第4話

次の日。


「え、そんなとこ行ってたの?」

「うん」


昨日の事をサヤに話した。

昨日もらった名刺をサヤに見せている。


「えー聞く感じ凄く怪しいけどなぁ」

「…まぁ、そうだよね……」


側から聞いたら間違いなく怪しい。

それこそ想像できてしまう。

怪しい男が可愛い娘を利用して、客寄せをしているといった……。


「話してきたし、あんまり疑いたい気持ちにはならないけど、それでも改めて見てみるとそうなるよね」

「……本当に今日も行くの?」


なんだかサヤと話していると行きたくなくなってきた。

…けれども約束したしなぁ。


「まあ、うん、行ってみようかな」

「わかった。じゃあ私もノゾミについて行く」

「え?」


思わぬ言葉に一瞬戸惑う。


「サヤ、部活は大丈夫なの?」

「いいよそれぐらい。一応、文化祭の為の作業だし顧問も文句言わないよ」


確かに、一人で行くよりは安心だ。

部活を休んでもらうことの、少し申し訳ない気持ちもあるが、今回は言葉に甘えよう。


「わかった!じゃあ、一緒に行こう」

「オッケー」


サヤは持っていた名刺を返してきた。

そうして、サヤと名刺に書かれている住所のあのビルへと向かった。




・・・・・




今日はインターホンを押すと、すんなり出てきた。


「ひょっとしたら来てくれないかと思ってました。そういえばまだお名前を伺ってなかったですね」

「喜志ノゾミです。今日はクラスの友達と一緒に来ました」

「矢田サヤです。お邪魔します」

「どうぞどうぞ、奥でおかけ下さい」


そして、昨日座ったソファに案内される。


「ちょっと待ってて下さい」


その後古市さんは奥へ入って行った。


「めちゃくちゃ胡散臭いじゃん……!」

「まあそうだけどさ……」


昨日に比べてはまだマシだ。

昨日は寝巻きだったのに、今日はしっかりとしたものを着ているし、目の下のクマもまだマシだと思う。

サヤは危機迫ったような感じで聞いてくる。


「やっぱりやばくない?」

「まあ、とりあえず話聞こうよ」


私がそういうと、古市さんが奥からお茶と資料を持って入ってくる。


「すいません、ありがとうございます」

「いいんです。昨日出さなかった方が問題ありですね」


古市さんはお茶を置くと、向かいの方に座る。


「ひとまず、これからどうすればいいか分かりました」

「そうですか、それは良かったです」


やっぱりちゃんと仕事はしてくれたみたいだ。


「それでですね、とりあえず整理すると、特別な学園祭にする為に何をしようかっていうので悩んでるんで合ってます?」

「あ、はい」


思ったよりしっかりしてるな。

やっぱり昨日が眠た過ぎただけなんだろうか。


「ひとまずそれじゃあ、まずは文化祭で何をするかっていうのを一緒に考えていく段階にいきましょう」

「それって、どうするんですか?」


サヤが質問する。


「少なくとも、この会社や僕にに人脈が少しあります。その人達に頼んで普通の学園祭で素人の知識で行うより専門的なことに挑戦できてそれを行うのが一つの手段になると思います」

「えー凄い」

「まあちょっと協力してくれるかはわかんないんですけどね……」


……大丈夫なのかな?


「あとは頭を捻って、専門的知識がなくともできそうな事を考えるって、形になるかと思います。こちらから提示できるのはこの二つになります」

「なるほどです」


何かの力を借りるか、自分達で考えるか。

……自分で考えて何も思い浮かばなかったから来たから、前者な気がする。

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株式会社文化祭 足駆 最人(あしかけ さいと) @GOmadanGO_BIG

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