第2話
さて転生して初めての冒険だ。
岩棚から下を覗く、木の先端までが約10mで木の高さは20mくらいの大木だ。
約30mの高さからなら問題なく降りれるだろう。
大木まで辿り着ければ枝伝いに降りることも可能だろうしな。
私は空歩と風魔法を使って岩棚から飛び降りる。
ゆっくりと歩くように、翼も使って大木の先端を目指す。
残り半分ほどに差し掛かったときに、何か大きい影が私に向かって飛びついて来た。
咄嗟に空歩で駆け出し影を躱したのだが、その影は空中で停止して此方を睨んでいた。
翼の生えた大蛇、コアトルとか言うヤツだっけ?
それが此方を襲って来たようだ。
今の私の何倍…、何十倍もでかい蛇。
逃げ切れるか?、さっきの飛びつく速度を見ると今の私には空中では出せないスピードだ。
私は勢いよく駆け出し大木を目指す。
このままでは食われて終了だ、大木の影に隠れながら逃げ出せばまだ勝機はあると思いたい。
私の風魔法はあの大蛇には効かないだろ、体の大きさが違い過ぎて風の規模が小さ過ぎる。
空歩の練習をしているときに分かったことだが、スキルには熟練度なるものがあると言うこと。
空歩も最初は10歩ほど歩くと使用出来なくなったのだ。
それから練習を重ねてその歩数を増やしたのだ。
風魔法も一緒で自分の身体を持ち上げるような風は作れたが、あの大蛇を吹き飛ばすような風は今は作れない。
可能性があるとすれば
自分の魔力を操るのは何となく分かる、魔物の本能的なものなのだろう。
マナとは大気中にある魔力の元、これを身体に取り込むことによって自分の魔力として魔法を行使する。
それを大気中にあるマナのまま、魔法を行使するには私の技量では大した量のマナを使用出来ないのだ。
爪撃は効く気がしない、大蛇の鱗を引き裂ける気がしない。
私は全力で大木に駆ける。
大木を盾にして逃げるしか無い。
もう少しで大木の先端に届くと言うとこで背後から気配がして横に飛び退く。
大木の先端を確認すると、先端に紫の液体が付着しシュゥーっと音を出し溶けている。
大蛇のだか攻撃だ、飛び道具まで出して来て仕留める気満々である。
溶けちゃうよ?そんなの喰らったら溶けちゃうからね?
跡形もなく溶けて食べることは出来なくなると思うのだが、逃すくらいなら殺してしまえと言う感じか?
私は大木の枝を盾にしながら下に下にと降りてゆく。
大地が見えたときに、またもや毒攻撃が空から降ってくる。
素早く大木の影に隠れて毒攻撃を躱す。
大蛇が大木の裏に回り込むが、そこには既に私は姿はない。
私は文字通り大木の影に身を潜めたのだ。
影魔法のシャドウダイブ。
現在影魔法で使用出来る唯一の魔法。
影に潜り、影の中を移動するだけの魔法。
影から影へ移動は出来るが、瞬間移動のようには行かない。
ただ、障害物を無視して進むことが出来るので大蛇よりは移動は早い筈。
気配を殺しながら私は影の中を駆ける。
大蛇には今は勝てないが、いつかリベンジしたいと思う。
逃げながら私はマップを確認する。
逃げたところに赤い光点がある、更に意識すると光点にピンのようなものがさせた。
これはさっきの大蛇だろう。
暫くこれに近寄らないようにしないと、密かに力をつけて打倒大蛇を成し遂げてみせる。
ある程度大蛇と距離を空けたら大蛇は、一定の場所で動かなくなった。
此処がヤツの巣なんだろう、私は影から出て周囲を確認する。
序でにマップを確認しても周りには敵は居ないようだ。
さっきの戦闘で新たなスキルが生えていた、[気配察知]と[隠密]だ。
[気配察知]はマップの半径10mに敵が居たら赤い光点が付くようになった。
マップが無くても分かるが視界でも確認出来るのはありがたい。
[隠密]はその名の通り気配を消すスキルだ、大蛇から逃げるときに生えたのだろう。
暫くは隠密を常時使用して注意して行動して行こう。
森の中を進んで行くとマップに黄色の光点が出て来た。
何だと思い慎重に近づいて見ると、そこにはスライムの思われる魔物がいた。
この世界のスライムは楕円形のゼリー状の魔物だ。
敵性は無くても味方ではない魔物は黄色で表示されるようだ。
スライムを良く観察すると体長は私の倍くらいあるが、動きは遅い。
身体の中に丸い石のようなものが有り、それが絶えず動いている。
アレがスライムの核と呼ばれているものかも知れない。
風魔法のウィンドカッターで核を狙って見る。
魔法が核に当たって核が弾き出される。
スライムは身体を維持出来なくなり、ゼリー状のものだけが崩れてその場に残った。
取り敢えず倒せたようだが、それだけだった。
スライムの核に傷が付いていたがそれだけをストレージに収納しておく、ゼリーは放置だ。
その後も大蛇から離れるように森を探索する。
この森には角の生えた兎や牙の大きな猪などの魔物も居たが、ウィンドカッターで一撃だった。
どうやら魔物を倒すとその倒した魔物の魔力を奪うようだ。
スライムは微々たるもので気付かなかったが、流石に猪を倒したときには僅かな魔力の流れを感じた。
この身体は周りのマナを吸収していてお腹は空かないから食べなくても良いのだが、魔力を吸収すると力が増して魔力の扱いにも長けるようなのでマップ埋めと並行して力を蓄えようと思う。
兎と猪を倒しながら崖を左手に森を探索していたら、向かっている先に赤色の光点が集まっているところがある。
その数は10数個あり、何かの集落かも知れない。
此処まで来て心当たりがあるのはゴブリンなどの集落だと思うのだが…。
シャドウダイブを使用して影の中から集落に接近する。
森の中に少し開けた土地が有り、そこに見窄らしい小屋がありその周りに緑色の肌を持つ子供ぐらいの背丈の醜い小鬼がいた。
小説に出て来るゴブリンと同じ容姿だな。
自分の身体を仔猫ぐらいと仮定しての判断なので実際の大きさは分からないが、多分そのくらいだと思う。
影魔法の使用も大分慣れて来て他の魔法も使えそうだ。
集団から離れてるゴブリンを影の中に引き摺り込んで、影で絞め殺す。
死体はそのままストレージに収納してしまう。
それを何回か繰り返していたら、流石にゴブリン達が騒ぎ出した。
気付かれたら仕方が無いので、影魔法のシャドウバインドで残りのゴブリンを拘束していく。
全てを拘束したら影から出て風魔法と影魔法で一気に殺していく。
ゴブリンの集落を殲滅した、ゴブリンを倒し終わった後また力が増したようだ。
私が産まれた場所を始まりに時計周りに回って来たが、何となく此処の地形が分かって来た。
多分このフィールドは円形なのだと思う。
産まれた場所が1番北でそこから円を書いたのが此処のフィールドなのだ。
北の崖のところに大蛇がいるようだが、其処からは動かないのはフィールドボス的な立ち位置なのかもしれない。
力は増して来ているが、まだ大蛇には敵わない。
1周して戻る頃には倒せるようになっていれば良いと思う。
マップを埋めつつも更に森を行く。
ゴブリンの集落は転々とあり見つけ次第倒しては行っている。
もう少しで森を抜けそうなとこまで来たので、少し森の中心部の探索もしていく。
北とは大分離れているので、大蛇が此方まで来ることは無いだろう。
シャドウダイブで隠れながら移動していると、また集落を見つけた。
気配察知も慣れて来たのか半径50mくらいは察知出来るようになっている。
魔力を吸収してるからなのか、身体も大きくなっているようだ。
体高もゴブリンよりは大きくなっている。
そんな中見つけた集落はゴブリンのでは無かった。
体長は2mくらいある、豚顔の二足歩行の筋肉質な魔物。
オークってヤツだねアレは。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます