28 両手持ち用の杖は隠し部屋に行く
― 残り九時間半 ―
体が千切れそうになりながら元の場所に戻った訳だけど……
やっぱ痛いなぁー。
あっ、【
次からはそれをしてからやろう。
さて、と、一つ良いだろうか?
目的達成してねぇ!
ルルド倒して終わりなら良かったんだけどラーダさんがまだ見つかってねぇからこのままだとあの空間が崩壊しちゃう!
ぬぁー、どーするか。
というか『
訳が分からない……。
「メルアちゃん」
「はい?」
「私はちょっとこの後用があるからもう行くわね」
えぇー行っちゃうのか。
「本当にありがとうございました」
まあ仕方ないか。
「じゃ、またいつか会いましょうねー」
そう言ってルーファさんは消えてしまった。
よぉーし、じゃあ……どうしようか?
もっかい『
いやぁ〜でもなぁー……。
また偽者だとめんどくさいからなぁー。
……詰みじゃね? これ。
ラーダさんに【探す者】は効かないし『
……はぁ〜
詰んでる。完璧に詰んでる。
ひとまず、マーダに色々報告するか。
『
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
「――――という訳なんだよね」
「なるほど、あの学校の校長が――」
館に戻り今まであった事をマーダに報告する。
「取り敢えず無事で何よりだ。私の方も結構探したんだが見つからなかった」
「そうかぁー」
マーダの方でも見つからないってなるとマジで詰んでるぞ?
だってマーダには少なくとも監視をする事が出来る魔法が……あぁーそういえば効かないんだったわ。
うん、やっぱ詰んでたわ。
「私は一応この館の一番奥の部屋に向かう」
一番奥の部屋かぁー。
一体どんな部屋なんだろう?
「んじゃあ私も行くー」
そう言ってマーダに付いていく。
食堂を通って私の部屋を通過する。
「けっ、結構あるんだね……」
「この館は広いからな。着くのに三分はかかる」
……広すぎじゃね?
私達結構なスピードで歩いてるけどそれでも三分掛かるの?
「なんでそんなに広いの?」
「この館には薬品を貯蔵している部屋が沢山あるんだが、近づけたらダメとかそういうのを考慮した結果こうなったんだ」
へぇー薬品にもそんなのあるんだ。
まあでも確かに混ぜるなキケンってのは元いた世界にもあったしねー。
こっちじゃそういうのあっても不思議じゃないか。
「着いたぞ、ここだ」
そう言ってマーダは扉を開けた。
「ウオッ!?」
ゲホッゴホッ!
「ケホッ、久しぶりに来たから埃が凄いな……少し掃除するから外で待っててくれ」
そう言ってマーダは部屋に入っていった。
あれを……掃除するのか……?
かなり時間掛かるだろ。
「終わったぞ」
「もう!?」
おいおいいくら何でも早すぎじゃね?
「まあ風魔法を放てばすぐ終わる」
「ほへぇー」
私がやったら中の物めちゃくちゃになるだろうな……。
そう思いつつ入る。
「……凄ぇ」
自然とそう声が出た。
beforeがどんな感じだったか言おう。
埃が多すぎて灰色の空間だった。
そしてafterはどんな感じか言おう。
沢山の薬品と本となんかの道具が沢山あるカラフルな空間。
……今の一瞬でやったんだとしたら本当に凄くね?
予想してたより五倍は綺麗になってたわ。
「うーむ、やはりここにはいないようだ……」
マーダの言う通りここに隠れるのは不可能だろう。
何せ物が殆ど落ちてない。
大抵のものはしっかりと整理整頓されている。
「だが、もしかしたらがあるかもしれないからな。私はあっち側を探すから君はそっちを」
「分かった」
一部屋と言ってもかなり広い。
やはり薬品や本などが大量に置いてある為かなりのスペースが必要になるようだ。
まずは薬品を……見ても何が何だか分かんねぇや。
【見る者】を使ったが、大半が回復薬とか何ちゃら草とかで役に立ちそうな物は無かった。
次は本棚……だが
「うわぁ……」
見るだけで気の遠くなる多さだ。
多いという事はそれを収納してる本棚も大きい訳で……
「こっから探すんか……」
本棚の裏になんかあるかもしれないので全部確認しなくてはならない……
はっはっはー……制限時間過ぎるぞ?
本の裏にある空間を探すとかめんどくさ過ぎるぞ?
…………あそうだ、【
そしたら一気に見れる。
私ってあったま良ぃー!
早速【
よーし全部取れたなぁー?
……ん? 浮いてないのあるぞ?
なんでだ?
その本がある所に【
んー? 取れないぞこれ。
はっ! まさか……
その本を引っ張ってみる。
すると本棚がガガガガと動いて……隠し部屋が現れた。
うっわー、ここに来てあるあるなやつ来たぁー。
「そっ、それは……隠し部屋か?」
「多分ね」
「……入ってみよう」
「良いの?」
「まずい事をしたのなら後で謝れば良い」
そう言ってマーダは隠し部屋に入る。
しょーがない、私も行きますかぁー。
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
隠し部屋は案外広い部屋だった。
普通こういうのって狭いけど流石この館だ。
「こんな部屋があったとはな……」
そう言ってマーダは近くにあった机などを漁る。
「こっ、これは何だ!?」
そう言って一枚の紙を見つめている。
「何それ?」
そう言うとその紙を見せる。
「……ミンジャー町支配計画書…………安直ネーミングゥー」
ごめん安直過ぎて笑うところだった。
取り敢えずラーダさん悪者だったんか。
……やばい、普通は「え!? 嘘でしょ!?」とかやるところなのにさっきの安直ネーミングのせいで出来ねぇ。
「まさかマスターが……」
マーダはかなりショックを受けているようだ。
まあ仕方ない。信頼している人が裏でヤバい事やってたんだからね。
「取り敢えず、これ止めよう」
そう言って紙を渡す。
幸い隠れ場所等も書かれていたのですぐに向かう事が出来る。
「……そ、そうだな……」
精神的にやられちゃってるなぁー。
「マーダは休んでなよ、その計画止めたら戻ってくるから」
そう行って計画書に書いてあった隠れ場所に向かおうとする。
「ま、待ってくれ!」
「うん?」
「私も……私も行く!」
えぇー……ラーダさんと会ったら精神やられちゃってヤバい事になる気がするからやだ。
「な、なんだそのあからさまに嫌そうな顔は!」
「だって……ねぇ?」
「私も行くったら行く!」
………………はぁぁ〜〜
「分かったよ。ほら、『
そう言って渡す。
「あ、ありがとう……」
「やり方は分かる?」
「分かる。大丈夫だ」
そうして私とマーダはラーダさんのいる隠れ場所へと
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