第5話
女性と一緒に階段に差し掛かったが、女性は何かに阻まれて先に進めないようだ。
「あれ、ピーちゃんと一緒じゃ行けないのかしら?
あっ、ゴメンね勝手にピーちゃん呼びして名前が無いと不便だからね。」
(ピュィ)
影の中からビックリして返事をしてしまったら、女性と何かが繋がったような気がした。
その瞬間、するりと階段の中に入ることか出来た。
私はもしやと思い、メニューを開く。
グリフォン(希少種)[ピーちゃん]0歳
スキル:[鷹の目][爪撃][空歩][風魔法][
称号:[転生者][ネメシスの加護][テイムモンスター]
ツッコミどころ満載なのだが、気になる項目があるので確認しよう。
[テイムモンスター]:エマに名付けられテイムされた称号。
羽田ダンジョン5階層で初めて会った、寂しがりやな子。
スキル[幼体化]が使えるようになる。
メッチャ恥ずかしい説明文なんですが!
オレはポケモ◯じゃねぇぞ、似たようなもんかも知れないけど。
後名前、ちゃんまで名前に入っていて可笑しいだろ!
この称号は見なかったことにしよう。
[幼体化]:幼体から成体まで自由に大きさを変えれる。
マナが薄い場所では幼体のほうが燃費は良い。
このスキルは便利そうで良いのだが、マナの薄い場所が良く分からない。
まぁ、そのときになれば分かるだろ。
私は仔猫サイズになり影の外に出る。
卵から産まれたばかりの頃のサイズだ。
「ピーちゃんどうしたの?
そんなに小ちゃくなって、でも何で最初は通れなかったんだろう?
気のせいだったのかな?
取り敢えず外に向かおうか。」
「ピュル(はいよ)」
私は女性改めエマの肩に乗った。
このサイズなら乗っても問題ないだろう。
4階層は、洞窟型のダンジョンで暗闇が広がっていた。
私は鷹の目と
壁に手を着きながら恐る恐る歩いている。
私は生活魔法のライトを使った。
エマの頭上に設置して、半径10mくらいは見渡せるようにしておいた。
「ピーちゃんありがとう、魔力が無くて困っていたんだよね。
道具類は男たちが持っていたから、私だけだと帰れなかったよ。」
自分の命が掛かっていたら見捨てるのも仕方のないことなのかも知れないが、エマは戻ってもヤツらとは2度とパーティーは組まないだろうな。
今後何かあっても信用出来ない仲間と一緒にダンジョンには来たくはないだろう。
暫く進むとマップに反応があった。
3匹の群れのようだが、多分この反応はゴブリンだろう。
私はマナバレットを3発打ってゴブリンを瞬殺する。
「今のはピーちゃんの魔法?
私の魔銃みたいなのかな?
見えなかったけど、そんなに小ちゃくても強いんだねピーちゃんは。
私の魔銃も使えたら良かったんだけど、魔力が無いから弾の補充も出来ないよ。」
サブマシンガンを持って私に説明して来るエマだが、私はその魔銃に触ってみた。
マガジンに触れると魔力が流せそうな感覚があったので、私の魔力を補充しておいた。
私はマナを吸収出来るので、魔力が無くなることは無いからだ。
魔法は
「ピーちゃん魔力操作も出来るんだね。
マガジンに魔力を補充出来ない人もいるくらいだよ。
一家に一台ピーちゃんだね。
でもこれで私も戦えるからね。」
嬉しそうに話すエマだが、その魔銃の出番が来ることは無いだろう。
私の探知よりもエマの探知が優れていない限り。
その後もゴブリンと後はスケルトンが出て来るようだ。
4階層はこの2種類のみのようだ。
エマの大体の案内と私のマップを使って3階層を目指す。
エマは方向音痴らしく、勝手に歩かせると変なところに歩いて行こうとするのでナビするのが大変だった。
マップも初めての階層はグレーアウトしているので、階段を探すのに苦労した。
エマの肩の上にいるといつまで経っても出られそうに無いので、私はライオンサイズまで大きくなり先頭を歩くようにした。
エマは最初残念がっていたが、私が道案内をしていると気付くと申し訳なさそうにしていたのが少し可愛かった。
4階層は5階層よりも狭いようで、何とか3階層の階段を見つけることが出来た。
基本このダンジョンは円形のフィールドで北に降りる階段があり、南に登る階段がある作りのようだ。
洞窟型のダンジョンなので一本道では無いが、マップのお陰で方向と周辺が確認出来たので何とかなっている。
上に登るたびにフィールドは狭くなっているようなので、出ることは難しくないだろう。
そのまま、上の階層に登ると魔物も弱くなって行くのでサクサクと進む。
1階層は出口まで一本道になっていたので楽勝だった。
私は再び仔猫になり、エマの肩に乗る。
此処からならエマも帰れるだろう。
エマがダンジョンのゲートを潜ると、そこには駅の改札のようなものがあった。
エマがそこに左手を翳すとゲートが開き外に出られた。
暫く廊下を進むと職員らしき人が受付のようなところに居た。
その手前には大きな扉があり、両脇には魔銃らしきものを持った警備員が立っている。
「雅のパーティーのエマです。
魔物と一緒ですが、通っても大丈夫ですか?」
エマは受付に声を掛けたようだが、警備員が此方に銃を向けて来た。
「エマさん、ご無事だったんですね。
先ほど雅の皆様がお戻りになり、エマさんと逸れたと仰っていましたので心配してたんですよ。」
「逸れたと言うか置いて行かれたと言うほうが確かだと思いますよ?
そのときにこの子に助けられたんですが、この子を外に出しても大丈夫ですかね?」
「その子と言うのは肩に乗ってる仔猫ちゃんみたいな子ですか?
此処からでは良く分かりませんが、テイムされていない魔物はダンジョンから出ることは勿論、階層の移動も出来ない筈ですよ?」
「そうなんですね、テイマーのことはよく分からなかったものですから。
この子のお陰で帰って来ることが出来たので一緒に出たいんですよね。
どうしたらテイム出来ますかね?」
「多分ですが、エマさんは既にテイムしていると思いますよ?
でなければ、此処まで魔物が外には出られませんから。
此処はもう既にダンジョンの外ですからね。
ダンジョンの外に魔物が出てこれるのは氾濫のときだけですからね。
取り敢えず此方にいらして下さい。
事情も聞きたいので別室に案内致します。
魔物の登録もそのときに一緒に致しましょう。」
係の人に案内されて来た部屋には先客が居た。
エマのことを置いて行った男達と泣き噦る女性の3人だ。
男達は唖然とし、女性はエマを見るなり抱きついて来た。
「エマ、無事だったのか?
もうてっきりダメだと思っていたが、これから捜索隊を編成して貰おうと思っていたんだ。」
「上手く逃げれたようで良かった。
オレ達もユイを抱えての移動だったから大変だったよ。
エマが無事で何よりだ。」
男達は取り繕ったように弁明していたが、苦しい言い訳だ。
エマが遅れたのを分かっていて置き去りにしたのはエマが1番よく知っている筈だから。
「貴方達との話し合いは後でしましょう。
ユイも落ち着いて、これでは話も出来ないわ。
すみませんがこの人達とは別の部屋で調書をお願いしたいのですが宜しいですか?」
「それは勿論ですが、一応この方達にもエマ様の無事を確認して欲しかったので此方にお通し致しました。
それでは別室にご案内致します。」
「エマちゃん私は一緒でも良い?
私もそっちでお話がしたいです。」
「私はそれで構わないけど、ユイちゃんが一緒でも構いませんか?」
「はい、女性は女性同士のほうが良いと思いますので、エマ様が宜しければユイ様も一緒でお願い致します。」
このとき私はエマの影の中に隠れていた。
空気を読んだのだ。
影に隠れたときにエマがクスクスと笑っていたが、何故笑われたのかは分からない。
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