閑話1自由貿易で買ったものを食べたいぞ 続 改

*****



 じゃあなんで私が貴族何ですかと問えば、言うのだ。


「お前は貴族だったものの系譜だ。それは俺が決めたこと――ではない。ノールを調べた。だから分かったのだ」


「調べた?何を?だってここにはDNA検査何てものはなくて、だから適当に髪色が似ていたからってだけで………やっぱり俺、伯爵家の跡取り何て荷が重いです。おかしいですもん」


「だから、言ってることの意味がちいっとも分からんから黙れ。ノールを魔力検査したのだ。あの水晶玉だな。あれと、国に保管されている水晶玉を比べてみたところ、矢張り同一だったのだ。 つまり、同じ魔力波長だったという事だな。伯爵と、過去に平民になった子と、ノールが。つまり、家族という事だ」


「………どういうことです?」


「???だから、魔力波長が同じモノは一般的にな、親族ということになる。同じモノを出せるのは、家族であり、伯爵家の始祖の波長ともノールは一致していた。そのためノールはスキル持ちを復帰させることを願った。貴族に。そして伯爵家がそれを快く引き受けた。それだけのことだ」


「ええと、じゃあ俺が勘違いしていたのか……なんだあ」


「どう勘違いしていたか聞いておきたいところだが、止めておこう。飯がまずくなりそうだからな。次は何を食べるべきかな。全て遠火で温めるべきか?」


「全部そこまで温かくないですけれど、先ほどのように温めないと本来の味にならないわけじゃないから大丈夫です。あ、ポテトにケチャップ必須かな?」


 自由貿易を開くとケチャップを購入して渡してみる。


「これをどうすればいい?」


「これをそのままここを開いて、押し込むと出ます。やって見せますね、こうです」


「ほほう。中身が出るのか。瓶ではない何か良く分からないモノに包まれているが、何なのか」


「それはたぶんビニールの代用品だと思うから、何でしょう?分かりません」


「透明で向こう側が見えるな。成程………」


 公爵と二人で何だろうなんだろうと考え込んでいると、男が言うのだ。


『ええと、ですね。自由貿易ですけれど、今度からビニールが使われるようになりました。瓶とかも使われますけれど、ビニールが出ました。何故かと言うとゴミ箱機能がこの買い物履歴の横に出来たからです。使い切ったら捨ててくださいね』


「おおおお!地味に便利になった!」


『それと、アイテムBOXという、何だったら買い物をしたものを入れて置ける大量の箱を用意しました。透明な箱です。ステータス画面に入れられるようになりましたよ』


「え、ありがたーい!公爵がずっとやってくれてたから、私も欲しかったんだよ」


「なんだ?お前も荷運びがしたかったのか?」


「ええ!だって自由貿易で買出ししても、物を運べないですし、ちょっと使っても内緒にできないなら買出しすら出来ませんでしたけど、これでしたら私も出来るようになりましたから有難いですよね!」


「なんだ、御前も金塊を俺と一緒に王都に運んでくれるんだと思ってがっかりしたぞ。ということでお前もこれから金塊を運ぶ仕事につけよ」


 ニヤッと笑われて言われてしまい、成程と思った。

 確かに大量に荷運びが出来そうなら使うよな、だって公爵だもの。


 ニコッと笑ってごまかそうとしたところ、頭をガッと掴まれてしまい逃げる事もかなわなくなってしまった。


「まだ食事の時間だろう?」


「はいぃ……」



*****



 所で何故こんなことになったのか考えてみる。

 フローラから、最初一通の手紙が来たのだ。

 今度の食事会には、アルを呼びたいというものだった。

 つきましては新しい調理法を使って調理をして貰いたいというもので――何でやねん。

 俺の身体で何が出来ると言うのだ。

 身長はまだ100センチ程度だ。

 出来るわけもないだろう。

 竈にちょうど薪をくべるのにいい身長だよと言われたのは、公爵だ、フローラお前の父さんがそんなこというんだぞ。

 薪くべる係何てやらされるために行くのかな?

 冗談じゃないんだけどな?な?


 食事会には出られそうにないと手紙を送れば、公爵から返事がきた。

 手紙につかった紙を大量に寄越せと言う事と、食事会の前日に泊まりに来なさいというものだった。

 逃がす気ないじゃん。

 因みに手紙につかった紙は、大量に買ってアイテムBOXにぶち込んださ。

 レターセットというもので、封蝋をおしてかっこよく巻物みたいにする手紙じゃないから驚かれたんだろう。

 けど伯爵の封蝋を使えないし、ということで使用を止めたのだ。

 糊付けして送ったところ、これを使いたいということなんだろうが、ひどく強引だ。


 はあ、憂鬱……



 ――来る前日。

 食事会に何を出すんだろうか?とあまり楽しみでもない中、頑張って向かっていく。


 食事ねえ、食事………

 はあ、楽しみじゃないよお

 美味しかったらいいのに、素材の味を生かした山賊焼きみたいな肉の塊を、皆で削いで食べていくとか、固焼きパンをスープに浸して食べるとか。

 全くもって度し難い。

 あんなの食事じゃないよ!

 食事会って言ったら毎回お腹痛くなってて、どこの食事会も出ないで済んでたのに、何で公爵家の食事に出されることになってるんだよ!

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