日記

日記

×月△日　月曜日

きょうから、ぼくはおぢさんとおはさんちの、こどむになります。

しせつからつれてきちくれた。

いいこなる。

もう。すたられたくない。

×月◯日　火曜日

もじをすこしおじさんとおばさんからならいました。

しせつでもならったけれど、おじさんとおばさんのほうがやさしいです。

しせつのひともやさしいです。

しせつのひとはいそがしいからです。

だからしかたないです。

でも、あったかいごはんとあったかいもうふはしせつにありません。

×月□日　水曜日

おじさんとおばさんと一しょにあそんで、文じのべんきょうもしました。

おじさんとおばさんはぼくにたのしいあそびをいっぱいおしえてくれます。

お絵かきでお花やりんごをかいたり、おりがみでツルをおりました。

二人とも、とてもよろこんでくれました。

ぼくも、よろこびました。

二人のよろこんでいるかおがだいすきです。

二人のよろこんでいるかおが、もっとみてみたいです。

×月☆日　木曜日

文字のおべん強をした時、おじさんとおばさんから、てんさいだなぁと言われました。

どういう意味なの？　と聞くと、とてもすごいっていうことだよ、とえがおで言われました。

それはちがうと思います。

おじさんとおばさんがすごいのです。

二人といっしょにさん歩することになりました。

ぼくはおじさんとおばさんにつれられて、お花畑がある、公園に行きました。

色とりどりの花が、いっぱいさいていました。

おじさんとおばさんは、大好きな場所だと教えてくれました。

×月◇日　金曜日

ぼくは、おじさんとおばさんに、何かをもらってばっかりです。

あったかいご飯やあったかいお風呂はもちろんのこと、服や本をもらったり、遊んでもらったりしています。

ぼくには、じゅうぶんすぎるほどもらっています。

だから、ぼくも何かをあげないといけません。

あげてばかりだと、つかれてしまいます。

しせつの人はいつもつかれたかおをしていました。

みはなされてしまいます。すぐにあいされなくなってしまいます。

そうだ！　お花！　お花をつみにいこう！

二人が、大好きだと言っていたあの公園の花なら……！

お花をつんで、プレゼントしたら、二人はよろこびます！

ぼくをあいしてくれます！

明日は早く起きて、行こう！

×月×日　土曜日

おこられた。もうおしまいです。

朝早く起きて、あの公園に行こうとしたら道にまよってしまいました。

なんとか着いて花をつんで急いでおじさんおばさんのところに帰った時間はもう夕方でした。

二人は帰ってきたぼくを見るなり、おこりました。

こんなおそくまでどこに行っていたんだ、と。

しんぱいしたんだ、と。

こわかったです。

ぼくはかまわずお花をあげたんですが、これはつんではダメなお花だと言われました。

もうダメです。

ぼくはきらわれました。

そりゃそうです。

だって体は18さいなのに、中身は5才なんですから。

おかあさんにぼくはできそこないだから、何年もとじこめられてほっておかれて学校にもいかせてもらえなくて、こんなすがたになってしまいました。

こんなぼくをあいしてくれた人は、しせつの人はおろかだれもいません。

このまま、だれも、いなくなります。

×月♡日　日曜日

うれしいことがありました。

おじさんとおばさんは、ぼくをあいしていたんです。

ぼくが昨日、なきながらへやにとじこもり、日記をかいていたら、二人がとんできてくれました。

頭ごなしに、おこってごめんね、とだきしめられました。

ぼくは最初、わけが分かりませんでした。

いけないことをしたのはぼくなのに、どうしてあやまられたのかふしぎでした。

そうしたら、おじさんとおばさんはいっしょうけんめいお花をとってきてくれたんだよね。ありがとう、と言われました。

ぼくは、むねがあつくなりました。

おじさんとおばさんは、ぼくをちゃんと見てくれたのです。

ぼくは、おじさんとおばさんにしがみついて、なきました。

二人の、あいしてるという言葉に、つつまれながら。

これが、ぼくのりそうの、日常です。