第6話
別室に案内されて受付の女性と3人になる。
「エマ様の魔物は影に隠れられるのですね?
その能力でコアトルから逃げ出せたのですか?
魔法使いにとって優秀な魔物をテイム出来ましたね?」
「エマちゃん魔物をテイムしたの?
前にそんなこと出来ないって言ってなかったっけ?
テイマーの才能は無いとか。」
「テイマーの才能は無いわよ。
ピーちゃんに助けて貰って1人じゃ帰れないからお願いしたら、ついて来てくれたのよ。
ピーちゃんもう大丈夫だから出ておいで。」
「ピュィピュィ(ヤレヤレ)」
私は影から飛び出てエマの肩の上に乗る。
「キャー、何この子メッチャ可愛いんですけど。
エマちゃんがテイムしたんだよね。
良いな魔物、私も可愛い子をテイムしたいよ。」
「ピーちゃんは可愛いだけじゃないのよ。
こう見えて強いんだから。
今はこの大きさだけど、ピーちゃんは私よりも大きいからね。
色は黒だけど多分グリフォンだと思うよ?」
「エマ様、それは本当ですか?
グリフォンなら少なくてもA級の魔物ですよ?
テイマーでもないエマ様がテイム出来るとは思いませんが、確認したほうが宜しいですね。
調書を取っている間に、テイマー関係の職員も呼んでおきますね。」
それから事の経緯を説明していたエマとユイだが、何でも今日はオーク納品依頼を受けたのだが見付けられず、集落まで来てしまったとのことで運悪くそこにコアトルまで来て死にそうになったようだ。
エマとユイは反対したようだが、男達が大丈夫だと言って聞かなかったようだ。
何でも2人のことはオレ達が守ると豪語していたようだ。
それが叶わず、2人は逃げてユイだけは回収出来たのだがエマは魔法を使った直後で動けなくて逃げ遅れたようだ。
本来なら前衛のどちらかがエマを回収しなければならないのだが、囮に使われたのかも知れない。
ユイはそのときに魔力切れで気を失っていたそうだ。
気付いたときには既にダンジョンから出た後で、どうにも出来なかったみたい。
ユイが気絶していたのは係の人も確認していたようだが、少し衣服が乱れていたようだ。
ユイはショックを受けていたようだが、ダンジョンの中では最悪なことは起きて無いだろうが、見られたりはしたかも知れないと言うことだった。
あの2人が囮にしたのかは分からないが、やった事はギリギリアウトっぽい。
まだ、ユイの衣服が乱れていなかったら良かったのだがそこまでやってしまったら言い逃れが出来ない状態になっているようだ。
何でも嘘を見抜くスキルがあるらしく、それで尋問したら真っ黒だったようだ。
エマが亡くなっていたら、ユイを慰めるついでに
ダンジョンの中は無法地帯なのだが、無法故にバレたら罪は重くなるようだ。
2人には殺人未遂と強姦罪が適用されるようで、無期懲役の上に情状酌量の処置は対応にならないとのこと。
彼等は一生刑務所から出ては来れないようだ。
この世界にはダンジョン刑務所なるものがあるそうで、冒険者が罪を犯すとそこに入れられるそうだ。
ダンジョンは魔物を討伐しないとダンジョンから魔物が溢れて来る氾濫が起きるようだ。
このときはどの魔物も階層移動して最後はダンジョンから溢れて来るようだ。
ただダンジョンの外にはマナが無いらしく、ダンジョンから出た魔物は時間が経つと死んでしまうようだ。
魔物は魔法生物なので魔物と呼ばれている故に、魔力が無くなると死んでしまうのだが、強い魔物ほど長い時間外に居れるのでその分被害も大きくなるようだ。
私?テイムされている魔物は主人から魔力を供給して貰って生きながらえるみたいだが私には関係は無い。
ダンジョンの外にもマナはあるのだが、非常に薄いのだ。
これが幼体化の説明文に出て来た場所のことだとダンジョンから出て直ぐに分かったのだが、私は幼体化と
後は食事で補うことが出来るようだ。
魔力がある素材を食べると補充が出来るようになっている。
魔物の肉やダンジョンから取れる素材を食べると魔力の補充が出来るのだが、ダンジョン産の素材はお高いらしく一般人には魔物を飼うだけの資金が足りなくなるようだ。
私も大きくなってエマを乗せて飛ぶには食事をしないといけなそうだ。
話が逸れたが、ダンジョンとは資源の宝庫なのでこの世界には必要不可欠な存在になっているのだが、中には人気のないダンジョン何かもあるようだ。
虫ばっかり出て来るダンジョンとか、火山地帯や極寒地帯のダンジョン何かは人気が無いようで冒険者が寄りつかないみたいだ。
そう言う人気の無いダンジョンを刑務所として利用し、犯罪冒険者を集めて攻略しているようだ。
殺さないようには注意はしているようだが、冒険者は体力もあり力も強いので普通の刑務所だと刑罰にはならないので命を賭けて貰っているようだ。
最初の頃は人権だ何だと騒いでいる団体もいたのだが、冒険者が犯罪を犯すと規模や被害が大き過ぎるのでこのような形に落ち着いたようだ。
刑期中にダンジョンで命を落とすと遺族には補償金が手渡されるが、そのお金も受刑者がダンジョンで稼いだお金なので国としては痛くも無いお金だ。
それが嫌なら犯罪を犯すなと言う感じに今は落ち着いているようだ。
一通り調書を終えたときに部屋を訪ねて来た人がいた。
テイマー科の職員さんらしい。
魔物をテイムする人は一定数あるようだが、登録をしないで魔物を飼うことは禁止されている。
なので役所に申請をして登録する義務があるのだが、この職員さんがやってくれるようだ。
「この子がテイムされた魔物ですね?
鑑定したいのですが宜しいですか?」
「ピーちゃん鑑定しても大丈夫かな?
鑑定しないと登録出来ないみたいだからしないとダメなんだけどね。」
「ピュィ(良いよ)」
「凄いですね、人語を理解しているようです。
こんな魔物は初めてですよ?
普通はテイマーの合意が有れば鑑定は出来るのですが違いますか?」
「私自身テイムしたかは分かりません。
名前は付けましたけど、最初は階層からも出れなくなる所でしたから。」
「分かりました。
それでは鑑定しますね。
鑑定結果は此方の用紙に映し出しますから。」
その結果がこれだ。
グリフォン(希少種)[ピーちゃん]0歳
スキル:[鷹の目][爪撃][空歩][風魔法][−−−−][−−−−][−−−−][影魔法][生活魔法][魔力操作][魔力感知][雌雄同体][隠密][気配察知][幼体化]
称号:[−−−][−−−−−−−][テイムモンスター(エマ)]
私としては別にどうでも良かったのだが、見えないほうが都合がいいのは確かなのでありがたい。
「凄いですね、本物のグリフォンですよ。
それも希少種なんて初めて鑑定しました。
実際に確認はされていましたが、私が見るのは初めてです。
称号にテイムモンスターと名前があるので問題無いですね。
一部鑑定出来ないスキルと称号が有りますが、希少種は特別な力を持っている子が多いようで、これは仕方が無いとされていますので大丈夫です。
ですが、この子の責任はエマ様になるのでお気を付け下さい。
ピーちゃんさんは言葉を理解しているようなので大丈夫だと思いますが、悪いことは悪いとちゃんと躾けて下さいね。
最後にマイクロチップかGPSの首輪が必要なんですが、この子の元の大きさはどれくらいですか?」
「ピーちゃんは多分サイくらいは大きくなりますよ。
成長が止まっているかは分かりませんが。」
「それならマイクロチップを埋めたほうが宜しいのですが、嫌がる子も居ますからどうなさいますか?」
「ピーちゃんマイクロチップを埋めたいのだけど大丈夫?
痛くは無いと思うけど暴れたりしないかな?」
私は翼と右手を挙げて、
「ピュィ(大丈夫)」
「ありがとう、ピーちゃん。
大丈夫みたいですので、マイクロチップでお願いしますね。」
「分かりました。
それでは準備しますので、出来れば元の大きさの写真も撮りたいので、どこか広い場所に移動しましょう。
後は今日の買取なんかも有りましたら其方も処理いたしますよ。」
「あぁ、ピーちゃんコアトルとかの素材はどうしたの?
なんか回収していたと思ったけど、持って無いよね?」
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