第2話 机の日々


ペラッペラッ

コソコソ

図書室の中、みんな紙の擦れる音と静かに本を読んでいる音しか無い、

その中で目立つグループが一つ。


「むず過ぎるー」

本を手に持たされ、頭を捻っていたカツキが根を上げる、コウキはすぐに口に手を当て、遮る。


「オイ..静かにしろよ」

「...おう」

席に座り直し、本を読み直そうとするが。

「やっぱり漫画見よ〜」

文字を見ることが苦手なカツキはギブアップ。


漫画を持ってこようとしたカツキを、

デタオが腕を掴み止める。


「漫画なんて...」


「な、なんだよ」

カツキも抵抗しようとしていたが、

デタオの激怒しそうな雰囲気が一瞬で消えた。


「良いじゃないか、僕もよく漫画読むよ。」

デタオは、ケロッとして居た。

「そうそうカツキはどんなの見るの。

ちなみに僕はーーー」

怒られるかもと思って居たカツキは、少しの沈黙の後。

「、あーワンピとか」


「あっ...そうなんだ、オウドウ良いと思うよ。」

そんな会話をしながら、漫画が置かれた方に離れて行く。

丸いテーブルに座る3人

コウキとサラは一緒に一つの本を見るためにほぼ一つの椅子に座っていたが、読むスピードが違うのか、「ページ早すぎ」とか「遅いよ〜」と言い合う。

マドナは1人静かに本を読んでいた。



「マドナちゃんってどんなの読んでるの?」

マドナの手には全部読んでいたら1日はかかりそうな分厚い本を持って居た。

「これ。」

嬉しそうに見せるその表紙には

うまい!絵の書き方と書かれた、背景にインクの飛び散った絵が描かれている。


「私、絵が好きなの。」

「へーどんな絵が好きなの。」


「んーー、KAWAII絵が好き。」

その笑顔は本当に嬉しそうで、

その顔を見ているだけで癒され、

3人は笑い話し合った。


そこに漫画を読み終わったのか、

カツキと少し遅れてデタオが戻って来る。

「楽しそーじゃんそんなに面白いの。」

「カツキにはまだ文字が多過ぎるよ。」


コウキがニヤッとしながら明らかに、

いじる様に話す。

「ひでーぞコウキ。」

「ハハハ、」


「どうしたの?何の話?」

「ん、カツキが文字読めないって話」

笑ったコウキが、

さっきよりも短くデタオに説明する。

「あ〜了解。」


「さっきより酷くなってるぞ!デタオも了解すんな!」

時間が迫ってきて図書室全体もザワザワし出した時、一際大きい笑い声が聞こえる。


キーンコーンカーンコーン

キーンコーンカーンコーン...


こんなに楽しいことの時間切れの音が鳴る。


周りの子が少し急ぎながら教室まで行く中、

喋りながら歩いて行く。

「あれ?次の授業って〜」

「次の授業、社会の授業だって」

コウキが今からの授業を聞くと、サラがいち早く答える。

カツキは先生のことを思い出して、嫌な顔した。

「えーあの授業つまんねーんだよな!」


「僕は好きだよ、タムラ先生話短いし、頭良いから。」


タムラ先生

僕らのクラスの担任兼社会科の先生、

色々な生徒から好き嫌いが分かれる、

無表情でボサボサ頭の男の先生だ。


そこにコウキとマドナが

2人の間に喧嘩にならないよう割って入る。


「まあまあ、話短いのは良いことだよな暇になると金の話しかしてないけど。」

「私も少し苦手かな、目が何か、怖くて。」


「よく授業中当てて来るし」

「それはお前が騒いでるからだよ。」


「んだと〜、サラはどう思う

あの先生のこと」


みんなの視線がまた勝敗を決めるように

サラ1人に集まる。

ぼーっとしていたサラは、

驚きつつすぐ考えるが、

「...私は別に、良い先生なんじゃない

そこまで気にしてなかった。」


何も思い浮かばなかったようだった。


「俺は嫌いだな!」

「でも良い大学出てるって言ってたし!」

デタオとカツキが絶妙に噛み合っていない意見を言い合い険悪な雰囲気になっている。


2人を置いて3人は離れる様に教室まで向かう。


「ってことで分かったかー」

授業中の先生が話している内容も聞こえてきた時、遮るようにドアが開く。

ガラララ

「遅れました」

「ああ早く座れーお前らまたかどこ行ってたんだ。」

「えー」

そんな尋問がはじまりかけた最中廊下でまだ先生の嫌いなとこを言う声が教室まで届く。

「俺はあの先生嫌い!

髪もボサボサだし、ぜってー家汚いし!」

もう嫌いな所というより、想像だったり、

よく分からない事まで言っている。



「そうかそうか、...つまりアイツ、カツキは授業で当てられたいってことだな。」

それを聞いた先生はチョークを丁寧に置き、

顔に不自然な先生の笑みを浮かべ、

「皆んなは、座っとけー

今からアイツ捕まえて来るから。」


声のする方にスプリンターの様に走り出し、逃げる足音と先生の足音が聞こえた。


数分後

「この問題は...カツキ

次の問題もカツキ!...カツキ!」

「ハイ」

逃げ回ったカツキを捕まえ、罰として授業の問題を全部当てられて、答えさせられている。

クラス中からクスクスヒソヒソと

笑い声が聞こえて来る。

カツキもそれには顔を赤く染めて恥ずかしそうだ。


授業が進み、次第にみんな興味を失い静かになる。


つまんない授業が後30分以上もある。

コウキの授業中のお決まり

窓際の机に座ってるから、

頬杖を突きながら窓の外を眺める。

茶色くなった校庭に、

光が当たって金色に輝く。


他の学校と比べてみても、かなり大きい方の学校だから、校庭には色々なものがある。

大きいトラック、鉄棒、サッカーゴール

バスケリング、野球のベース、道具倉庫。


友達と遊んでる時は無限の楽しさがあったのに、1人眺めていると、何も楽しくないただ

有るだけの遊具、学校って何だろ。

そんなことを考え、もう一度時計を見る。

「30分、なげーな」


そんなことを考えているといつの間にか授業が終わっていて、授業の内容を1文字も覚えていなかった。


「オイコウキ早くいこーぜ!」

「ん?ああ行くか。」


次の授業の科学は生徒の中でも好かれている、大体の生徒は授業が始まる前に科学室に移動する。

コウキと皆んなも、好奇心が強く科学は好きと言う人が多い、

だからクラスのみんなより先に移動する。


「今日の実験は!何と!」

カツキが、意気揚々と自分の口に指を当てて、顔を近づけると小さい声で話す。

「爆発の実験なんだよ。」


言った本人は、自信満々な顔をしてるが、

他の子は皆んなそんなわけ無いと言う顔をしている。

「...爆発はしないんじゃないかな。」

「バカツキ、バカ。」

呆れた顔でデタオとコウキがカツキをバカにする。


「バカバカ言ってんじゃねーよ!俺も聞いた話なんだよ〜」

その言葉に耐えられなくなって自分の知ったことの様に言ったことを白状する。


「誰から?」

「タムラ、」

「それ馬鹿にされてんだよ。」

そんな会話をしている一方、

生徒や教師がいる中で

1人の気弱な少年囲んでいる3人の目つきの悪い少年がいた。

1人が眼鏡を取り上げ、逃げようとする気弱な少年をもう1人が足をかけて転ばせる、

持って居た筆箱、教科書を落とされた音が響く。

「や、やめてよ」


か細い情けない声で、小さく反抗する。

「あ?知るかよ!」

「こいつ何言ってんだろうね?」

「何も言ってないよな?コマチ。」


3人は学校外でも有名な問題児、

きのこ頭で悪知恵のきく

問題児、ヤツガイ


坊主の馬面長身

問題児、カドツク


身長も高く筋肉質

大問題児、オオトリ

学校のPTAが親で金持ちだから学校で何をやっても良いと思っている、

先生たちも最低限しか口を出さないが、

いじめすぎて流石に注意を受けている。

生徒内ではとっくに問題児と知れている。


1人いじめを受けている、

前髪の長い少年コマチ

「アッッ助けて」

その場を見た生徒のみんなは見てみぬふりをする、先生に至っても見ないように目を逸らしたり、下を向く中。


1人立ち止まって声をかけようとするサラ。


「「ちょっ!」」

その口を押さえて引きずりながら、

無理やり階段まで連れて行く。


「今は良いから、サラ落ち着け。」

「無視がいいよ。」


「何で止めんの!」

「...助けたいんだったら先生に言えば良いよ

俺らには何も出来ないよ。」

そう言ったカツキは少し悔しそうにして居た。

「...行こうぜ」

コウキが1人先を歩きながら皆んなを呼ぶ。


廊下を逃げ抜けて階段を上がる、皆んな静かに少し急ぎながら科学室に向かう途中。

「可哀想だったね、」

「そうだね。」

サラとマドナがふとつぶやく。


数秒の無言の後、

コウキがサラを見れないまま不快な顔になる。

「アイツはしかないよ、虐められる側にも理由とかあるかもだし、


虐められる方も悪いよ。」

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