第7話

 私はストレージからゴブリンの魔石を何個かテーブルに出した。


 「ピュィピュィィ(収納に入っている)」


 「ピーちゃん収納のスキルも使えるの?

 何だろ、この鑑定出来なかったスキルなのかな?

 本当に便利なピーちゃんだよね。

 素材は一旦全部鑑定して貰おうか?

 必要なものは戻してあげるけど、危険なものは全部処分して貰うからね?」


 「ピュィ(分かった)」


 私は頷いておいた。


 「それでしたら解体場に案内致しますね。

 コアトルの素材なら大部屋のほうが宜しいですね。

 私はマイクロチップの準備をして来ますので、他のものが案内致します。」 

 

 係に案内されてまたも移動することに、今度はエマの肩に乗って移動している。

 ユイが仕切りに触って来るのでくすぐったいのだが、拒むと悲しそうな顔をするので我慢している。


 「ピーちゃんは本当に可愛いね。

 私も欲しいけど、テイマーの才能は無いんだよね。

 エマちゃんは良かったね。」


 「何でこの子だけテイム出来たのか分からないけどね。

 私もテイマーの才能は無かった筈だけど。

 ピーちゃんが可愛いから何でも良いよね、凄く便利だし。」


 「ピュィ、ピュィィィ(私は名前の改善を要求する)」


 「そうだよね、ピーちゃんもそう思うよね。

 ピーちゃんは可愛くて頼りになるよ。」


 「ピュィピュィ、ピュィィィィ、ピュィ(そうでは無い、名前の改善だ。

 それと私は寂しがりでは無い。)」


 「鑑定士さんも言ってたけど、ピーちゃんは寂しがり屋みたいだからね。

 大丈夫だよ、これからはずっと一緒だからね。」


 「ピュィ…ピ(何故そこだけわかるのだ。)」


 エマとは意思の疎通が出来てるようで出来ていない。

 何故か肝心のところは気付いてはくれないのに、どうでも良いことは伝わるのは何故なのだろう。


 そんな不毛な会話をしていたら目的地に着いたようだ。


 「先ほどのものが来るまで素材の鑑定を致しましょうか?

 此方に素材を出して貰えますか?」


 「それじゃピーちゃんお願いだよ。」


 「ピュィィ(了解だ)」


 ストレージに入っていた全ての素材を出してゆく。

 ゴブリンを山のように積み、兎と猪にオーク、オーガと出して最後にコアトルの素材もとい死体を出す。

 おまけで、私の卵の殻とスライムの核を出してとっておきの宝箱を出して終了だ。


 「ピーちゃん溜め込んでたね?

 これだけ入る収納も凄いけど、訳の分からないものも入っていたね。」


 「そうですね、私も初めて見ました宝箱。

 宝箱ごとって持ち出せるものなんですね。

 此処で開けますよね宝箱。」


 「そうですね、何が入っているのか分かりませんから。

 此処で開けて下さい。

 多分コアトルの宝箱だとは思いますから、問題は無い筈ですよ?」


 「了解しました。 

 魔物の素材から査定致しますね?

 宝箱はさっきの鑑定士さんが来たらお願いしましょうか、何があるか分かりませんので。

 それで宜しくですか?」


 「はい、大丈夫です。

 ピーちゃんは何か必要なものがあるの?」


 私は兎と猪とオークを右手で指して、


 「ピュィィ(肉は持って帰る)」


 「あぁ、お肉は持って帰るのね。

 でもこのままだと調理出来ないから、解体して貰おうか。

 それで必要な分だけ持って帰ろうね。」


 「ピュィ(仕方が無いな)」


 「ゴブリンは魔石のみの買取ですね。

 死骸は此方で処分致します。

 魔物の死骸は良い肥料にはなりますから。

 角兎と魔猪の魔石の買取と解体ですね、解体費用は魔石から差し引きます。

 オークも魔石の買取と解体ですね、此方も同じく致しますが、出来ればお肉は一部買取させて頂くと助かります。

 オーガとコアトルは全て買取ですね。

 何か他に必要な素材はありますか?」

 

 「ピーちゃんの素材ですから、ピーちゃんの好きにして貰います。

 ピーちゃんはどうしたいの?」


 「ピュィピュィ、ピュィィィ(肉だけあれば他は要らない好きにしろ)

 ピュィピュィィ、ピュィ(金も要らないし、オークの依頼はそっちに任せる)

 ピュィピュュィ、ピュィ(欲しい素材があるなら持って帰る)」


 「ピーちゃんこれでオークの依頼受けても良いの、欲しい素材貰っても良いんだ。

 お金も要らないって言われてもね。

 こんなにあると私も困っちゃうな。」

 

 「差し出がましいようですが、お金は貰っておいたほうが良いですよ。 

 魔物を飼うのもお金が掛かりますから。

 お肉は魔物には必要になりますが、ピーちゃんさんは必要なら自分で取りに行けそうですね。

 あとオーガの皮とコアトルの鱗と羽の皮膜は防具に使えますから取っておいたほうが良いと思いますが。」


 「ピュィピュィ、ピュュュュィ(それで頼む、肉も10匹分で問題ない)」


 「ありがとうございます。

 それではそれで処理致しますね。

 オーガの皮とコアトルの鱗は2人分用意致します。

 皮膜は少ないですからそのまま残しますね。

 お肉は10匹分を直ぐにご用意致しますから。」


 「凄いね、ピーちゃんが受付の人と交渉してるよ。

 何であの人ピーちゃんが言ってること分かったんだろね?」

 

 「えぇー、私も何となくだけど分かったよ。

 でも直接交渉しちゃうピーちゃんも可愛かったね。」


 暫く解体が終わるのを待っていると鑑定士さんが戻って来た。


 「それではマイクロチップを埋めさせて貰いますね。

 ピーちゃんさんも宜しいですか?

 出来れば元の大きさに戻って下さい。」


 「ピュィ(分かった)」

 

 私は元の大きさに戻って行く。

 やはりマナが薄いから戻るのが大変だが、何とかなりそうだ。


 「これは素晴らしいですね。

 1年未満の筈なのにもう成体に近い大きさですね。

 もしかしたらまだ大きくなるかも知れません。

 ピーちゃんさんすみませんが、少し屈んで貰えると助かります。

 首の付け根部分にマイクロチップを埋めますね。」


 私は腹這いになり頭を下げた。


 「いやぁ、素晴らしい羽ですね。

 このまま寝てしまいたい衝動に駆られますよ。

 毛並みもサラサラで素晴らしい。

 もっと堪能したいですが、我慢いたしましょう。

 それでは失礼しますね。」


 そう言って首の付け根部分にチクリとした感触があった。

 注射で何かを打ち込まれたのだろう。

 

 「はい、終わりました。

 査定が終わっていたらこれで終了ですが、他に御用は御座いますか?」


 「すみません、此方の鑑定をお願いしたいのですが。

 ピーちゃんさんが宝箱ごと収納していたようで、此処で開けたいので鑑定して貰えませんか?」


 「これは初めての事ですね。

 私も宝場の鑑定は初めてですよ。

 ピーちゃんさんといると初めてのことを沢山体験出来て私も少し興奮しておりますよ。

 少し待って貰えますか、では鑑定しますね。」


 鑑定士は宝箱に集中しているようだ。

 

 「開けて貰って大丈夫ですよ。

 罠などは無いです。

 開けて貰えたら中身も鑑定しますね。」


 「すみません、お手数をおかけします。

 ピーちゃん開けてもいいの?」


 「ピュィ(良いぞ)」


 「それじゃ開けますね。」


 宝箱を開けるとそこにはサブマシンガンとナイフに薬品が入っていた。


 「それじゃ鑑定しますね。

 えぇっとこれは、魔拿マナ銃と魔拿マナナイフに体力と魔力の回復薬ですね。

 もの自体は問題ないので持って帰って貰っても問題ないですが、マナ銃やマナナイフなんて聞いたことも無いですね。」


 私は直ぐに銃とナイフを収納にしまった。

 これは持って帰るからな。

 あとは売っても問題ない。

 

 「ピュピュィ(他は売る)」


 「有難う御座います。 

 回復薬は高値で売れますよ?

 結構貴重な物ですからね、それで宜しいですか?」


 「ピュィ(問題ない)」


 「何故か皆んながピーちゃんの言っていることを理解している件はどうしようかな?

 私がお荷物になっているような気がして来たよ。」


 「大丈夫だよ、エマちゃん。

 ピーちゃんの飼い主はエマちゃんだけだからね。

 もっと自信を持っても大丈夫だよ。」


 私は早速さっきのマナ銃をエマに渡す。

 これは多分だが、私の為に用意された武器なのだから。

 ナイフは私が使おうと思う。

 どうせこの2人は使えないのだから。


 「私に使えってことだよね?

 どうしようかな?

 今まで使っていた魔銃はユイちゃんが使う?」


 「私は回復役だから、魔力量が少ないし使いこなせないよ?」


 「予備のマガジンもあるから、ダンジョンに行かないときに補充しとけば問題ないよ。

 ダンジョン内では私も補充しないし。」


 「それじゃ借り用かな?

 ハンドガンタイプだと限界かなと思ってはいたんだよね。」


 「そうして貰っても大丈夫だよ。

 取り敢えずピーちゃんに預けておくね。

 ダンジョン潜るときに渡すから、ハンドガンだけ持っていれば大丈夫でしょ。」


 「そうだね、そうしてくれると助かる。」


 

 

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