第5話 一人相撲の安定期
安定期に入ってから、僕のつわりは徐々に軽減されていった。それに伴い、僕は家事や仕事にも徐々に戻ることができるようになった。しかし、美香と僕の間はまだずっとギクシャクしていた。
僕たちは以前のように楽しく会話をすることはほとんどなく、互いに距離を置いていた。朝食を一緒に食べることも、夜寝る前に話をすることもなくなってしまっていた。僕は美香に対して、どう接したらいいのかわからず、苦悩していた。
それでも僕は美香に理解してもらいたくて、週末に一緒に出かけたり、美香が好きな料理を作ってみたりした。しかし、美香はいつも僕の努力に対して、感謝の言葉こそ言うものの、以前のような笑顔は見せてくれなかった。
安定期が進むにつれて、僕は美香との関係を少しずつ修復していくことに希望を持ち始めたが、ある日、僕はついに爆発してしまった。
僕:「美香、僕のことも赤ちゃんのことも全然考えてくれていないって思うんだけど…。」
美香は僕の言葉に驚いて、しばらく無言で考え込んだ後、言葉を返した。
美香:「私だって大変なんだよ。仕事も家事もこなして、おまけに妊娠中のあなたのサポートもしてる。だけど、私だって疲れているし、わからないことだらけなのに…」
僕と美香の間には、相手の気持ちを理解しようとする気持ちが足りなかった。このままギクシャクした関係が続く中、僕たちはお互いにどうすればよいか分からず、そのまま安定期を迎えてしまった。
勇介は、赤ちゃんが生まれるまでの準備を進めようと、美香と一緒にベビー用品を選びに行きたいと思っていた。しかし、美香は仕事が終わったらすぐに寝てしまい、休日も家でゆっくり過ごすことが多かった。ある日の夜、勇介は美香に提案した。
勇介:「美香、週末に赤ちゃんの服やベッドを一緒に選びに行こうよ。」
美香:「ごめんね、週末はちょっと休みたいの。それに、まだ時間あるでしょ。」
また、病院の通院も僕は一人で行くことになり、美香と一緒に赤ちゃんのことを話し合う時間もなくなってしまった。僕は美香に両親学級への参加を勧めたが、彼女は無関心であった。
勇介:「美香、両親学級に一緒に参加しようよ。僕たちも赤ちゃんのことをもっと学んだほうがいいと思うんだけど。」
美香:「仕事が忙しいし、今はそれどころじゃないわ。」
美香が仕事や家事に忙殺されている中、僕もできるだけ彼女をサポートしようと努力したが、どうしてもお互いの気持ちがすれ違ってしまうことが多かった。僕たちは、赤ちゃんのことで話し合うことが少なく、それが原因でお互いの距離がどんどん広がっていった。
僕は美香が赤ちゃんに対して興味がないのか、それともただ疲れているだけなのか、どちらなのかが分からず、苦悩していた。美香もまた、僕の気持ちや期待に応えられず、自分のできることが足りないのではないかと悩んでいた。
そんな状況が続く中、僕たちは互いに心の距離を感じながら、赤ちゃんが生まれる日を迎えることになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます