閑話4ドレスを着せたい 改
閑話4
フローラに悪いと思ったアルは、一つ思ったことがあった。
なので公爵に聞いてみることにした。
「ドレスは、ここで着ているようなドレス以外は駄目ですか?」
「機をてらいすぎているものになってしまうだろうから、駄目だろうな」
「えええええ」
と、まあこんな感じになったけれど、フローラは大変な美少女である。
第一夫人は傾国の美人と呼びそやされていたらしいのだが、その娘だけあり、彼女もとても美人だった。
そのため中華の古代衣装とかが検索に引っかかったため、どうかなと思ったのだが、駄目だった。
きっと彼女ならばこう言った衣装も着こなしてくれるはずだと思うのに、大変勿体無いと思う。
なので――少しばかり襟を詰め襟にしたり、袖をレースで裾を伸ばしたりして、中華衣装の古代服をイメージするものを、幾つかオーダードレス店で作ってみたところ、これがフローラのお気に入りになってくれたので、とても嬉しく思った。
ただ、レースは明らかにこの世界にほぼないため、アルからの提供で全て作っている。
そのため実質的に縫い子さんをして貰っただけになっているということだった。
だが、これが良くなかった。
「フローラ、お前……」
「私が悪いのですか?ですが、ドレスを着て行っただけですのに」
フローラはこれを着て、他所の領地の茶会に出たのだそうだ。
その際このドレスを仕立ててくれたのはアルだとばれてしまい――結果、レースはどこにあるということで、仕立て屋に泣きつかれている現状である。
フローラ様と同じ衣装を作りたいと皆訴えてくるのだそうだ。
何だよ照れるな。
アルが創作した衣装が褒められるのは面はゆい物がある――が、アルはそれ以上にレースを大量に輸入できる伝手があると知られてしまっているので、伯爵家まで皆がレースを取引したいと来るようになってしまったのだ。
これは行けないと、伯爵が押さえ始まったが遅かった。
公爵も立ちまわるが上手くいかない。
なのでアルは決めた。
自前の商会を作ることにしたのだ。
アルは商会にレースを下すことにした。
そしてそこから買ってくれと言ったのだ。
それからはとんとん拍子で売れ行きが爆上がりで――今では左うちわで生活が出来るまでになったのだった。
フローラは今回の件で、公爵にとても怒られたと言っていた。
そりゃあそうだろう、自宅にまで皆が押しかけて来たのだ。
どこまで自慢してきたんだと言う事だ。
するとフローラは言うのだ。
自慢はドレスのことではないのだと。
「アル様のドレスを自慢してきましたけれど、これを作ったアル様が凄い、素晴らしいと言ってきたのですわ」
ですから皆さん自宅まで第二夫人にしてほしいとか言ってましたでしょう?と言われ、ここでアルはハタと気が付いたのだ。
あれ?あれれ?そうだったの?と。
アルはお嫁さん候補が沢山出て来ても、婿入りするのだからそれは困るというものと言っていれば、しょせんフローラは女だから第一夫人として仕事をするだけですよと言う。
あれ?
「言ってなかったか?」
「聞いてませんよ!?私、普通に伯爵領の仕事を結婚してからもするのだとばかり」
「そうだろうな。うんうん。だから励めよっていったじゃないか。公爵領と伯爵領の仕事がお前を待ってるぞ」
「え、ちょっと待って、二つの領地を同時に見ろと?死んじゃいますよおおおおお、あやああああぎゃあああ!?」
「ということで今から内政のお勉強の時間だ、さあ行くぞ。講師は俺だ」
「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
いつも通りアルは公爵に頭を掴まれて奥の部屋へと連れて行かれるのであった。
南無。
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