第3話
私が影の中から様子を伺っていると、数匹のオークが鼻をヒクつかせて此方に向かって来た。
匂いで隠れていたのがバレたようだ。
仕方が無いので、そのまま戦闘に入る。
私は影から飛び出すと、風魔法で先頭のオークにウィンドカッターを浴びせた。
突然のことに対応出来なかったオークの首を落とし次に向かう。
私の身体くらいの石斧を振り被るオークをシャドウバインドで拘束して、後のオークに爪に風を纏わせるウィンドスラッシュの魔法で首を落とす。
振り向きざまに拘束しているオークの首も落とす。
仲間をやられた残りのオーク達も此方に向かって来る。
残りの数のほうが多いが、影魔法と風魔法だけでも何とかなるが私は魔拿魔法を使って見る。
大気中のマナを使って魔法を行使するのだが、どんな魔法が使えるの?って最初は思った。
魔力の代わりにマナを使って威力を上げたり、規模を大きくしたりするのに使用する魔法だ。
私の属性は風と影なのだが、元から使い勝手の良い魔法なのでそれほどマナを使用する必要性を感じなかった。
なので私はマナをそのままの魔法として使えないか試してみたのだが、使えはしたが最初は微々たる量のマナしか使えなかった。
それが少しは上手く使えるようになって来たので、オークに試してみることにしたのだ。
空中にマナで作った弾丸を用意して、それを撃ち続ける。
それだけで何頭かのオークの頭が吹き飛ぶ。
残りをブレード状にして横に薙ぐと纏めてオークの首を落とすことにが出来た。
魔法はイメージで行使する。
ウィンドカッターやシャドウバインドと名前を言っているが、自分が使いやすいように言っているに過ぎない。
この魔拿魔法は大気中のマナを弾丸にして発射する魔法で名付けるならマナバレットかな、もう一つはマナブレードで大気中のマナを固める魔法なのだ。
実際硬さは自由に選べるようで、ゴム弾からチタン合金のような硬さまで選べる。
なので物理的な攻撃力もあるが魔法的な攻撃力も期待できる魔法なのだ。
しかもマナは普通は見えない、人が酸素を認識出来ないのと同じでマナも認識は出来ない。
私は感知系のスキルがあるから分かっているが、他の魔物も気が付かないようだ。
匂いで私の場所が分かったオークでも、マナには反応してなかったので大体の魔物には有効なんじゃ無いかと思う。
流石女神様の加護スキルはチート級の性能だなと思うが、神のスキルは扱いが難しい。
弾丸やブレード状にするのは何とかなるが、複雑なものを再現するには今の魔拿制御では心許ない。
現状困っては居ないが、この肉球のお手手には苦労させられそうなので魔拿魔法で腕を再現出来ないか試している。
腕を再現出来たら武器も装備出来るようになるからね。
カッコいいと思うんだよね、ファ◯ネルとか浮いてる盾とか。
ストレージがあるから、装備があったら回収して行きたいがまだ見たことは無い。
オークの集落を殲滅したらまた身体がひと回り大きくなったようだ。
オークのお肉は美味しいのは定番なので全て回収しておく。
食べる必要が無いので、自分で使用するときが来るのかは分からないが。
ストレージの容量も調べたいので今は収納出来るだけしていくつもりだ。
今は丁度中心地点にいる感じだ、このまま一旦草原に出て見ようと思う。
草原に出たらダンジョンの出口なり階段があると思うのだが、私が出られるかは分からない。
多分だが中心から北に行かないと強い魔物は出ては来ないと思うが、全体を確認したいのもあるので草原に向かう。
此処のマップが円形だとして、草原の向こう側がどうなっているのかも確認したい。
中央から南下して草原を目指す、そろそろ森を抜けるところで気配が複数あるのを確認した。
魔物と何かが戦っているようだ。
魔物はゴブリンが5匹程度の集団だが、戦っている相手は人間だった。
男の前衛が2人と、女の後衛が2人の4人パーティーのようだ。
剣士と大楯を持ったタンクかな?
それとサブマシンガンのようなものを装備している女性とピストルのようなものを装備している女性のパーティーで銃は火薬音がしてないところを見ると、魔法銃なのかも知れない。
剣士と大楯は普通の立ち回りなのだが、銃を装備している女性は普通の魔法攻撃もしているようだ。
サブマシンガンが攻撃魔法で、ピストル型は回復や補助魔法を使う魔法使いのようだ。
初めての人間を見たが、格好は現代風の装備をしてる。
中世ヨーロッパのような感じでは無い。
革のような洋服にプロテクターを装備している前衛と、革装備でもオシャレな感じがする後衛と違和感があるが戦闘は連携は取れていると思う。
前衛の武器も少し長めの直剣なのだが近代的な作りになっているし、大楯も鉄では無い少し軽そうな盾を装備しているようだ。
程なくしてゴブリンを殲滅した人間は、ゴブリンから石のようなものを抜き取り南に戻って行った。
影の中から様子を伺っていたが、今日はこのまま帰るようだ。
話している言葉は日本語のようだ。
ただ私が生きていた時代には、このような魔物が出て来る場所は無かったと記憶している。
何かがおかしいようだが、今の私には分からないことだ。
そのまま人間を尾行して行ったら、私の産まれたところの真逆の位置に洞窟の中に登りの階段があるようだった。
人間達はそのまま上に登って行ったので、私も付いて行こうとしたのだが階段の前で透明な何かに阻まれて登ることは出来ないようだった。
魔物は階層移動が出来ない仕組みのようだ。
普通には此処から私は出れないようだ。
まぁ、大蛇にリベンジするまでは此処から出るつもりは無いけどね。
その後は草原を少し探索したが、こちら側は殆どが兎で偶に猪がいるくらいだ。
スライムは何処にでもいるが、敵対してこないので無視する。
階段があるところが真南でその後ろには草原が続いているように見えるが、謎の壁によって遮られて進めなかった。
マップには壁が書かれているのでマップ上では壁扱いになっているようだ。
草原のマップを埋めてまた森のほうまで戻って来る。
最初に会った人間の他にも何人かの人には会ったが、殆どが森の手前で兎を狩って帰って行く。
それを狙ってゴブリンが偶に森から出て来ているようだが、ゴブリンは人間の敵では無いようだ。
近接武器を持っている人が殆どだが、稀に銃火器を持っている人を見かけるのでそれで倒せるようだ。
多少数が多かろうが、マシンガンで面制圧されたらゴブリンもひとたまりも無い。
この銃を使っている人は総じて魔力が多いようだ。
マガジンに魔力を込めているようで、銃から発射されるのは魔力の塊のようだ。
魔拿魔法で私がやっているのを、銃が代わりに魔力を使って発射している感じかな?
文明の力で魔物を制圧しているようだ。
そんな人間達も森には余り入らない。
オークの集落があった中心よりも手前で単体のオークを狩って帰って行くくらいで、集落の殲滅をする人はいなかった。
人間はオークよりも少し弱いが、連携と武器の性能でオークを狩っているが多分大蛇には敵わないのだろう。
大蛇の鱗にあの銃が効果があるとは思えないから、あの大蛇にはライフルのようなもっと威力のある武器で無いと効きそうに無い。
なので無理をせず森の手前で狩をしていると思われた。
なので私は中央まではマップを埋めるだけにして、森の奥を拠点として大蛇に備えることにした。
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