閑話16牛乳だいちゅきー 続★
「毎日やってますねそれ」
「………それでだめなら俺も分からないぞ」
「殺生な!?」
アルはとうとう泣きだしてしまった。
肉体に魂が引きずられるようにして子供の精神になっているためか、泣きじゃくっている。
ぎゃあぎゃあわめくわけではないが、しくしく泣くため皆困ったように表情を歪めている。
どうしたものやら、と言った様子。
正直皆解決方法が分からないためどうにもならないと言う事だろう。
そんな時のこと、男に身長の伸びる方法を聞けばいいんじゃないかとノールが言う。
それに賛成するように、公爵と伯爵も言うのであった。
「どうせだ、聞いて来い。何だったらしばらく聖域の村に行っていてもいいから」
「そうだよアル。 無理をさせ続けただろう?だから少しの間休んでいてもいいから行ってきなさい」
そう言われ、アルはノールと共に聖域に入って行くのだった。
聖域に入ったアルは、久しぶりに沢山の場所を開拓していく。
鉱山 魔力10,000
魔法街 魔力500,000
現代都市 魔力1,000,000
とりあえずこの中で今開いていない低予算なものは鉱山なので開いていく。
すると出てきたのはこういう物だった。
≪鉱山≫
:エメラルドトロッコ 善行1000
:サファイアトロッコ 善行1500
:ルビートロッコ 善行1500
:アメシストトロッコ 善行1500
:ガーネットトロッコ 善行1000
:ラピスラズリトロッコ 善行1000
:翡翠トロッコ 善行1000
:金剛石トロッコ 善行10,000
宝石の原石が届くらしいことが分かり、アルは小躍りした。
またこちらの産出物が出来れば、独立後他国と付き合っていけるだろう、そう思ったのだ。
しかもこの時代、金剛石は見つかっていないらしい。
だからカットが出来れば言う事はないと思った。
「ねえ、神様に奉納してお話したいって言えば何とかお話出来ますかね?」
「できると思うぞ。それは良いとして、これら全部を回すのか?大変なものだなあ」
ラピスラズリだなんて、相当高いんだぞと言われて、アルはそりゃあそうだろうと思った。
この世界のこの時代、まだ採掘技術がなっていないのか、そこまで深く掘れていないらしく、宝石の産出量はまだまだ少ない。
そうしたら値段が高くなるのは必然であった。
祭壇に果物を捧げて、他に何を捧げたいか、皆に聞いてみた。
元奴隷の者達は言うのだ、他に我らの育てた野菜を持って行って貰いましょうと。
そうだねと頷いて、一玉キャベツを、一束菜っぱを、それぞれ捧げた。
『有難う御座います。捧げものですね』
そう言うと、男は光と共に捧げものを持っていくのであった。
「他に必要なものなどは有りませんか?」
『? そうですね、どうせですから言いますと、あなたの魔力を捧げてください。最近夜だけ捧げられていますからね。昼に捧げて下さったら日を司る神に加護を与えられるかと思いますよ』
「? そう言うのではなく、私は捧げものをして、聞きたいことを聞くのです!だから、何かありませんか?」
必死に言われて男――神は首を傾げる。
すうっと首を傾げ乍らやってきた神は、どうかされたのですかと訝し気で。
アルは男神の姿を受けて、転生前の姿を自分で思い出すような思いに囚われた。
その時点に記憶が戻るようになるアルは、今名もなき男になっていた。
「どうか教えてください」
『どうされたのですか?』
「私は毎日つかれています」
『そうですね、疲れている様子。 記憶を少し読みます、少々お待ちください』
「私はせめて元の姿に戻りたいと言っているわけじゃないんです。ただ成長したいただそれだけ。それも許されないのですか?」
『ああそう言う事ですか。日の神に言っておきますから、成長の加護は与えられると思いますよ。ただし、ここで与えられたことは言わない事。では魔力の奉納を行ってください』
「………それ、だけですか?」
『ええ。日の神は成長と繁栄を司る神ですから。知られていない神ですが、祈ると成長するのですよ。いいから早く私が居られる間にしてください。じゃないと沢山神が降臨なさいますよ』
「は、ええ?」
何故と思っていれば、周囲から声がかかる。
一体何の話をしているんで?と言う言葉を皮切りに、皆で降臨した神を崇めて平伏するのだった。
立っているのは一人アルだけ。
目立つのは当然だった。
流石神のみ使いだでや、だども、今は神様が降臨されていなさる、そったら事いえっかあー、等々煩いほどだ。
慌ててアルが自分を取り戻して平伏しようとすると、男神はアルに立ちなさいと声を掛ける。
『言っている間に皆来てしまいましたね』
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