石造りのビルディング
ぐるうるるるるる...
一台の二輪型の
「は〜れて良かった〜」
その古代異装に跨り操るは、眼鏡に帽子。飛び出たポニーテール...。彼女はキャディ...数ある監視級の一人だ....湿気を含んだグリップ力のある風を頬で受ける、彼女はその風はその風で良いと思っていた
「あーめあーめふったー♪」
意味の分からないメロディで口ずさむと、一層アクセルを捻り加速した...小さい小さいその車体を振り回し、いつの日にか会った少年を追って....
さて、暫くして1つの国に着いた、黒煙を上げる高層建築物が立ち並ぶ.....
「どひぇー!こりゃすごいな!このアタシでさえ見たことある訳ない高ーいビルディング!どうやって建てたんだぁ?ワクワク止まらんですよぉ!あの煙はファッションかの?やれやれ都会はよく分かんないぜっ!」
長い独り言を呟き、そのまま関所へ入る。
『旅人さんですね?只今とある事情によって...危険な場所があります。それでも入国を希望なさりますか?』
「勿論っ!あっしはスーパーメカニックでありますから逆に役に立ってしまうかもしれませんなァ...ひひひ」
『あ、どうぞ』
「あわよくばそのままがっぽりでそのお金でメカをたっぷり買って....あ、はい」
こうしてキャディは入国したのである...なにか嵐が通り過ぎたように清々しく水溜まりが空を反射し、なんとも言えない美しさがあった。
「おぉぉ!見たまえ我が愛馬さんよ!私は君だけでこんなとこまで来ましたよ?ふっふっふ...鼻が高いんじゃないか!ふひひひ」
何を考えているのか、このヒトの頭の中は謎だらけだ....
愛馬...と言っても本当にポニー並に小柄なその自動二輪から降り、手押しで街中を歩く。
その銀のボディもまた空を映す。
キャディはこの国の一番の目玉と言うべき国立図書館へと向かった。
図書館だけは驚く程に綺麗であった...何か秘密があるのだろうか、凄いバリアでも張って助かったみたいだ。内部は明らかに取らせる気のない巨大本棚に、隙間無く書籍が詰め込まれている。上の方は魔法で取るのだろうか...魔法の杖無しで魔法は出せるのだろうか......そう感じ、その感想の結論は....
よく分からん。
「む!」
見つけたのは古代異装に纏わる書籍、ラッキーな事に低い段にあった。
「おぉ...危ない危ない...思わず声を大にして笑うところじゃった...図書館は静かにせんとイカンからなぁ...あっしには辛いぞい」
そこから急に黙ってその本を読み始める...満足気に優しく元あった場所に戻し、図書館から退出した。
『あら...ここは違う本なのに....。」
そういえば図書館周りは公園になっており、子供達が走り回っていたり、大人達がベンチを占領していたり...まぁ普通の公園だ、カラスの声も天から響く....
「ぬあっ!忘れていたッ!宿の場所どこだっけか!?まずいまずいまずい....」
"まずい"をあと13回程繰り返した時、
『お困り...でしょうか?」
「はいっ!お困りっ!道に迷いますた!」
『あらら....旅人さんですね?て事は多分この...あ、地図持ってます?」
「モチのロンですよっ!えーとこれだ!」
すると女性はペンを取り出し...少し、キャディは身構えてしまった。
ペンにGUILDの文字があったからだ...だがその反射を悟られぬように、上手くゆっくり力を抜いた。
『この宿ですよ。丸付けておきますね....あと今はここで...。」
そうして道順も教えて貰った。
「ありがとうございましたぁ!」
『どういたしまして....。」
少し窶れたそのGUILD職員に礼を言うと真っ直ぐ宿へ向かった...宿でトレードマークとも言えそうな帽子と眼鏡を外し、暖かいシャワーを浴びると、財布の残りを確認.....。
そして深く眠りに就いた。
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