第4話-高級住宅地の異彩
――翌日、
(
場所は
降りたことない駅だが使っている路線上にあったこともあり、割と早く腹が決まった。
(何よりもあの男の子からこの紙をもらった時、……
今日は平日。朝に予約の電話をしたら女性が応対してくれて、当日の14時から伺えることになった。
(にしても、カウンセリングって初めて受けるなあ。心療内科とどう違うんだろう)
心療内科でも、初診の際に困っていることや悩みを聞かれたけど、それよりも更に深い内容を聞かれたりするんだろうか。
奇怪な夢遊病の件をどう伝えようかと悩みつつ、駅前広場を通り抜けてスマホの地図マップを頼りに歩く。
(にしても、大きなお家が多い地域だ。高級住宅地とは聞いていたけど、ここまでとは思ってもなかった)
平日の晴れた昼下がりだから余計そう感じるのだろうか。
大通りに連なる立派な家々を背景に、並木道を犬と優雅に歩くご婦人方は、自分とはかけ離れた存在に感じた。
(ええと、ここの角を曲がって、まっすぐ言った先の突き当りだ)
「ここだ……――ぅえっ」
雑居ビルや小さなオフィス系の建物を想像していた。だが閑静な高級住宅地にどんどん足を踏み入れていく時点で気付くべきだった。
地図マップが記している目的地、それは目を見張るほど
周囲の近代的な建築と並ぶその光景は異彩を放っている。
赤レンガの堀は西洋の街並みを
そして邸は
一言で言うなら大正時代の豪邸そのものだった。
(マップはここを指してるけど……本当にここなのかな)
門は開いており、その
(……ここで間違いないみたい)
祈吏は緊張から高鳴る心臓を抑え、その敷地内に足を踏み入れた。
「あの、ごめんください……」
よく手入れされた庭を通り抜け、たどり着いた邸の扉は開けっ放しだった。
外から
4m以上はある天井に、アンティークな照明、2階へ続く大きな階段と、床は全て赤い
そして玄関と言うには広すぎる空間に、
(ほ、本当に入っていいのかな)
「こんにちは。ご予約の方ですか?」
「!?」
背後から声を掛けられた祈吏はびくっと肩を揺らし――そおっと振り返る。
そこには天使の笑顔をたたえる、見目よいメイドさんがいた。
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