カエルと王子様
あめはしつつじ
淀んだ泉のほとりで、
淀んだ泉のほとりで、
私は醜くないていた。
淀んだ泉は、私の、
醜い姿を写さない。
淀んだ泉は、私の、
醜い涙で濁らない。
曇った空気は、じめじめと、
私の声も、姿もみな、
霧の中に、包んでくれる。
醜い私は、飽くことなく、
乾くことなく、ないていると、
おや、
私の他に、ないているものがいる。
私の足元から、醜いカエルが、
ゲロゲロと、醜く鳴いていた。
毒々しい、爛れた皮膚を、
(両手で包み込み)
私は、
キスをした。
カエルは消え、
太陽が現れた。
美しい王子様は、私を優しい声で慰める。
光が私を乾かしていく。
その光は強く、
カエルをひからびさせる程に。
さよなら、私の太陽、
私、
醜いカエル。
カエルと王子様 あめはしつつじ @amehashi_224
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます