第3話 キャラメイク
「…では、貴女の体を作っていきましょうか!」
と言ってフォスが指を鳴らす。すると、白いマネキンのような像が数体、下からせり上がってくる。
「まずは貴女の種族を選びましょう。
基本的には人族ですが、亜人族を選ぶこともできますよ。ただ、亜人族は人族と比べて少しピーキーなので、注意してくださいね」
「なるほど。フォス、それぞれの種族を説明してもらってもよいかの?」
像は全部で3つ並んでいる。
「了解しました!まず右から。人族ですね。一番普遍的な種族です。一番ポテンシャルがあり、万能型にも特化型にもなれる種族かつ、世界で一番繁栄している種族でもありますね。」
「ふむ、迷ったらこれ!という感じじゃな」
「ですです〜!次は、エルフですね。魔法の適正に優れた種族です。体力が低いのが難点ですが、それを差し引いても強いですよ」
「これもまた、面白そうじゃのう」
相槌を打ちつつ、しっかりと説明を聞いていくザクロ。
「最後は…おや?」
「なにかあったのか?」
少し驚いた顔をしたフォスにザクロが不安げな表情で問う。
そんなザクロにフォスは微笑んで答える。
「いえ、ただ…少し珍しいものがあったので。この種族は、鬼族。オーガ族の上位種です」
「ほう、して性能は?」
「下位種族のオーガ同様、力が強く足が遅い。ただ、鬼族はオーガ族よりも小柄で素早いです。また、魔法を使うことが困難な種族ですね」
「ほう…吾好みの種族じゃのう」
「オーガではなく鬼族が出てきたのなら、この種族系統に適性があるのでしょうね」
ザクロは暫しの逡巡のあと、決心したように言う。
「よし、鬼族に決めたぞ!」
「わかりました」
と、その瞬間、目の前に角の生えたマネキンが浮かび上がる。
「では、次に貴方の容姿を決めていきましょうか。私は奥で待っていますか、できたら呼んでくださいね」
周りにウィンドウが展開し、フォスは奥の方に下がってゆく。
「では、始めるかの」
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まさか鬼族が出るとは思いませんでしたね。それほどまでにこの世界への没入率が高いということでしょうか。
いやはや、この前にも同じような人はいましたが…五指に入るほど少なかったはずですし、楽しみですね。
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「できたのじゃ!」
ザクロが自身の完成に歓喜の声をあげる。
赤色の少し尖った目、目の赤に劣らず赤いショートボブの髪。口を開ければ八重歯がちらりと覗き、額には存在感のある赤黒い二本の角。
「終わりましたか?」
フォスが後ろから近づいて声をかける。
「おお、フォスか。この通りじゃ」
「わかりました。では、あなたの視点をこの体に移しますね。」
直後、視界が切り替わる。体の感覚がより鮮明になる。
「では、次に能力値と職業、スキルを決めましょう。能力は全部で七つ。
種族による偏りがあるので弱点を補うもいいですし、職業に合わせてより特化させても面白いですよ。
また、スキルは能力値と職業を決めてから選んだほうが良いです。」
ウインドウが浮かび上がる。
「職業も多いのぅ…ふむ…お!」
職業一覧の真ん中あたりで手が止まる。ザクロが見つけたのは
(刀を使って敵を倒す強キャラムーブの鬼…イイな…)
「ならステータスは…」
指が動き出す。理想の自分を思い描きながらウインドウを操作していく。
「次はスキルじゃな。」
膨大なスキルリストの中から自分にあったものをリストアップしていく。
そして数分後…
「できた」
____________________
Name:ザクロ 種族:鬼族
職業:刀士 Lv:1 HP:60 MP:10
str:35 dex:20 agi:15 int:5
vit:25 pow:25 luc:20 防御値:6(+3)
❲加護❳
【
❲スキル❳
<刀士lv1>
<重心移動lv1>
<芽飛び>
❲武器❳
初心者の刀
❲装備❳
頭:無し
胴体:初心者の道着
腰:初心者の袴
足:初心者の草履
アクセサリー:無し
❲持ち物❳
無し
<刀士lv1> パッシブ
刀をふる動作がスムーズになる。
<重心移動lv1> パッシブ
スムーズに重心移動できる。
<芽飛び> アクティブ
スキル名宣言後、30秒間ジャンプ力が少し上がる。
“初心者の刀”
駆け出しの刀士が振る刀。
装備条件 str20以上 dex15以上
攻撃力 5
“初心者の道着”
駆け出しの刀士が着る道着。 防御値 +1
“初心者の袴”
駆け出しの刀士が着る袴。 防御値 +1
“初心者の草履”
駆け出しの刀士が履く草履。 防御値 +1
____________________
「次に、貴女の降り立つ先を決めましょう」
「どこに降り立つかを決められるのか…」
「ええ。ただ、種族と職業によって選択できる場所が変わります。鬼族で刀士なら…鬼族の里、はじまりの町、王都、帝都、そしてそれら以外のどこでもないランダムな所へ降り立てます」
「なるほど。同族に会ってみたいし無難に里がいいかの」
「わかりました。では最後に、これを渡しておきます」
見ると、手に指輪を持っている。
「これは“冒険者の指輪”。指にはめて『アクセス』と唱えることで現在の能力値を見ることができたり、物をを出し入れすることができるものです」
「頂こう」
指輪を装備する。
“冒険者の指輪”
『アクセス』と唱えることでメニューとインベントリを表示、操作できる。
「では、参りましょうか」
「ああ!」
ザクロが決意し、新たな世界への希望を胸に抱くと同時に、フォスが口上を述べる。
「これにて舞台は整った!これより先は
足元が光に包まれる。その光は増幅し、次第に全身を覆ってゆく。
そして…………
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