第2話 サービス開始

AUのサービスがとうとう開始される。

その期待度の高さは、現在の電脳空間HOPEのアクティブ人数が数千人を超えているからも伺い知れるだろう。そんな喧騒の中、ここにもワクワクしてる少女が二人。


梓無子しなこ〜準備はどう?」


『ええ、バッチリよ桃香とうか


「そういえば、キャラネームはどうするの?私はいつも通りにするけど」


『私もいつも使ってる名前にするわ』


「ならRPしててもわかりやすいね!」


そこに、アナウンスが流れる。



〈〈 Alternative Youのサービスが開始されます 〉〉



「よし!じゃあまた後でね!」


『ええ、また後で』




〈〈Alternative Youにログインしますか? はい/いいえ〉〉



「『はい』」




直後、視界が真っ白に染まる________________________

____________

______


光が晴れる。


そこには、荘厳な雰囲気を湛える巨大な神殿があった。

あたりを見渡してみると、自分が今いるのは庭のような場所で、瀟洒な椅子とテーブルが一つずつおいてある。高揚しているのだろうか、少し体がフワフワとする。


すると、足音が聞こえる。

こちらに近づいて来ている。

足音のする方を振り返って見る。

そこにはとても______とても美しい、まさに美を体現したかのような女性がいた。


「初めまして。探索者、旅人、拓く者、あるいは演者アクター

私はフォイガウィスフォ、貴女達を呼び出した者です」


桃香はここがすでにゲーム内であることを悟ると、早速RPを始める。


「ふん。を呼んだんだ。つまらない話ではなかろうな?」


「ええ。それはもちろん。では、私が貴女達を呼んだ理由から説明しましょう」


「ああ、よろしく頼むぞ」


どうぞこちらに、と言われいつの間にか現れていた二つ目の椅子に促され座る桃香。

桃香が座ったのを確認してフォイガウィスフォも座り、口を開く。


「単刀直入に言いましょう。私は貴女達にこの世界を発展させてほしいのです」


「発展…とな?」


桃香が首を傾げる。


「ええ。かといって、なにか明確にこれをして欲しいということはありません。貴女達がこの世界で自由に探検し、生活してくれると私の世界が発展するのです。

…強いて言うなら積極的に開拓をして欲しい、くらいでしょうか」


「なるほど」


「無論ただでとは言いません。あるものを貴女に差し上げましょう」


「あるもの?」


「私の祝福です。これがあれば貴女達は死んでも生き返ることができる…つまりこの世界内での不死です」


それを聞いて桃香は少し驚き、そして思案げな表情で問う。


「ふむ、そいつはまた破格なもんじゃな。なぜここまでするのじゃ?何もしなくていいと言う割には随分好待遇じゃないかの?」


桃香の問にフォイガウィスフォはしばし逡巡して話し始める。


「……今、民は停滞しています。二度のイレギュラー、戦争。大きな災禍が襲い、民は疲弊しきってしまっています。戦争に関しては自業自得なのですが…私はこの世界のあらゆる生物を__特に人族及び亜人族を__もう一度活気づけたい。でも過度な干渉は抑えるべきという掟により派手には動けない…そこで思いついたのが貴女達を呼ぶことです…………。

どうかお願いです。私のかわりにこの世界にもう一度活気を取り戻してくれませんか?」


フォイガウィスフォが語り、頭を下げるのに桃香は鷹揚に頷き、


「相分かった。その願い、吾が聞き届けようではないか!」


と答える。するとフォイガウィスフォは破顔して


「ありがとうございます……!それでは早速加護を差し上げますね!ささ、どうぞこちらへ」


と言って桃香を手招きする。


「加護?祝福ではなかったのか?」


「あなたを気に入ったので、1段階いいのを上げちゃいます♪特別ですよ?」


「まあ異論はない。もらっておこうではないか」


ラッキーと思いつつ、桃香はフォイガウィスフォの下へ向かう。


「そういえばお名前を聞いていませんでしたね。貴女の名前は?」


「吾の名前はザクロ。よろしく頼むぞ、フォイガウィスフォ」


とザクロが答えるのに、フォイガウィスフォは少しいじけた表情で


「できれば…フォス、とそう呼んでくれませんか?」


と言う。予想外の反応に戸惑いながらも、


「フォス、だな。わかった。次からはそう呼ぶ」


と答えると


「ええ!では、儀式を始めますね!」


嬉しそうな顔でそう言った後、少し離れ真面目な顔になるフォイガウィスフォ。そして…


「汝に加護を与えたもう______

我こそは最高神。すべてを始めし創世の神なり。汝、この我の願いを聞き届けし者。名はザクロ。今こそ加護を汝に授けよう。」


加護付与プロテクション 最高神フォイガウィスフォ


システムメッセージが流れる。


〈 最高神の加護を受けました 〉


【最高神の加護】

最高神フォイガウィスフォの加護。

・死んでも直前に休息した場所で生き返ることができる。

DPDramatic Pointの上昇に補正が入る

・NPCの好感度が上がる




「…では、貴女の体を作っていきましょうか!」



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