鍛えてどうする!?

「ジミコ〜。掃除当番しておいて〜」


「このあたしに雑用をさせようって言うの?自分の仕事は自分でしなさいよ。あたしの雑用はあんたがするのよ」


「………えっ?」


 物覚えの悪いやつだわ。


「聞こえなかったの?めんどくさいから一度しか言わないけどね」


 ニッコリと微笑み、あたしはカバンに教科書を詰めて、さっさと帰る。


「あ、待てよ!ミコっ!」


 追いかけてくる下僕。なかなか忠実。スタスタとあたしが帰っていく様子を何故か皆がポカーーンと口を開けて見ていたのだった。


 自宅に帰り、ジャージに着替えた。準備体操をし、ジョギングを始める。隣の家の窓から、ソウタが叫ぶ。


「ジョギング!?運動するのかよ!?」


 無視したのに、後ろから何故か走ってついてくる。


「なんなの?下僕も一緒に走りたいわけ?」


「インドア派のミコが運動とか、いきなりどうしたんだよ?やっぱりおかしいぞ!」


「この世界では、あたしは無力だし、せめて体を鍛えて武の力を高めるしかないでしょう?危険にどう立ち向かうつもりなの?」


 は!?危険ってなんだよ!?武の力って!?と驚いているようだが、自分の能力を最大限高めるのは当たり前よね?


 公園でシュッシュッと拳を突き出したり、蹴りの形をしたりする。地面に手をついて、逆立ちして見せると、危ない!とソウタが慌てている。まぁ、確かに、まだ筋力不足のようだ。


 魔道士のあたしだけど、戦闘用の体術、剣術も身につけている。ゴブリン、オーク、ワイバーンなどと戦うためには必須だった。呪文を唱えている間にやられては元も子もない。


 人しかいない、この世界では不要のことなのかも?ふと、そう思ったが、鍛えることは無駄にならないわ。ソウタが心配そうに見守る中、鍛えることを続けるのだった。


 運動後に小腹が空いて食べた『インスタントラーメン』とやらは、かなり美味しかった!こんな美味いものが手軽に鍋一つで、できるなど、凄すぎる!驚きの美味さ!明日は味噌味のインスタントラーメンを試してみよう。

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