死にそうになるんやけど
「アリーこの虎に勝てる気がしないんだけど。」
「そうですね。多分負けて食われます。」
「グラァァァァ!!!」
虎が纏った雷を放出してきた。
「結界」
アリーが光魔法の結界で凌いでくれる。
「アリーとりあえず逃げるぞ。」
本日二度目の闘争を開始する。
逃すものかと虎は、雷を飛ばして、追撃してくる。
「結界」
また、アリーが防いでくれる。
「アリー防御は任せた。俺は攻撃を担当する。」
「分かりました。信じます。」
アリーの信頼はありがたい。
答えるか。あまり、アリーにバレたくなかったが、しょうがない。
収納から、気体を取り出し、その気体を風魔法で、虎の方に誘導する。
虎からしたら、風魔法で、微風が吹かれたぐらいの感覚だろう。
しかし、その風を吸った瞬間、動きが鈍くなる。
その隙を、逃さず、収納から取り出した毒矢を狙撃する。
「アリーも攻撃してくれ。」
「分かりました。ライトアロー」
アリーの攻撃力は俺の毒矢よりも強いので、みるみる虎は弱っていく。
総戦闘時間3分、雷を出す虎を討伐した。
「仁さん、あの風魔法はなんだったのですか?」
「ああ、あれは気体の致死毒と麻痺毒、そして睡眠薬を混ぜたものを風邪に乗せたんだよ。無臭にするのは大変だったかな。」
「そうだったんですね。それは盗賊から奪ったものから?」
「それもあるが、怪しい薬屋のババアに大金払って教えてもらった。」
「そうだったんですね。」
そもそも、この世界に固体、液体、気体を知っているやつはどれだけいるのだろうか?
アリーは俺がなんとなくそんなものがあると言ったから知ってるけど。
現代知識ありがとう。
「アリーこの虎って売れそう?」
「おそらく、雷虎ですから、高く売れると思います。売るよりは、雷属性の武器を作った方がいいと思います。」
収納して虎をしまった。
「そうだな。それより今日は色々あって疲れたし、近くの街で休もうか。」
「そうですね。この近くに確か、アダムス公爵の街がありました。」
「公爵の街か。しょうがないな。おいしいものがあるかもしれないし、街に行くか。」
ーーーーー翌朝、公爵領の街にてーーーーー
「アリー、この公爵領の名産品って何かあるか?」
「モモンですね。モモンのパイは絶品と聞きます。」
モモンとは桃とりんごの痛感みたいな味がするやつだ。
「そうか。冒険者ギルドで情報収集してから、そのパイを食べに行こうか」
「はい!!」
アリーは甘いものが好きなので、結構楽しみにしていたのだろう。
笑顔になって可愛い。
それから、冒険者ギルドに行って、ついでに武器屋に寄って雷虎をまるまる一体使った、武器と防具を頼む。武器防具を作るのは1週間かかるらしい。
それからモモンのパイを100個ぐらい輸入して、酒の街へと再出発した。
それから,1時間ほど走って、ゴブリンの集団100匹ほどと遭遇した。
「この世界ってどんだけ暴力が蔓延ってるんだ。」
また独言る。
5分後、ゴブリンの群れは殲滅されていた。
アリーが結界で守って、俺が毒で制す。ただそれだけだった。
「アリー、これは普通なのか?」
「そうですね。だいたいこんなもんです。」
「なるほど、だから人がゴミのように死んでくのか。」
「そうです。だから、人の魂は高潔でなければならないのです。」
そんなこんなして、2、3度魔物どもを殺戮して、酒の街にたどり着いた。
「アリー、とりあえず今日は休もう。あまりにも疲れた。」
「はい。同感です。やはり、二人旅というのは相当疲れますね。」
「今度からは、逃げれる相手は逃げような。」
「はい、逃げ足を磨きましょう。」
ーーー翌日ーーーーー
「えっ!!この季節は、酒を作ってない!?」
「うん。今の季節は葡萄や麦を育てているだけだよ。」
宿の主人に聞き込みを行ったところ。
ここまで苦労して、来たのに収穫は雷虎とモモンパイだけか。
「ごめんなさい。仁さん。このことを知らなくて。」
アリーが謝る。
「いや、知らなかったのならしょうがない。」
「ところで、酒はいつ来れば買えるんだ?」
「ん〜ほとんど馴染みの商人達に売るし、君たちに売れる量は少ないよ?」
「そうなのか。」
「持ち込みなら、酒を作ることをできるよ。」
「持ち込み?」
「葡萄とか、麦を持ってくればそれで酒を作るってことだよ。できた酒の2割はもらうけど。」
酒造りの知識がないので、その選択肢が一番いい。そう思った仁だった。
「分かった。持ち込みをするよ。麦や葡萄の産地を知ってるか?」
「う〜ん。どちらも収穫の季節じゃないから、行っても意味ないと思うけど。
この近くだったら、麦だったらシャウザット辺境領、葡萄ならアダムス公爵領かな。」
「そうか。どうするかな。急にやることがなくなったな。」
「暇だったら、アダムス公爵領のダンジョンに行けばいいんじゃないの?」
「ダンジョン?そんなのがあるのか。分かったそうしよう。行こうアリー。いやその前にモモンのパイって売れるか?」
「モモンのパイ?売れるよ。だいたい公爵領の3倍ぐらいの値段で。」
「出たてほやほやなら。?」
「5倍の値段になるよ。」
「なんで、そんなに高くなるんだ?」
「ここら辺は、酒が売れるから金持ちが多いのと、モモンのパイを持ってきてくれるやつなんて、多くないからな。収納が使えるなら海産物を持ってくるよ。」
「海産物?どこから取れるんだそれ?」
「どこって、海に決まってるだろ。ここら辺は海から遠いから。」
「そうか。色々ありがとな。とりあえずモモンのパイを売りに行くか。どこに行けばいいんだ?」
「ん〜商業ギルドに行くのが、一番安全だな。」
「ありがとな。アリーそれじゃあ行こう。」
それから、商業ギルドでモモンのパイを売って、アダムス公爵領に戻り、
ダンジョンの情報収集、盗賊討伐団に参加、雷虎の武器防具二人分回収して、
ーーーーーーーーーーダンジョンに入った
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