんどうしてるのかな?」


 「協会を通して売買すれば手数料は取られるけど、税金関係はやってくれるよ。

 手数料は10%だったかな?

 それなりに取られるけど楽にはなるよ?

 今度私と一緒に協会に行ってくれれば、そこで契約できるよ?」


 「そうですね、それでお願いします。

 税理士の知り合いも居ないので、お店がお休みのときにでも一緒に行きましょうか。」


 「イヤ、早いほうが良いね。

 もし良ければこれから協会に行かないか?

 そこで素材の売買と防具の支払いを済ませたいからね。

 協会を通すと防具は経費で落ちるから税金も安くなる筈だよ。」


 ダンジョンに行く予定が、協会に行く予定に変わったが仕方がない。

 今後の2人のためにも必要なことだ。

 協会と言っても、羽田ダンジョンの買取場でもやってくれるらしいので目的地は変わらないけどね。


 3人と1匹で羽田ダンジョンに向かう。

 私は影に潜って付いて行っているのだが、何故か3人はスカートだった。

 上の景色が縞々と水玉と苺だ。

 順にエマ、アオイ、ユイなのだが、ココでも卵を産みそうになって困ってしまう。

 縞と水玉も良いが、苺はあざといと思ってしまった。


 そんなことがあったが羽田ダンジョンに到着して、いつもの受付に。

 

 「エマ様今日は如何しましたか?

 これからダンジョンに潜られるのですか?」


 「すいません、今日は此方のアオイさんと素材の売買で来たのですが宜しいですか?」

 

 「素材の売買ですね。

 契約書などが必要なら別途料金が掛かりますが、構いませんか?」


 「大丈夫です。

 税金関係も一緒にお願いしたいのですが大丈夫ですか?」

  

 「税金は売買の金額にも寄りますけど、そのような高額素材をお持ちなのですか?

 込み入ったお話なら別室で対応致しますよ。」

 

 「そうだな、別室で対応してくれるか? 

 アオイ防具店と、エマとの専属契約だからな。

 此方もそれなりの対応をしたい。

 協会の意見も聞きたいしな。」


 「畏まりました。

 それでは別室に案内致しますね。 

 鑑定士が必要ならお呼びしますのでお申し付け下さい。」


 「取り敢えずは大丈夫だと思いますよ。

 ものはハッキリしてるので、後は書類のやり取りだけだと思いますよ?」


 その後別室に案内して貰って書類を用意して貰う。

 受付の人がそのまま対応してくれるようだ。


 「何度も会ってますが、名乗るのは初めてですね。

 今回担当いたします、イガラシと申します。

 宜しくお願い致します。

 それでは今回対応する素材を出して頂けますか?」


 私はアオイが作った防具と私の素材をテーブルに出した。

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