妖精と孤児
アルは聖域に飛んだ。
今回は公爵、伯爵の他にも、王都から流民と共に先に来ていた弱小法衣貴族も来ている。
全部で4人連れて中で話をしている。
基本話をするのは伯爵と公爵だけだが、他は皆聖域内部でやることを学ぶために、勉強をしている最中である。
やっていいこと悪いことは、新市街地の扉にかかれた通りなので、そこから入っている。
まずそれを書き写して貰い、次に中で行っていることをメモしている様子だ。
ここは最終的に開放された土地として、聖域を皆が集う場所に出来たらと思っている。
そんなここは錬金スキル持ちからすれば、喉から手が出る程欲しい素材の宝庫らしい。
そのため、錬金スキル持ちを勧誘してきているのが最近の出来事と言えば出来事だろうか?
と言っても、アルは連れ回されるだけで貴族を勧誘出来たと言われるだけなのだが。
公爵が、元奴隷たちのことを示して彼らが中で祈りを捧げることで、ここで貰えるアイテムが増える。
もしも君たちがここに住んでくれるのであれば歓迎すると言っていた。
まあ、奉納できる魔力が大いに越した事はないだろうからそうなるだろうなと言うのがアルの感想だ。
アルは見物人の気分でいれば、4対の眼球がアルをとらえている。
何だろう?
そう考えていれば、ところでその妖精さんは我々にも付きますかと言う事だった。
妖精の友人を魔力奉納で選択した結果、アルの肩には3人?の妖精が座っていた。
私達?と言っているが、アルの肩から離れることはない。
「なあになのー?こっち見るななのー」
「そうよなのー、創造主に何か御用なのー?」
「何でもないなら見るななのー」
3人は腰かけたままに言いたい放題だ。
貴族の4人はアルに、俺等も妖精と戯れたいと言う。
「貴族は居ないって言ってたじゃないですか」
特に子爵が言ってたんですけどねと公爵に向けて言えば、それが普通だからなと返された。
「平民がそう言う勘違いをしているから、あまり言わない方がいいですよ、みっともないと言われたことがあります。そうなってくると妖精だってそりゃあ、貴族と一緒に過ごすのは考えると思うのですが」
「いいから!俺等も!」
「ええええええ」
出来るかなあと言うアルに、公爵が出来なかったら俺等も友人になりたいと話をするから仲立ちをしてくれと言う。
教会の祭壇に、アルは供物を捧げて、男神に訊ねた。
『創造主に妖精の友人がありますけれど、他の者にそれを付けられないかと言う事ですか?うーんスキルを作った神に訊ねてみますね』
「よろしくお願いします」
暫く待っていると、ふっと光と共に現れた男神が、ある女神を連れてやってきた。
聖域を作った神の傍仕えらしい女神は言うのだ、そう言った事は出来ないようですと。
ただしお菓子をプレゼントしたりして、本当に友人になればそれも可能だと言う。
ならばやってみようと彼らは一度外に出ていくことになった。
*****
新市街地では今も森の中にあり、森を切りだして魔獣を狩って生活をしている。
最終的に三重の砦のように作るつもりらしく、三重の丸を目指して拡張を続けていた。
「美味しいかい?」
「スカイベリー美味しいです。いいんですか?ななここんなに沢山貰ってとても嬉しいです」
「良かったね、ななこ」
よしよしと由紀子がななこの頭を撫でてあげているのを見て、アルは和んでいた。
妖精の名前なのだが、全て和名にしてある。
七番目につけたこだからななこなのだが、決して某コンビニの電子マネーではないと言っておこう。
千恵がアルの目の前に泳ぐようにやってくると、代わりのものだと言って星を砕いたものだと言う、お菓子を持ってきた。
彼女達の作るお菓子だから、一つまみ程度だけれど、その気持ちが嬉しいので貰っておく。
由紀子はたっぷりの真っ黒の髪を背中から垂らして前に持ってきているため、尾のことも有り人魚の様だ。
美しいよと言ってみれば照れた様子で、アイスクリームをほおばっている。
「そうだ、今度アイスクリームを作ってみよう。きっと喜んでくれるはずだ」
誰が?
勿論フローラだ。
ニコニコしていると、浮気者めーと言って、千恵がアルを小さな手で殴りつけてきた。
うーん、困った。
拗ねてしまった様子である。
浮気ものって本気で言ってるの?と聞けば、何となくだと言う。
なんじゃそりゃーと言っていると、ちょうど戻ってきたようで、公爵たち四名が小さな箱を各々抱えて来た。
一体何が入っているのかと思えば、そこには干した果物が山盛りあったのだ。
「これで仲良くするぞ」
そう言っている彼らには悪いが、正直言うと干し果物よりも生の方が良かったように思う。
だから果物と交換するんで仲良くなってきてくださいと、アルは四人を追い立てたのだった。
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