深淵の村{極楽とEXT}

 .........。

 ..............。

「え.......?」

『なんだガキ?...「え」ジャネェヨお前がいつの日にか一緒にいた奴は、監視級なんだ、9日前...あれ今何時だ?』

『もう0時すぎたぞ』

『じゃあ10日前に行方を晦まして以来スッキリ音沙汰無しって訳だ。』

「ぼ、僕は関係ないですよ」

『いや、車はネェみてぇだが特徴は完全一致で、奴が連れてたのはお前だ。極めつけにこんな写真撮っちゃって羨ましいやっちゃなァ....?』

「うぐぅ.....多分撮ってない...」

確かに撮っていない....風景画しかとらないし.....

『でも撮ってあるぜ......と言うわけで、お前の旅もここで終わりだ。お前、大人しくギルドにぶち込まれな?....あぁ...安心しな?真っ白な部屋で死ぬまで寝てりゃいいの、1日3食、トイレとシャワーとルームランナー付き...飯もみんな大好き、ディストピア飯....伝わんねぇか!!ペースト飯だ。味は....どんなだったか?おい!トカレフ!!試食ししょくったことあんだろ?』

『"ししょくった"ってなんだよ....ていうかグロッグ、お前あれを忘れたのか?唯の無味無臭だっただろうが』

『無味無臭味を覚えられるか!!』

どうしよう....旅......終わりなのか?

....ん....あれは....。

 テントの隙間に見えたのは鱗に包まれた、にょろにょろ。蛇...いやあの尻尾は....!!いちかバチか念じてみた。物分りのいい子だ...きっと....

「このっ....!!」

目の前の奴、グロッグと言ったか?の拗ねを蹴っとばした。

『あっ!!!いっ.......!!!!てめぇコノヤロウ.....!?』

ぶん殴...いやぶん蹴っ飛ばされて椅子ごと吹っ飛んだ。

『よせ、グロッグ....ふふっ』

『がぁッ!!!コルトてめぇ何笑ってんだ!!!!』

『いやァだってさ...ふふっふ....』

するとコルトと呼ばれた者は顎の下から皮を

引き剥ぐような仕草を見せると....

『な、まさか!!!!』

『なんちゃってな....ふふふ、なんもねーよー...ふふっ』

『がぁッ!?てめぇ....』

謎の茶番を他所にトカレフと言う者は本を読んでいる。なんだこりゃ....あ、でも。

とその時、紐が焼けちぎれた。

『おいっ!!』

直ぐにトカレフは気付く。

「ぬああああ!!!逃げろっ!!!」

『させるか....』

づがぁあん.....。

ばたっ。

命中してしまった....

銃声を聞き、沢山の人間が、ギルド職員がワラワラ集まってくる。

「うぅぐ....くそ....。」視界が削れて行く。


 刹那、蒼い光が降りしきった。

『なんだあれはッ!?』

職員のひとりが声をあげる。

『.....あぁ...貴様ら.......。立ち去れ、此処から、今すぐ...!」

天から舞い降りたそれは、光の輪を頭上に浮かび上がらせ、ゆっくりと地上へ近づく...一定の高度で止まると再び、

「立ち去れ、此処から、今!すぐに...!」

ずがががががががが!!!

職員達が保持する、レプリカの小銃達が一斉に火を噴いた。弾幕を一瞥すると、其れは3次元的に移動、銃弾を慣れているかの如く避ける。冷めたような目で、爆煙が上がるモノを確認すると手を前に翳す。

 蒼い粒子は光を増すと、幾つもの炎の玉が現れる。それは、髑髏の形に姿を変え、煙を噴き出した銃器に襲いかかる。

『うわぁぁあッ!』『やめろ!』

『く、来るな!』などと悲鳴を上げ、

ちりじりに逃げ惑う...銃から広がり...その炎に喰われてしまった職員は一瞬で燃え上がり、濃い黒の炭の塊が出来上がった。魔法で防ぐ者も居たが....。

「みっともない...」

いつの間にか目の前に現れ、

『キャアアァあぁぁ....ぁ....ァ...。』

ぐしゃ....。ばた....。ルアの視界が抉れていく間に、命乞い、悲鳴、何かが潰れる音、燃える音。様々な音を耳に残したまま、地獄絵図の中で意識を失った。


 以前より煤汚れが増えた村の家の中で...少年が一人、目を覚ました。朝日が眩しい。

「......また.......。」

 テントを纏め、鞄のなかにしまい込み、骨の子供に礼を言うと部屋を出た。炭の塊が広間に多数、雑な木彫りの像のように、一夜にして滅び散ったこの村の新たな住民として、ノイズすら無く賑やかさを見せる。

 ルアは手を合わせて頭を下げると....

「......さようなら.....誰かさん。」


 そこから最も近くの国に脚だけで辿り着いた、少しばかり要塞じみた石造りの国。その門にある小さな建物に近づき...

「えぇと....入国よろしいでしょうか....?」

がらっ...戸を開けると

『旅人さんかい?こちらへどうぞ、手続きはこれを...え?知ってる?昔から旅人だったのか...そうだったのか若いからね...まぁやたら煤だらけなんだししっかり休むといいよ。クリーニングも無料の宿も幾らかあるからね。....さて、以上だ...ようこそ我が国へ』


[[EXT]]

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る