【2日目】
「うし、有り合わせのモンで直したにしちゃ上等だろ」
その人間は、ぼくの四肢をどこからか持ってきた違うパーツと取り替えてくれた。接続確認。オールグリーン。
どうも、この人間は鉄の墓地に廃棄されているものから使えそうなパーツを持ってきたようだ。ぼくも動ければなんでも良かった。
「お前さん、喋れるかい?」
「はい」
その人間の問いに、ぼくは頷いて答える。
「俺の名前はフーリー。歳は42。まぁ、ごく普通のおっさんだ。お前さんは名前あるかい?」
「……23号です」
「番号……てことは、研究用か」
「そうです」
研究用アンドロイドは、名前でなく通し番号を付けられている事が多い。理由は単純で、名前をつける必要がないからだ。
「うーん……23……にーさん、にいさん……じゃあ、名前考えとくから決まるまでは、兄ちゃんって呼ぶことにするわ。それでいいかい?」
「問題ありません」
「硬っ苦しいなぁ……ま、いいか」
フーリーはぼさぼさの髪をガシガシと掻き、煙草を咥えてのほほんとした顔のままで言った。
「おっさんね、丁度助手が欲しかったんだ。頼めるかい?」
「助手…?」
「そ。俺ね、ここで廃棄ロボの研究してんの。なんで廃棄ロボなのかっていうと、廃棄されたやつの原因究明が主かな?大体はみんな壊れてんだけどさ、たまーにいるんだよ、兄ちゃんみたいに生きてるやつが。そういうやつを助けたりもしてる」
「……そうなんですか」
「廃棄物を載せたトラックは毎日来やがる。見回ってるが全然おっつかねぇ。できればそれを助けて欲しい」
「承知しました」
「……硬いね、お前」
ぼくが頷くと、フーリーは何故か少しげんなりしたような表情で肩を竦める。そんなに変なこと言ったつもりはないんだけど。
「ま、よろしく頼むよ、兄ちゃん」
「はい」
手を差し出されて、ぼくは迷わず握った。
まだ動ける。動かしてもらえるんだ。
そう思うと少し嬉しくなった。
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