カルボナーラ
幾多の馬車や人...そしてクルマ等が踏み通り、真っ直ぐに続いた禿げた道を....二人の旅人が歩いていた。
一人は頭に白いドラゴンを載せた
黒い髪でターコイズブルーの瞳の少年...名はルアと言った。
もう一人はキャディと言って、めでたく監視級だった少女だ...。メガネにオーバーオール...肩紐はかけたり外したりまちまちである。ちなみに小さな二輪の自動機型古代異装を押している...それについてルアは発言した。
「あの....僕が押しましょうか....?」
「ん?なんで?」
「ずっと押してて疲れないのかな...と....。」
「コレはコレで楽しいのだよ!ふっふっふ.......押す?」
「じゃあ是非...。」
スタンドを立て自立...その間にルアがしっかりとハンドルを掴み...前に転がすとスタンドはカコン!と格納。
頭が不意に軽くなったのはファネが振動で飛び上がったからだ...。直ぐに重みは戻るが....
「意外と....重い....いや...軽い.....。」
「って、どっちやねーん!!」
「はははは...。」
ルアの華奢具合は伊達では無く、恐ろしく小さい故に違和感を醸し出しているこのバイクの、その違和感とやらが遠くに霞むように....
「可愛いのぉ....」
「むっ。」
「あ、可愛いのぉ...」
「ぐぬぬ...。」
「あ、あれを見てっ!」
「むぬ?」
「可愛い....じゃなくて...城壁じゃあないか!」
「まぁ...そうですね...。少しペースあげますか。」
「がってーん!」
到着。特に道で何かあった訳でも無いので...
そうして国の入国手続きをクリアすると、まず最初に向かう、行うのはやはり...
「宿を探しましょう...。」
「あ、そうなの?宿が先?」
「拠点作りが大切って師匠が言ってましたから....。実際どうなのかは知りませんですけど........。」
「わへー」
宿探しながら、国をざっと見て回る。石タイルにゆとりを持って建ち並ぶ民家......たまーに八百屋などの店もちらほら。要するにシンプルな国だ....質問ネタを考えて置かなきゃなぁ...とそう思い乍ら歩いて行くと
「あ!ここ空いてるかもですよぉ!この感じ多分お手頃宿さんでざんしょ....!」
「ちょっと見てみましょうか!」
「しぇい!」
キャディの言う通り、お手頃価格で空き室もあった為ここに決定。二室借りようとすると...
「え、嫌ですか?嫌なん?少年くん!ちょっと!」
と、同室にして欲しそうな目でこちらを見て騒ぐので....
「....。一室で。」
『はい〜この部屋のご案内です』
「ありがとうございます。」
「ありがとうございますっ!」
部屋にて
「あぁ〜ちっかれったなぁ〜♪お、お風呂入ろか少年くーん!」
「だ、断固辞退ます!!」
「けち〜じゃのぅ」
「ぇぇえ....。」
僕の同行者こんなのしかいないのか?
「こんなのでもいいじゃないのよ〜」
「なぜわかったし。」
お風呂(シャワー)はルアが先に、その後キャディが入った。...浴びてる時に襲いかかって来ることは幸い無かった。
夜ご飯は宿側の宴会広間で食べる事ができるので二人で頂く事にした。長机が三列あり、その長机に椅子が並んだ広間。ウェイターの人に部屋鍵を見せると、長机の一本に案内され、それぞれ対面になるように座らされた。次期に料理が運ばれてきた。
小麦に水、塩、そして卵を混ぜて細長〜く伸ばして茹でた食べ物....
「おぉ....なんじゃこりゃあ.....長っ細いこの....なに?ソースはクリーミーな色味をしちょるなぁ.....!どう食べるんだ?どう食べるんだぁ!?」
と、ルアに聞こえるくらいの
目の前でクルクルとフォークで巻いてやると....
「おぉ....」
と其れを真剣に眺め始める。
「そんなにマジマジと見ないでくださいよ....。」
「お、ソーリーね」
さて、ルアはソースが撥ねぬ様にヒョイと口に運ぶ...美味しい。
「美味しいなぁ美味しいなぁ....クリーミーなソースが口いっぱいに広がり....」
「な、なんですかその食レポは....。」
「あ、へへへへ....余りにも美味しそうじゃったんでねぇ.....あっしも頂くとしますかっ!..........ん......お........おお!........おいひいぞぉ!無限に行けそうじゃ....」
「おかわりは別途料金ぽさそうなので今日はこれでおしまいですよ。」
「くぅ〜....そりゃ残念っ!」
後にカルボナーラと言う名前が発覚してからは、作り方をシェフに聞いたり、それで書いた作り方レシピを元に作ってとお願いしてきたりと....中々にお気に入りになった様だ。
自室に戻ると、
「ふごぁ...!」
留守番をしていたファネが飛びついてくる。その勢いに耐えられずに倒れそうになるが...後ろにいたキャディが支えてくれた為、事なきを得た。
「あらら〜」
「ありがとうございました...。」
「いいってことよっ!」
ぐー...と彼女は両手でサムズアップ。
「ごあっ!!」
「ありゃ」
そりゃあ、支える手を全部使ってやったらそうもなろう....
さて、ベッドはダブル...なんてことは無く、シングルベッドが二つである。それぞれ
「おやすみなさい....。」
「おやすみ....」
二人は糸が切れた様に意識を飛ばした....外は星々が煌めき、浮かんだ双子座から一筋の光が零れた...誰も見ていないが....。
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