また会ったな

 野道を進んでいたところである。

 ぐるうるるるるるる....

「......!」

 なんの音...いや、分からないわけない。これはガソリンを燃料とする原動機の音だ.....後ろから来ている様なので左に寄る。振り返りなどしない...振り返っても戻れない。

 ほんのり窶れた黒髪にターコイズブルーの瞳、少年ルアは旅人だ。

 るるるるるるる...

 と、肩に手を置かれる

「へぎゃあ!?」

 とんでもない悲鳴を上げてしまった...その手の主は...

「お久しぶりじゃい!少年君!」

 帽子、眼鏡、飛び出たポニーテール...紛れも無く....

「.......。」

「会いたかったよぉ〜少年くーん!」

「...........?!」

「あれゃ....?人違い?そっくりさん!?やらかした?やらかしらのかぁぁぁ!?ぎゃややややy」

「ちょ!!落ち着いて下さい!!!合ってます!!!!ルアですッ!!!!!!」

 と、言うと落ち着きを取り戻す...

「やっぱり!会いたかったよ!会いたかったよぉぉ!!」

 と、飛びかかってきた。落ち着いてない....ぐわっと抱きつこうとするのを片手で止め、1つ質問をする。

「一体なぜここに?」

「えぇー?そりゃあさー....なんでだろー!わけも分からず飛び出したンよ〜!ひゃぁ感動!世界狭いぜぇ!最高!」

「あはははは....。」

 でもなんだかルアも嬉しかった。久々に会った人物に覚えられている.....それもこんな長い時間は初めてだ...いつも、パッとしないせいで忘れ去られ...まぁ、忘れ去られてなければ山に籠ってはいなかっただろうが...二人は野原に座り込むと、少し話をした...。

 どんな国へ寄ったか、そこで何があったか...ルアの愛車たる鋼ポニーが行方不明になった事...師匠もついでに行方不明だった事....話きった辺りで二人とも静かになった。

 寝たわけじゃない、そのまんま...只々話す事が無くなっただけだ

「.......。」

「あぁ.....うん.....」

「.......あ、大丈夫ですよ...!!きっと師匠は....。丈夫だから...。」

「そっかぁ....」

「.........。」

 なんだか気まずい....そよ風だけが吹く。

「あのさ....」

「.......なに?」

「あぁ、やっぱ.....なんでもない......久しぶりにまた会ったからって一緒について行っていいかな!なんて言えるわけないナイナイ....」

 だんだんと早口になっていく

「....。」

「....でも.....そもそも約束果たしてないんだ!君の愛車を弄らせて貰う...それ果たすまで断っても追いかけ続けるからね!ここは次のチャンスでアタックだ....!」

 ぐるうん!うるるるるるる....

 いそいそとキャディは自身が乗ってゐたその自動二輪のエンジンをかける。

「じゃ、またあおう!わはははは...」

「別に...ついてきても良いんですけど....。」

「はははははははh........」

 ほんのりドップラー効果を掛けながら去っていった....暫くして....

「ななななななっ!!なんと!お主、今っ!!」

 戻ってきた。

「だから...来ても良いんですけど...。ずっとコソコソ着いてこられてもアレですし....。」

「わわわ....しょ....しょ....少年くーん!宜しく宜しく!寝る前の背後は注意しなYo?食べちゃうかもよ〜☆」

 うっ...今からでもキャンセルしようかな...。

 時既に遅いが、こうして仲間が増えた....だがルアはやはり嬉しかった。

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