次なる経済システム、その候補たち

刻堂元記

第1話

 今、世界の経済は資本主義によって成り立っていると言っても過言ではない。資本主義は、夢を実現するシステムなのだ。そして、資本主義は夢だけでなく成長も追求する。そのためには、人口増加または消費の拡大、所得の向上の少なくとも1つ以上の要素が常に起こり続けている必要があるだろう。


 しかし、少なくとも1つ以上の要素という条件でも、成長は永遠には続かず、いつか終わりを迎える。なぜか。簡単なことだ。この惑星に住める人間の数は無限ではなく、私たちが消費できる物の数にも限界があり、活用できる資源の量も無尽蔵ではないからである。したがって、私たちは資本主義に代わる新たな経済システムを模索し、形にすることが求められるのだが、それは容易なことではない。最悪、社会的混乱が生じることだってあり得る。では、社会的混乱を考慮しない場合、どのような経済システムが考えられるのか。


 最初に挙げられるのが、何かを与えれば与えるほど豊かさが感じられるような経済システムだ。このような経済システムにおいては、お金に代わるモノが価値の基準となる。例えるなら、無償のお手伝いをすればするほど、より多くの人々から感謝されるようになり、誰かから欲しい物を買ってもらえる確率が上がるといった感じだろうか。どのようにしてお金に代わるものを経済の中心に据え置くのかという点が、この経済システムの課題かもしれない。


 次に挙げられるのが、恩恵型経済システムだろう。特徴はなんといっても、それまであった義務からの解放だ。科学技術の発達によって、家事や労働などの義務から解放された結果、人々は好きなことを楽しむためだけに、時間を注ぐ。その結果、私たちは、嫌いなことをすることなく好きなことに取り組めて、そこで出来上がったものを無償あるいはそれに近い値段で公開していくだけで、充分に暮らしていけるようになるのだ。


 最後に挙げられるのが、共有型経済システムである。共有型経済システムは、資本主義によって当たり前となっていた大量生産や大量消費、そして浪費を無くそうと反省した人類が作る経済システムだ。そのため、モノの私有化が自由にできなくなる分、共有という形で、あらゆる物が今よりも利用しやすくなる。お金を稼ぐ手段や、共有化していたものが使用不可になった場合の対処法など問題は様々だが、それらさえ克服できれば、共有型経済システムが資本主義に代わることだって、ありえなくはないはずだ。


今回は、資本主義の問題点を踏まえ、それに代わるかもしれない新しい経済システムを候補として、3つ紹介した。資本主義が終わる日が来るのか。あるとしたらいつなのか。疑問は尽きない。それでも、資本主義は万能な経済システムではないということだけははっきりしている。

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